萩尾望都「ポーの一族」は不朽の名作漫画!あらすじネタバレ

萩尾望都「ポーの一族」少年のまま永遠を生きる吸血鬼の物語!あらすじネタバレ

萩尾望都「ポーの一族」で主人公エドガーが吸血鬼になった理由とは?あらすじ

萩尾望都「ポーの一族」は、「別冊少女コミック」にて、1972年3月号から1976年6月号にかけて断続的に連載された作品です。オムニバス形式である「ポーの一族」の題材は、西洋に伝わる吸血鬼(バンパネラ)。少年の姿のまま永遠の時を生きることとなった吸血鬼のエドガー・ポーツネルが主人公です。

1744年、4歳の時に、生まれたばかりの妹メリーベルとともに森に捨てられてしまったエドガーは、老ハンナ・ポーに拾われ、育てられます。老ハンナは、バンパネラの一族でした。秘密を知ってしまったエドガーは、メリーベルを巻き込まないようにと、自分がバンパネラになると約束します。その約束が現実となったのは、エドガーが14歳となった1754年でした。

村人にバンパネラだと正体を見破られた老ハンナが、胸に杭を打たれて死亡すると、老ハンナの連れ合いで、一族の大老(キング)ポーにより、エドガーは、無理やりバンパネラにされてしまいます。こうして、人間のフリをし、バンパネラとして生きることとなったエドガーの14歳のままの長い人生が始まりました。

萩尾望都「ポーの一族」吸血鬼を題材にしたオムニバス漫画のネタバレ!

萩尾望都「ポーの一族」は、エドガーを主人公に、さまざまな時代や場所を生きる吸血鬼、通称バンパネラと、それに関わる人々を描いた物語。オムニバス形式になっていますが、発売順が時系列というわけではなく、時代や舞台はさまざまです。萩尾望都は、永遠の子供を描こうと、23歳で、「ポーの一族」の第1作目となる「すきとおった銀の髪」を発表。27歳の時に、完結編となる「エディス」を発表しました。

バンパネラから血を授けられた人間は、一日程度の仮死状態の後に蘇生し、外見こそ変わらないものの、老化が停止します。また、人間の血や生気のほかに、薔薇の花からも生気(エネジイ)を獲得することができますが、本来は魔よけの植物である薔薇を食用にしているのは、「ポーの一族」だけです。こうした独自設定が、耽美な世界観をより強調させています。

萩尾望都「ポーの一族」余韻たっぷりのラスト!主人公エドガーの辿った運命とは?

萩尾望都「ポーの一族」美しくも儚い吸血鬼の物語のラストは?

萩尾望都「ポーの一族」は、1976年発表の「エディス」で一応の完結となりました。妹のメリーベルもバンパネラとなりますが、正体を見破られて消滅。その恋人だったアランをバンパネラにしたエドガーは、100年以上の時を共にしてきました。1976年、エドガーたちが出会ったのは、エディス・エヴァンズです。そんな時、エヴァンズ家の兄で古物商を営んでいたヘンリーが、盗品売買に関わっていたため警察へ連行されてしまいます。

ショックを受けたエディスを見たアランは、彼女もバンパネラにしようと気絶させますが、席を外している間に、エディスの家が爆発してしまいます。火の中に取り残されたエディスを助けようとして、誤って火の中に落ちたアランは消滅。代わりにエディスを助けたエドガーも、消息不明となってしまいました。こうして余韻を残したまま幕を閉じたバンパネラの物語。さまざまな伏線が残されたままだったため、ファンからは続編を望む声が多く寄せられました。

萩尾望都「ポーの一族」主人公・魔性の少年エドガーの魅力とは?

萩尾望都「ポーの一族」の主人公エドガーは、永遠の14歳を生きている存在です。茶色い巻き毛に青い瞳を持った美しい少年で、頭が恐ろしく冴えるものの、妹思いで、負けん気が強く、いたずら好きな面があるなど、年相応なところも。しかし、バンパネラとして長い時間を生きてきたせいか、時折魔性の者としての姿を見せ、人々に強い印象を残しています。

作中の人物だけでなく、読者をも虜にしてきたエドガー。”BL漫画の起源”とも言われる「ポーの一族」は、当時としてはかなりの異色作で、作家の有吉玉青や、漫画家の道原かつみ、赤石路代などにも強い影響を与えてきました。何よりエドガーを魅力的にしているのは、永遠に大人になれない存在であることでしょう。アランを仲間に加えたことからも分かるように、永遠を生きるバンパネラが孤独を抱えていることも、物語により深みを与えています。

ちなみに、エドガーの名前の由来は、ミステリ作家エドガー・アラン・ポーです。エドガーの名前に加え、妹メリーベルの元恋人であり、少年愛的な要素で本作を「BL漫画の起源」と言わしめたアランや、一族の名前も、エドガー・アラン・ポーの名前から拝借されています。萩尾望都曰く、その理由は「語呂が良かったから」だそうです。

萩尾望都「ポーの一族」不朽の名作がついに宝塚歌劇で舞台化!

男女問わず多くの読者を虜にし、少女漫画の地位を向上させた不朽の名作、萩尾望都の「ポーの一族」。2016年3月に実写ドラマ化されたことでも、大きな話題となりました。それが、エドガーに当たる三杉晃役を香取慎吾、アランやメリーベルの役割を担う真理亜役を中条あやみが演じた、ドラマ「ストレンジャー〜バケモノが事件を暴く〜」です。とはいえ、「ポーの一族」を原作にしたわけではなく、設定などを参考にしたオリジナルストーリーが展開され、現代日本を舞台にしたバンパネラの物語を描くにとどまりました。

西洋を舞台にした物語なので、そもそも日本での完全実写化は無理だろうと思われていた「ポーの一族」。しかし、2017年5月に、宝塚歌劇団によって舞台化されることが発表されました。宝塚歌劇団と言えば、「ベルサイユのばら」や「ルパン三世」「るろうに剣心」「銀河英雄伝説」など、漫画やアニメが原作となっている演目が多いのも特徴のひとつ。花、月、雪、星、宙(そら)のの5組のうち、「ポーの一族」の公演を行うのは花組です。トップスターの明日海りおと、娘役トップの仙名彩世が主演を務めることがすでに発表されています。

脚本、演出を担当するのは、宝塚歌劇団で上演された数多くの舞台演出に携わってきた小池修一郎です。「ポーの一族」に関しては、いつかミュージカル化したいと思っていた作品とコメントしており、1985年より申し入れを続けてきた舞台化が、ついに実現することになりました。公演は、宝塚大劇場にて2018年1月1日~2月5日まで、東京宝塚劇場では2018年2月16日~3月25日までの予定となっています。

さらに、漫画「ポーの一族」は、2016年5月28日に発売された「月刊flowers」で、新作となる「春の夢」を発表!2017年1~5月まで連載されたことで、往年のファンに加え、新規のファンも多く獲得しています。主人公エドガーのように、永遠に魅力のあせない「ポーの一族」。初めての舞台化ではどのような物語が紡がれるのか、きらびやかな世界でよみがえるエドガーたちの物語に注目です。

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