今村夏子は新作が熱望される最注目作家!受賞歴もすごかった!

今村夏子の「あひる」あらすじネタバレ!受賞歴がスゴイ!

今村夏子の「あひる」あらすじやネタバレ!淡々とした作風の中に描かれる不協和音

2016年11月18日に発刊された、小説家・今村夏子の作品「あひる」には、表題作「あひる」のほか、「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の3作品が収録されており、短編集に近い形となっています。発刊されてからというもの、バラエティ番組の「アメトーーク」の読書芸人の回や、書店店員がおすすめする本として紹介されることも増えました。

「あひる」の主人公は、30歳を越えてもまだ社会で働いたことがなく、就職するために資格取得の勉強をしている実家住まいの女性です。ある日、父親が引き取ってきたあひるを家で飼うことになります。「のりたま」と名付けられたあひるは、近所の子供たちの注目の的に。しかし、そんなほのぼとした風景は、やがて静かに変化していきます。

飼い始めてから間もなく調子が悪くなってしまった「のりたま」。父親が病院に連れていきますが、帰ってくると、以前飼っていた「のりたま」ではなくなっていました。そのことに誰も触れないまま、以前と同じように「のりたま」を可愛がります。同時に、両親は、近所の子供たちを溺愛するあまり、どんどん甘やかすようになり、とうとう家の中へ自由に出入りさせるようになりました。

その後も、「のりたま」は調子が悪くなるたびに、どこか違って病院から帰ってきます。3回目の「のりたま」になった時に、それまで人々が見ないようにしていたものが崩れると、4回目の「のりたま」が現れることはありませんでした……。読みやすい文章で、あっという間に読み終えてしまいますが、読者は、今村夏子の描き出す日常の中にある不調和音の世界に、じわじわと魅了されていくことでしょう。

今村夏子は太宰治賞で作家デビュー!受賞歴がスゴイ!

今村夏子の実力の高さは、その華麗な受賞歴を見てもよく分かります。2010年、有名作家を数多く世に送り出してきた新人作家の登竜門と言われる第26回太宰治賞を「あたらしい娘」で受賞。その後「あたらしい娘」は、題名を「こちらあみ子」に変更し、中編「ピクニック」と「チズさん」を併録して文庫化されました。そして太宰治賞の翌年となる2011年には、「こちらあみ子」が第24回三島由紀夫賞を受賞。

それから数年のブランクを経て、2016年に発表した新作「あひる」は、第155回芥川賞候補にあがりました。さらに2017年には、「あひる」が、第5回河合隼雄物語賞を受賞しています。同年、「星の子」という作品で、2回目となる芥川賞候補ともなった今村夏子。発表する作品が次々と評価されている彼女の作品は、認知度が高まるとともに、その独特の作風でファンを着実に増やしつつあります。

今村夏子の新作「白いセーター」が面白い!大学などのプロフィールは?

今村夏子の新作「白いセーター」が面白い!じわじわと迫りくる歪みが秀逸

文学誌「文学ムック たべるのがおそい」の第3号に収録されている、今村夏子の新作「白いセーター」が面白いと話題になっています。物語が始まるのは、主人公が婚約者の姉から子供を預かることになるクリスマスイブ。子供たちとちょっとしたトラブルが起こったことをきっかけに、心がざわつき始める主人公ですが、婚約者や彼の姉といざこざが生じるわけではなく、修羅場のような場面もありません。

しかし、何とも言えない孤独感を少しずつ感じ始め、自分を追いつめていき……そんな不器用な主人公のどこか歪んだ生き方がとてもうまく表現されています。読者からの感想を見てみると、今村ワールドとも称される世界観に魅了されたと言うコメントがほとんどです。今村夏子の作品を読んだ人がよく口にする、「心のざわざわ」が今作でも健在となっています。

今村夏子の大学などのプロフィールは?思いつきから始まった作家人生

今村夏子は、1980年2月20日生まれです。在学していた大学名などは公表されていませんが、出身地である広島県の高校を卒業後に、大阪の大学に進学したようです。卒業後は、就職はせずに、清掃などアルバイトで生計を立てていた様子で、転機が訪れたのは29歳の時でした。その当時勤めていた職場で、急に次の日のシフトが休みになったその帰り道に、「小説を書こう!」と思いついたというのですから驚きです。

思いつくだけならば誰にでもできますが、今村夏子のすごいところは、突然の思いつきで書き始めた小説をきっちり仕上げ、その処女作で「太宰治賞」を受賞します。2010年に作家デビューし、2014年に中編の「ピクニック」を発表してからは、2年間ほど作品を出さずに半引退状態でした。しかし、2016年に新創刊された文学誌「たべるのがおそい」内で「あひる」を発表し、見事復活を遂げています。プライベートでは、2013年に結婚し、現在は大阪で夫婦二人暮らしとのことです。

今村夏子は芥川賞逃すも注目作家となるきっかけに

2017年上半期の芥川賞候補に、今村夏子の「星の子」が選出されました。2014年のノミネートに続く2回目の芥川賞候補でしたが、新人作家・沼田真佑の震災を題材にした作品「影裏(えいり)」の受賞が決まり、今村夏子は、今回も受賞を逃す結果となっています。とはいえ、これまでに発表した作品数が少ない作家が2回も候補にあがったのですから、芥川賞ノミネートによる認知度の高まりは大きいものでしょう。

今、今村夏子の人気は、着実に高まってきています。最新作の「星の子」は、今村夏子が得意とする、ありふれた日常に潜む不穏な空気感漂う作品です。主人公は、両親が宗教にのめりこんでいるものの、幼い頃から当たり前のことだったので疑うこともありませんでした。

しかし、大人になるにつれて、その宗教に対して「何か変だ」と気付くまでの心の変化が描かれています。翻訳家である鴻巣友季子は、本作について、「ひとりの少女が目覚めに向かう物語」であり、また「『知らざる人の目』を失っていく、子供時代との別れの物語」とコメント。劇的な言い回しは一切登場せず、シンプルな言葉で、サラサラと進んでいく「星の子」ですが、変に詳しく描写しないからこそ、読者の想像力をかき立てます。

今村夏子が描くのは、人の心の奥深くに渦巻く、普段は決して言葉に出さない、どう出せばいいのかが分からないような感情です。彼女の作品を読むことでその感情が呼び起こされ、心に何かが突き刺さるところが魅力の1つだと思います。名誉ある「芥川賞」を受賞すれば、知名度がさらに上がり、本の売れ行きも上がることと思いますが、受賞にとらわれすぎず、これからも今村夏子らしい作品を発表していってほしいですね。

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