深谷かほる「夜廻り猫」が沁みる!あらすじネタバレとプロフィールは?

深谷かほる「夜廻り猫」に癒される!あらすじネタバレ、作者プロフィール!

深谷かほる「夜廻り猫」悩み、絶望している人に寄り添う8コマ漫画!あらすじとネタバレ

深谷かほる「夜廻り猫」は、作者のTwitterで、毎夜1話ずつ更新されていた8コマ漫画です。これが多くの人の共感を得て話題となり、2016年に書籍化。2017年3月には、新装版と、描きおろしエピソードを加えた第2巻が発売されています。

「夜廻り猫」は、現代を舞台にした、ちょっとファンタジックな物語。主人公は、半纏を着て頭に缶詰を乗せた黒猫です。「泣く子はいねが~」と夜な夜な呼びかけをしながら街を徘徊するこの黒猫の名は、遠藤平蔵。涙のにおいを嗅ぎつけ、悩み苦しむ人にそっと寄り添ってくれます。

酒を飲む中年男性の話を聞いたり、荷物を背負う人を応援したり、料理が苦手な女性に簡単にできるレシピを紹介してみたりと、行動はさまざまですが、押しつけがましいところはありません。助けになっているかは微妙ですが、そばにいてほしい時に、必ず一緒にいてくれる遠藤。遠からず近からず寄り添ってくれる遠藤との距離感が、「夜廻り猫」最大の魅力です。

深谷かほる「夜廻り猫」で大注目の漫画家プロフィール!

深谷かほるは、1962年11月5日生まれ。福島県の中央に位置する石川郡石川町の出身です。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、アルバイトをしながらイラストの持ち込みをしていましたが、編集部のアドバイスで漫画家へ転身。1987年に、「プチフラワー」掲載の「毎日が日曜日」でデビューを果たしました。

深谷かほるの弟の深谷陽もまた漫画家で、初めてストーリー物の漫画を依頼されたときには、弟のアドバイスで漫画を描き上げた、というエピソードも残っています。1989年より、「まんがくらぶ」に連載された、東北地方に住む4人家族を描いた「エデンの東北」が人気となり、注目を集めるようになった深谷かほる。

テレビドラマ化された「カンナさーん!」や「ハガネの女」など、社会で問題なっていることを題材とした作品も多く手掛けています。「夜廻り猫」は、デフォルメされたまるっこい猫たちがとてもキュートですが、美大出身だけあって絵画的な絵も得意で、個展やグッズなども人気を集めています。

深谷かほる「ハガネの女」あらすじとネタバレ!ドラマはどうなった?

深谷かほる「ハガネの女」問題クラスと向き合う教師の物語!あらすじネタバレ

深谷かほる「ハガネの女」は、「YOU」にて、2007年から連載されていた作品です。主人公は、35歳の独身教師である芳賀稲子、通称ハガネ。大学院を修了した後、10年間小学校の教諭を務めてきたハガネは、結婚に備えて教師を辞めたものの、破談になってしまいます。そこで、受け持つことになった4年さくら組は、1年で教師が3人も辞めているという問題学級でした。

ズバズバとものを言うはっきりした性格のハガネは、難病を抱える不登校の児童が学校に通えるようにと奮闘します。生徒や保護者にも真正面から向き合っていきますが、バカな親だと一括りにしないところが、本作の良いところです。いじめる生徒とその親、いじめられっ子の生徒とその母親からそれぞれ話を聞き、問題はどこにあるのかを見極めようとする姿に心打たれます。

1年目は4年さくら組、2年目は5年こだま組と、受け持ちクラスが変わるため、読者もそのたびに新鮮な気持ちに。ハガネの恋についても語られるなど、見どころは満載です。

深谷かほる「ハガネの女」ドラマオリジナルエピソードでトラブル発生?真相は

深谷かほる「ハガネの女」は、テレビ朝日で2度にわたってドラマ化されています。season1は、2010年5月21日から7月2日かけて、season2が2011年4月21日から6月16日まで放送されました。season1は原作をもとに制作されており、吉瀬美智子演じるハガネの熱を秘めたクールな魅力も相まって、人気に。

season2は、ドラマオリジナルのエピソードが中心の物語となりました。不法滞在している外国人の子供への差別問題など、社会問題になっていた時事ネタを取り入れた内容は、より重く、シビアな展開に。中でも、アスペルガー症候群の生徒を転校させるか否かを、クラスの多数決によって決めるという衝撃的な展開は、物議を醸しました。

原作者である深谷かほるは、脚本サイドに抗議したものの、意見が通らなかったとコメント。今後の脚本への要望が通らなくなるからと、クレジットに原作者名を残していましたが、最終回にはクレジットの削除を要請。制作側に苦言を呈する形となりました。

深谷かほる「夜廻り猫」手塚治虫文化賞受賞!女優・杏も愛読する本作の魅力は

深谷かほる「夜廻り猫」が、第21回手塚治虫文化賞短編賞を受賞しました!朝日新聞社が主催しており、優れた漫画作品に授与される手塚治虫文化賞。受賞作は、漫画関係者と一般読者からの推薦による一次選考と、審査員の合議による最終選考で決定されます。選考委員の1人である女優の杏も、実は「夜廻り猫」の愛読者でした。

「1ページで読者の想像を膨らませてくれる作品」と絶賛し、「皆が愛おしくなり、温かさにじんとくる」と感想をコメントしています。「天上の虹」の作者としても知られる漫画家の里中満智子も、「気が付くと繰り返し読んでいる」とコメント。当初はTwitterで発表されてきた「夜廻り猫」ですが、描き始めたきっかけは、息子が闘病のために入院したからでした。

息子からの「自宅に飾ってある絵に描かれている猫を主人公にした物語が読みたい」というリクエストに応える形で書かれた8コマ漫画。B5の用紙にサインペンで描き始めた小さな物語は、今も同じ形態で描かれています。Twitterにあげるように勧めてくれたのも闘病中の息子でした。こうして拡散された物語は、今では、多くの人の心を支えています。

黒猫の遠藤は悩み事を聞くだけで、自らが解決に乗り出すことはありません。それは、年齢を重ねてきた深谷かほるなりのこだわりです。その結果、「夜廻り猫」には、悩みが解決されないからこそのリアリティが存在します。悩みは誰かが解決してくれるわけではなく、自分で努力しなければならない場面のほうが圧倒的に多いもの。上手くいかないからこその人生であり、皆そんな現実を生きています。

遠藤は悩みを解決はしませんが、話を聞いてそばにいてくれます。SNSいじめを題材にした回では、「本当は心が粉々だろう」と、悩みを持つ子供の気持ちを代弁。「心を温められたら」と言って、子供の身体の上に横たわる遠藤と、相棒の子猫・重郎の姿がありました。そんな遠藤の行動に心が温かくなった人も多いでしょう。どうしようもない孤独にさいなまれたときに読むと、少しだけ泣いた後に元気になれる力がもらえる……深谷かほるの「夜廻り猫」はそんな作品です。

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