岩下志麻の旦那や娘、孫は?「岩下志麻という人生」感想ネタバレ!

岩下志麻の旦那や娘、孫は?桃井かおりと女の戦い!映画「疑惑」

岩下志麻は、往年の名監督小津安二郎の秘蔵っ子!

岩下志麻といえば、大抵の人が「極道の妻」の大姉御を思い浮かべるでしょう。岩下志麻は、1941年生まれの74歳。1960年に松竹入社したとき、往年の名監督、小津安二郎の「秋日和」に数シーン出演しました。

小津安二郎は、「10年に1人の逸材だから大切に育てるように」と松竹の幹部たちに語り、1962年、遺作となった「秋刀魚の味」のヒロインにも岩下志麻を抜擢しています。若い頃の岩下志麻が、小津監督好みのおっとりとしたお嬢さま女優であったことを知る人は、もうあまりいません。岩下志麻の旦那は、同じ松竹の監督であった、10歳年上の篠田正浩。大島渚、吉田喜重、篠田正浩に代表される松竹ヌーベルバークの旗頭でした。

旦那・篠田正浩の、岩下志麻に対する落とし文句は、今でも有名です。「僕は女優岩下志麻を奥さんにもらったのだから、君は家事・育児を一切やらなくていい」と、言い切ったと言います。この言葉を聞いたら、現代の大抵の女性は喜ぶかもしれませんが、岩下志麻は、当初大いにとまどったそうです。

しかし、根がおっとりしていて従順な岩下志麻は、その後、家政婦に一切の家事をまかせ、女優業に邁進していきました。岩下志麻と旦那である篠田正浩の間には、娘もひとり生まれ、普通の子として育ち、今では結婚もして、岩下志麻には孫も二人いるそうです。

岩下志麻VS桃井かおりが激突した映画「疑惑」

岩下志麻は、ある意味、昔ながらの女優。役を演じているときは、その役になりきってしまうということなのでしょう。1982年に制作された松竹映画「疑惑」は、まさに新旧女優の激突を売りにした映画でした。

実際にあった保険金殺人をモチーフに、その被疑者である稀代の悪女を、70年代を代表する女優、桃井かおりが演じ、その弁護士役を岩下志麻が演じました。役と桃井本人がないまぜになった桃井かおりの演技に対して、岩下志麻も負けじと、その弁護士になりきり凄みのある演技を見せた怪作となっています。

岩下志麻出演「極道の妻たち」制作エピソード、あらすじ感想!

岩下志麻の姉御姿に、ふれ伏した本物の極道たち

岩下志麻がなりきった役柄で、もっとも自分の性格と対極にあったのが、「極道の妻たち」の姉御役でしょう。古巣の松竹とは違い、エログロナンセンス、男社会の東映映画で、この「極道の妻たち」は、爆発的なヒット作品となりました。さらに歴代の極妻の中でも、岩下志麻の初代極妻は、群を抜いた凄みと貫禄が備わっていました。

もはや都市伝説と化していますが、当時は、ホテルであっても、レストランであっても、移動中の新幹線であっても、本物の極道たちが岩下志麻を見かけると、最敬礼したと伝えられています。

岩下志麻が「極妻」でもっとも印象に残ったシーンは、かたせ梨乃とのガチ喧嘩

岩下志麻本人自身も、映画の中では、銃を撃ったり、自らの足にドスを突き立てたり、共演した、かたせ梨乃と大乱闘を演じたりしています。岩下志麻は、このかたせ梨乃との乱闘シーンが、極妻の撮影の中で、もっとも思い出深かったと、おっとり語っています。「本番はやっぱり、お互い全力でぶつかりあいました。叩いたり、髪を引っ張ったり、本気でやり合ったので、髪の毛は抜けるし、着物はびりびりに破けるし。撮り終えた時にはゼェゼェして、めまいがして、控室で休ませてもらった記憶があります」。

これもまた、徹底した岩下志麻の役作りの賜物でしょう。着物の着付け、たばこの吸い方から、「あんたら、覚悟しいや」といったドスの利いた言い回しまで、これらは全て、本物の姉御たちから岩下志麻が直接教わったもの。まるで姉御たちの心意気までが、岩下志麻に乗り移ったかのようでした。

岩下志麻と共演した哀川書翔、坂上忍の驚愕エピソード

岩下志麻は、いまや疑う者のない大女優です。極妻の姉御のイメージを強く持っている最近の若手俳優が、岩下志麻との共演が決まったりしたら、その緊張感はとんでもないことでしょう。今では、芸能界の兄貴キャラとして、若手芸人に恐れられている哀川翔もその1人。かつて岩下志麻と共演したことがあり、もっとも怖かった女優として名を上げています。

哀川翔は、岩下志麻と共演した現場で20回ほどNGを出したことがあって、「うわぁ……。ヤバいな」と焦っていると、岩下志麻は平然として、「大丈夫ですよ、哀川さん。私はね、107回NGに付き合ったことがありますから」と告げたそうです。哀川翔は、岩下志麻がなまじ優しかった分、逆に恐怖を感じて、必死で演技をして、やっと次のテイクでOKを出したそうです。実はもうひとり、今絶好調の俳優が子役時代、岩下志麻と共演して大失態を犯しています。

それが坂上忍です。映画「魔の刻」は、禁断の母子相姦を描いた問題作でした。ベッドシーンに臨んだ坂上忍は、緊張のあまりトイレに駆け込んだものの、前貼りが取れず、思わず前貼りの中に漏らしたとか。このとき、岩下志麻は「坂上君はまだ童貞だから仕方ないわよ」と、鷹揚に構えていたそうです。

このように、今や岩下志麻伝説はさまざまに語られています。しかし、真の岩下志麻を知るためには、岩下志麻の女優人生をロングインタビューした「岩下志麻という人生」という本を読む必要があるでしょう。サブタイトルは「いつまでも輝く、妥協はしない」。この言葉にこそ、岩下志麻の女優人生が凝縮されているようです。

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