「帰ってきたヒトラー」問題作映画化の評価は?あらすじネタバレ!

「帰ってきたヒトラー」問題作映画化の評価は?あらすじネタバレ!

「帰ってきたヒトラー」が問題作である理由とは?映画化とその評価を調査!

「帰ってきたヒトラー」という、何やら物々しいタイトルの映画が、現在、日本で上映されています。「帰ってきたヒトラー」は、2012年にティムール・ヴェルメシュというドイツ人作家が著した小説「Er ist wieder da」が元になっています。この作品が問題作として話題になっています。

主人公は、自殺する直前にタイムスリップしてしまった本物のヒトラーです。帰ってきたヒトラーは、現実社会になぜか受け入れられてしまい、人々もまた、ヒトラーに期待してしまうという物語の大筋こそが、問題視されている原因です。帰ってきたヒトラーは、なかなかの切れ者で、実にうまく現実世界で立ち回る様子に、視聴者は、「そんなのありえない……だろうか?」という気持ちになってしまうのです。

この「帰ってきたヒトラー」は、本国ドイツでは、ヒトラーを扱うというタブーを乗り越えて、なんと公開3周目で、国内第1位の売り上げをたたき出しました。欧米各国では、題材がヒトラーであるだけに、「史実を踏まえていない」、「こんな映画が売れるなんて腹立たしい」等と酷評も受けています。日本でも賛否両論を巻き起こしている「帰ってきたヒトラー」。あらすじなどを探っていきましょう。

「帰ってきたヒトラー」あらすじやネタバレ!

「帰ってきたヒトラー」のあらすじを説明します。「帰ってきたヒトラー」の舞台は、2014年のベルリン。かつて自殺を遂げたはずの、今では公園になってしまった場所で、1945年当時のヒトラーが70年の時を超えて、目を覚まします。駅のキオスクで、現在が2014年であることを知ってしまったヒトラーは、空腹と疲れで気絶。

その後、現代のドイツを変えるべく、インターネットやテレビを活用して「ヒトラーの物まね芸人」として活躍します。徐々に人気を広げ、最終的には選挙に躍り出る、というのがあらすじです。ここで、少しばかり、「帰ってきたヒトラー」のネタバレを。

「帰ってきたヒトラー」には、非常にユーモアにあふれた風刺や、オマージュが、随所にちりばめられています。まず、テレビデビューする際に、かつてのヒトラーが用いた演説手法を使うところ。さらに、YouTubeでヒトラーの動画が拡散され、ユーチューバーが侃々諤々、インスタントな議論を繰り広げるところ。また、かつてのドイツ映画の話題作「ヒトラー最後の12日間」をパロディーにしたシーンも爆笑必死です。笑えるのにどこか笑えない……、そんな映画が「帰ってきたヒトラー」です。

「帰ってきたヒトラー」主演オリバー・マスッチ作品への思いと役作り秘話!

「帰ってきたヒトラー」ヒトラー役で主演オリバー・マスッチってどんな人?

「帰ってきたヒトラー」でヒトラー役を務めるのは、オリバー・マスッチという俳優です。オリバー・マスッチは、1968年12月、ドイツ南西部シュツットガルト生まれの舞台俳優で、イタリア人の父とドイツ人の母との間に育った、独伊混血のハーフ俳優です。オリバー・マスッチは「帰ってきたヒトラー」での役作りのために、30キロも体重を増量しました。また、カメラワークの前には、付け鼻や特殊メイクで1時間以上も作り込むというこだわりの役作りを行ったオリバー・マスッチ。

今まで日本ではほとんど名前の売れていなかった人物ですが、それもそのはず。「帰ってきたヒトラー」制作陣は、映画のリアリティを極めるため、あえて名前の知られていない舞台俳優であったオリバー・マスッチを採用したといいます。しかしそんなオリバー・マスッチも、「帰ってきたヒトラー」公開に合わせた日本メディアのインタビューで、すっかりその名前も多く知られることになりました。

「帰ってきたヒトラー」オリバー・マスッチが見せるキャラづくりへのこだわりを紹介!

「帰ってきたヒトラー」の主演オリバー・マスッチは、今回のヒトラーを演じる上で、こだわりの役作りを語っています。ヒトラーといえば、通常は、チャップリンに代表されるようなコミカルな演じ方で演じられます。もしくは「ヒトラー最後の12日間」に描かれるように、シリアスな人格破綻者として描かれるのが常です。

ところが、オリバー・マスッチは、やや手法を変え、「帰ってきたヒトラー」では、思慮深く冷静、かつ温かみがあり現代に馴染んでしまうヒトラーを演じるように試みたといいます。映画の端々に挟まれる市井の人々や実在の政治家との絡みにはアドリブも含まれているようですが、確かにその演じ方には、「もしかしたらヒトラーはこんな人なのかも」と思わせるようなリアリティが感じられます。舞台俳優の実力おそるべし、というところでしょうか。

「帰ってきたヒトラー」がえぐり出す現代ドイツとは?

「帰ってきたヒトラー」は、本国ドイツで200万部超えの売り上げを記録し、日本を含む40カ国以上で翻訳された小説が原作です。原作小説の叙述の方法は、一人称でした。「帰ってきたヒトラー」の映像は、この原作よりも、かなり現実世界にマッチさせた描かれ方です。

「帰ってきたヒトラー」の一番の見どころは、ドイツでは長い間タブーとされてきたヒトラーへの人々の反応でしょう。人々はアレルギー反応を示すことなく、むしろ好意的に受け入れ、「困ったことはないか?」と聞くヒトラーに、とうとうと現代社会に対する不満を述べ始めます。

自分たちの生活が苦しいのは難民が来たせいだ、あいつらを何とかしてほしいという人々もいます。「帰ってきたヒトラー」には、まさに、2010年代以降のドイツが抱える社会問題が浮き彫りにされているのです。オリバー・マスッチ演じるヒトラーは、映画の中で、「人々が私を求めている」と言います。このセリフとほぼ同じ内容は、「ヒトラー最後の12日間」でも、ゲッペルスというヒトラーの片腕が語っています。

人々が疲れ果て、怠け出したときに、ヒトラーのような独裁者が、文字通り「帰ってきたヒトラー」として社会に蘇る……ドイツ社会はこの教訓を常に思い出し、人々の理性に警鐘を鳴らしているといえるでしょう。民主主義国家の日本も、他人ごとではありません。「帰ってきたヒトラー」は、現代社会に生きるすべての人に見る価値ありの映画です。

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