川藤幸三の伝説エピソード!ベンチで燃やした猛虎魂が熱すぎる!

川藤幸三の伝説エピソード!ベンチで燃やした猛虎魂が熱すぎる!

川藤幸三の伝説のオールスター戦「幻の二塁打」に大爆笑!大幅減俸に著名人がカンパしたエピソードが熱い!

川藤幸三は、「浪波の春団治」の愛称でおなじみ、元阪神タイガースの代打男です。現役時代は、「記録より記憶に残る」個性派として鳴らしました。

1985年に阪神が日本一になった際も、リーグ優勝を決めた時点で、チームの精神的支柱として存在感を発揮した川藤幸三が、監督や主力選手に次いで胴上げされたほどです。球界きっての破天荒さで武勇伝も数多く、そのエピソードは伝説として語られています。

まずは、1986年オールスター戦での爆笑プレー「幻の二塁打」を挙げなければなりません。監督推薦で初出場したオールスター戦、川藤幸三は、大阪球場の第2戦で、9回表同点の場面に満を持して登場するや、左中間を破る長打性のヒットを放ちました。一塁ベースコーチの王貞治(巨人監督)も、当然セカンドまで進むよう指示。

しかし、予想以上に鈍足だった川藤幸三は、容赦ない中継プレーの前にセカンドで悠々アウト……場内は、大爆笑の渦に包まれました。本人曰く「ヒット打ってホッとしていたら、王さんが腕を回しとる。しゃあないから慌てて走った」とのこと。「草野球のオッサンみたいな走り方」「アウトで爆笑取るとはさすが川藤」と、爆笑の伝説プレーを生み出しました。

そして、忘れてはいけないのが、ファンをしびれさせた熱いエピソードです。1983年のシーズンオフ、球団からの戦力外通告に、「給料は要らんから野球を続けさせてくれ」と懇願した川藤幸三。結局、大幅減俸で阪神残留になりますが、この話に感動した上岡龍太郎ら阪神ファンの著名人が、「川藤の給料をワシらが出したろうや!」と有志でカンパを募りました。

「給料の足しにしてや」と集めた金を持参したところ、「気持ちはありがたいけど、それはでけへん」と固辞。川藤幸三は、「このお金はファンのために役立たせてもらいます」と、甲子園球場の年間予約席を購入して、ファンを無料招待しました。この予約席が、人呼んで「川藤ボックス」。他にも、遠征時にさんざん飲み食いして締めのラーメンを大盛りで何杯も食べたという豪快な大食い伝説など、川藤幸三の破天荒なエピソードはがてんこ盛りです。

川藤幸三が現役時代から燃やした猛虎魂!その伝統を託したのが「初代ミスタータイガース」だった!

川藤幸三は破天荒キャラですが、猛虎魂を熱く燃やした現役時代からずっと、数あまたの阪神ファンから愛されてやみません。まさに猛虎魂の権化、シンボルといえる存在です。ファンと気さくに語らう姿は、一見すると、愛すべき野球好きのオッチャンにしか見えません。

しかし、古巣へ叱咤激励を飛ばす熱い姿は、ベンチにふんぞり返っていた現役時代と変わりありません。そんな川藤幸三の猛虎魂を、さらに熱く燃えたぎらせた人物がいました。その名は藤村冨美男。といっても若い野球ファンはご存じないかも知れません。戦中から戦後にかけて猛虎打線の中軸を担い、「初代ミスタータイガース」とうたわれた伝説の強打者です。背番号「10」は、阪神球団の永久欠番。通常より長いサイズのバット「物干し竿」を愛用し、のちに水島新司の名作「あぶさん」で、主人公の景浦安武のモデルになった人物でもあります。

その藤村冨美男が甲子園球場を訪れたのが1985年のこと。川藤幸三に、「テレビで見たが、お前ベンチでふんぞり返っとるな」と語りかけます。「それでええんや。タイガースの歴史はお前ら補欠が築いてきたことを忘れるな。大学卒の主力選手が築いてきたわけやない。だから堂々とベンチにふんぞり返っとれ」と激励されたとのこと。

大先輩からの激励を、終始直立不動で聞いていたそうです。ベンチでふんぞり返る姿は、初代ミスタータイガースから託された猛虎魂の伝統を忠実に守り通した証しなのです。

川藤幸三の出身校や阪神タイガース入団の経緯!野球解説がヒドすぎる!?

川藤幸三は出身校ではエースで甲子園出場!阪神入団時は俊足、強肩だった?

川藤幸三には、「川藤を出さんかい!」とファンが怒鳴るCMがありました。満を持して登場した川藤幸三は豪快に三振し、「ホンマに出してどないすんねん!」とファンがぼやくオチが絶品でした。そんな川藤幸三は、1949年7月5日生まれの67歳。福井県三方郡美浜町出身で、右投げ右打ちです。野球を始めたきっかけはTVドラマ「スクール☆ウォーズ」で知られた「泣き虫先生」こと山口良治なのだとか。

山口良治が帰省した折り、出身の中学野球部が人手不足と聞きつけ、当時小学6年だった川藤幸三を強引に引っ張ってきたといいます。これが川藤幸三のプロ野球人生に連なるのですから、人生何があるか分かりません。出身高校は福井県立若狭高校で、野球部でエースとして活躍。1967年には、春夏連続で甲子園出場を果たしました。しかし、春の選抜で受けたピッチャーライナーで重傷を負ったため、ピッチャーを他の選手に委ねています。

1967年のドラフト9位指名で阪神タイガースに入団した川藤幸三。プロ入り当初は内野手でしたが、志願して外野手へ転向します。晩年の姿からは意外に思われるでしょうが、駆け出しの頃は、俊足&強肩がセールスポイントでした。1969年にはウエスタンリーグ最多の30盗塁を記録、同年5月には、1イニング3盗塁も決めています。

主に、代走・守備要員として1軍でプレーすることが多かった川藤幸三。先発出場する機会もありましたが、あるとき転機が訪れます。アキレス腱断裂という野球人生最大の危機に見舞われた川藤幸三は、バッティングで生きていくことを決意。これが代打男としての再出発につながります。余談ですが、アキレス腱断裂がきっかけでバッティングに活路を見出した例として、門田博光(南海-オリックス-ダイエー)や、前田智徳(広島)といった名前も挙がります。

いずれも外野手として走攻守に優れた能力を発揮していましたが、アキレス腱断裂で満足に走れなくなり、バッティングで球史に名を刻んだ好例です。

川藤幸三の実働18年間の通算成績は、771試合出場895打数211安打、打率2割3分6厘で、16本塁打108打点。それほど優れた成績を残したわけではないのに、主力選手顔負けの人気と存在感を誇るのはかなり珍しいことです。これはやはり、川藤幸三の人柄と生き様がファンに愛されているということにほかなりません。

川藤幸三の野球解説が「ヒドすぎる」と評判!他の追随を許さない路線は居酒屋のオッサンレベル?

川藤幸三の野球解説は、松村邦洋の物まねレパートリーで十八番として取り上げられるほどユニーク(?)です。解説といえば、通常は、配球や選手心理、プレーの技術論など、プロならではのハイレベルな内容に満ちているものです。しかし、川藤幸三の解説は、他の追随を許さない独自路線。

そのため、解説が「ヒドすぎる」との声も少なからず聞かれます。良く言えばシンプル、悪く言えばメチャクチャで大雑把なそれは解説ではなく、「川藤幸三独演会」が正しいのか……。同じ阪神OBの掛布雅之とは、解説の共演機会も多くありました。

掛布雅之は、元4番打者の経験に基づいた緻密な野球解説を披露してみせます。一方の川藤幸三は、感覚、精神論が満載です。アナウンサーが話を振っても、「あれこれ言わんと見ましょうや」「ワシには分からん」「気持ちの問題」と返す川藤幸三。これはもう居酒屋で飲んでいるオッサンの会話レベルと言われても仕方のないところです。

あるとき、阪神戦で、掛布雅之と一緒に解説に臨んだ川藤幸三は、序盤の阪神リードの場面こそ饒舌でしたが、逆転を許すと口数が少なくなり、敗戦が決定的になれば、「もう知らん。ワシ何も喋らん」と不機嫌に。毎年恒例の順位予想「1位阪神」に至っては、裏付けに満ちた予想というより、川藤幸三の個人願望としか思えません。彼に太刀打ちできるのは、世界の盗塁王・福本豊の「居酒屋解説」くらいなものでしょう。

川藤幸三OB会長としてルーキーにプロの洗礼!「酒ぐらい飲めるようになれ!」と強烈エール!

川藤幸三が、甲子園室内練習場で行われた新人合同自主トレを視察に訪れました。阪神OB会長としての顔も持つ「浪速の春団治」こと川藤幸三は、ルーキーたちに、さっそく「川藤流」プロの洗礼をお見舞いしています。パイプ椅子に腰かけ、トレーニング風景を眺める大先輩・川藤幸三に敬意を表してあいさつしたルーキーたち。そこに待っていたのは、思いもよらない一声でした。

「お前ら、酒はどうや?」。意図がくみ取れずにいるドラフト1位・大山悠輔内野手らルーキー3人に、「酒は1升飲めるんか?」とたたみかける川藤幸三。その迫力に圧倒され、ドラフト7位・長坂拳弥が思わず「1升飲めます」と返答。すると「大山、お前はどうや?」。「少しだけ飲めます」と大山悠輔が答えると、「プロに入ったら、酒ぐらい飲めるようになれ!」と、室内練習場に川藤幸三の一喝が響き渡りました。

そばにいた佐野仙好統括スカウトが、「OB会長ともあろう人が何を言っているんですか!」と慌てるも、「そんなこと関係あるかい!」と意に介さず。「プロなら、自分の好きなようにやったらええんや」と締めくくりました。川藤幸三の一喝の真意は、たくさん飲み食いをして、体をもっと大きくしてほしいというルーキーへのエールです。

「彼らは、これからどう体を大きくしていくかが大事。ワシは体こそ大きくなれんかったが、態度だけはデカかった」と自虐的な体験談を交えて語っています。現役時代の川藤幸三には、大食漢で酒豪として武勇伝も数あまたですから、これくらいは当たり前かもしれません。阪神OB会長でもある川藤幸三は、やはりご意見番としての愛情あふれる叱咤激励が持ち味。川藤節が炸裂するシーズン開幕が待ち遠しいですね。

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