ドリアン助川がバンド「叫ぶ詩人の会」を解散したワケとは?小説「あん」が世界で翻訳!

ドリアン助川がバンド「叫ぶ詩人の会」を解散したワケとは?人生相談ラジオは現在も大人気

ドリアン助川のバンド「叫ぶ詩人の会」メンバーに逮捕歴!ライブも中止に

ドリアン助川は、詩人や作家として活躍する人物で、社会派バンドとして注目を集めたロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルでもありました。そのバンド「叫ぶ詩人の会」が活動休止に追い込まれたのは、メンバーの逮捕歴がきっかけでした。

1997年に、「叫ぶ死人の会」のメンバーで、ボーカル&ギターを担当していたTakujiが覚醒剤所持で現行犯逮捕。大阪バナナホールで初日を迎えるはずだったバンドの全国ツアーが中止になったことで、バンドは多額の借金を抱え、1998年にはレコード会社との契約もなくなります。その後、音楽に乗せて詩を朗読するスタイルでコアなファンも多かった「叫ぶ詩人の会」は解散。ドリアン助川にとって、メンバーの逮捕歴はかなりの痛手だったでしょう。

ドリアン助川の人生相談ラジオは現在も大人気!

また、1990年代後半に放送されていた、ニッポン放送の深夜ラジオ番組「ドリアン助川の正義のラジオ!ジャンベルジャン!」では、ラジオパーソナリティにも挑戦。若者から熱い支持を受けますが、その中でも、リスナーの悩みを生電話で聞く人生相談が大人気でした。そうした経験を生かしてか、現在は、ニッポン放送の長寿番組であるラジオ「テレフォン人生相談」の司会者も担当しているドリアン助川。老若男女のあらゆる悩みが寄せられる「テレフォン人生相談」の人気を支える1人となっています。

ドリアン助川が結婚した妻は?小説「あん」はどら焼き作りを通じて誕生!

ドリアン助川が結婚した妻は?子供の学費を払えるかどうかの日々?!

バンドのボーカリスト、ラジオパーソナリティ、作家と、実にさまざまな顔を持つドリアン助川は、結婚し家庭を築いています。2002年の時点では、妻と子供とともに多摩川の土手の近くにあるアパートに暮らしていたそうです。しかし当時は、バンドが事実上解散してしまった後で、生活は安定していなかった様子。

執筆活動だけでは「子供の学費も払えるかどうか」という厳しい状況だったと明かしています。ちなみにプロフィールの家族構成をみると、子供は一人娘のようです。

ドリアン助川の小説「あん」はどら焼き作りを通じて誕生!

ドリアン助川は、詩だけでなく、小説も発表しています。その中でも、映画化もされたヒット作が「あん」です。小説「あん」は、どら焼き屋で雇われ店主として働くさえない中年男・千太郎のところへ卓越したあん作りの技術を持つ老女・徳江がアルバイトを希望してやってくるところからはじまります。

徳江が持参したあんのあまりの美味しさに千太郎は彼女を雇うことを決め、店は繁盛しますが、徳江がハンセン病患者であったという噂が広まると、客足が遠のくように。やがて徳江は店を辞めてしまうというというのがあらすじです。パティシエの物語を描こうと製菓学校に通っていたこともあったドリアン助川は、どら焼き作りを通じて「不ぞろいだっていいじゃないか」との思いを抱くようになり、そこから物語の着想を得ました。

そんな小説「あん」の執筆にまつわる秘話は、2016年に放送されたNHK「グレーテルのかまど」の「ドリアン助川のどら焼き」の放送回で紹介されています。

ドリアン助川の小説「あん」が世界で翻訳!カンヌ映画祭上映作品になるまで

ロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルから、若者から圧倒的な支持を受けるラジオパーソナリティという顔を経て、作家や詩人として現在も活動を続けているドリアン助川。彼の生み出してきた作品の中でも、2013年に発表した小説「あん」は、代表作といえる作品です。

ハンセン病という難しいテーマを扱った「あん」は、角田光代や中島京子といった作家をはじめ、各方面から高い評価を得て徐々に話題になり、ドリアン助川のもとに映画化の話が持ち込まれます。この物語を撮れるのは河瀨直美監督しかいないと思ったドリアン助川は、自ら手紙を書き、監督をしてくれるよう依頼したそうです。

河瀨直美監督と言えば、カンヌ映画祭の常連で、カンヌ映画祭で審査員も務めた人物。そんな彼女から、ドリアン助川のもとに「号泣しました。私でいいんですか」と返事が来たと言います。こうして、ドリアン助川がもともと徳江のイメージとして思い描いていた樹木希林が主演にキャスティングされた映画「あん」は、2015年に、カンヌ映画祭のオープニング作品として公開されました。

カンヌ映画祭をきっかけに、映画「あん」は、世界40カ国での公開が決まり、ドリアン助川の原作小説の翻訳版も世界各国で発売されています。2018年に来日したフランス人作家のオリヴィエ・ブルドーは、ドリアン助川との対談で、小説「あん」について、「この作品には『シンプリシティー』の魅力があると思います。つまり、きわめて単純な文体と内容で、人々を深い感動へと至らせる力」とコメント。「シンプルな物語こそ美しい」と、その魅力を語りました。

ドリアン助川は、オリヴィエ・ブルドーとの対談の中で、「いま私は、猫の瞳の中に宝石を見る人の小説を書いています」と次作の構想を語っています。この作品が「あん」に続く代表作になるのかを見守りたいところです。

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