くらもちふさこが少女漫画に与え続けている影響力がスゴイ!「花に染む」で手塚治虫文化賞を受賞!

くらもちふさこが少女漫画界に与えた影響とは?代表作「天然コケッコー」は映画化も

くらもちふさこが巧みなストーリー展開で少女漫画界に与えた影響力が凄かった!

1972年、「別冊マーガレット」に掲載された「メガネちゃんのひとりごと」でデビューを飾った人気漫画家くらもちふさこが、以後長きに渡って少女漫画界をリードしてきた極意とは何なのでしょう?

「おしゃべり階段」や「いつもポケットにショパン」などの人気作品が多くの読者の共感を得た秘密は、かつての少女漫画にはなかった巧みなストーリー展開や、主人公の繊細な心理描写にありました。くらもちふさこがデビューする前、少女漫画のテーマは、白馬の王子様が迎えにくるといった非日常的で夢物語風なものでした。

そんな風潮の中で、くらもちふさこが描いたのは、主人公が精神的に成長していく過程や、ごく日常的に起こる出来事。巧みなストーリー展開で読ませるといった、かつての少女漫画界にはない内面描写を重視した物語でした。このようなくらもちふさこの作風は、「乙女チック」ではなく「ドラマチック」と呼ばれるようになります。そして、その後にデビューした多田かおるやいくえみ綾、紡木たくといった、今も少女漫画界に君臨する作家たちにも多大な影響を与えました。

くらもちふさこの代表作「天然コケッコー」が夏帆と岡田将生で映画化!

くらもちふさこの代表作品「天然コケッコー」は、漫画雑誌「コーラス」にて1994年7月~2000年11月号まで掲載されていました。「別冊マーガレット」の看板漫画家だったくらもちふさこが、読者年齢層の高い「コーラス」に挑む形で書き上げたこの作品は、第20回講談社漫画賞を受賞。2007年には、「リンダ・リンダ・リンダ」で日本中をハートウォーミングな風で包んだ山下敦弘監督の手によって映画化もされています。

舞台は島根県の小さな村で、主人公は、全校生徒がたった6人の分校に通う、近隣でも評判の美少女・右田そよ(夏帆)と転校生の大沢広海(岡田将生)。2人の恋愛を軸に、取り巻く家族や友人、ごくあふれた日常が生み出す瑞々しい世界観が高い評価を得ました。

くらもちふさこの妹も漫画家!おすすめ作品や現在の活動は?

くらもちふさこの妹も実は漫画家!姉の多大なる影響を受けていた?

後輩漫画家に多大な影響を与えた少女漫画界のカリスマくらもちふさこには、同業の漫画家である妹の倉持知子(くらもちともこ)がいます。4歳下である妹・倉持知子は、姉の後を追う形で、くらもちふさこのデビュー4年後の1976年に、「花とゆめ」に掲載された「ジギーチャイルドを好きな子」でデビューを果たしました。

代表作品には「青になれ!」や「ジャストレディ」「東京パフェ」「僕の味方」「ずっと前から知ってた」などがあり、描いている世界観や漫画の画風を見ても、姉・くらもちふさこの強い影響を受けているようです。大学も、姉と同じ武蔵野美大を卒業していることから、カリスマ漫画家くらもちふさこの影響を誰よりも受けた漫画家の1人と言えるのではないでしょうか。

くらもちふさこの1970~1990年代のおすすめ作品と現在までの活動

1970年代後半~1990年前半に渡って「別冊マーガレット」の看板作家を張っていたくらもちふさこのおすすめ作品を紹介します。筆頭に挙げられる作品は、言わずもがな「おしゃべり階段」(1978)ではないでしょうか。繊細な主人公の描写と類まれなストーリー展開は、その後にデビューした多くの漫画家に多大な影響を与えました。

くらもちふさこの新たなる挑戦はその後も続き、「ポケットにショパン」(1980~1981)では、演奏シーンに音符や音を入れず、指の動き方だけで表現するという新しい画法を試みています。また、それまでの少女漫画の常識を打ち破った「主人公男子の内面描写を極力抑える」という斬新な手法は、映画化されて話題となった「天然コケッコー」にも存分に発揮されました。

近年のおすすめ作品と言えば、やはり弓道の世界を扱った「花に染む」です。1990年代に「コーラス」へ活動の場を移したくらもちふさこは、2010年3月より「花に染む」の連載を始めて、2011年10月に第一部が終了。2013年7月より「コーラス」の後継雑誌である「Cocohana(ココハナ)」にて新章の連載を始め、2016年9月に完結しました。

くらもちふさこがデビュー45周年!「花に染む」で手塚治虫文化賞を受賞!「アトムに会えるなんて夢のよう!」

くらもちふさこが、「コーラス」および「Cocohana」に掲載してきた「花に染む」が、第21回手塚治虫文化賞を獲得しました!2017年5月31日の贈呈式に臨んだくらもちふさこは、受賞決定の知らせを受けた後に、あまりの興奮からか、駅の階段から足を滑らせて捻挫したエピソードを披露。その時の気持ちを「人生において受け止められぬほどの賞の喜びと、捻挫の痛みでプラスマイナスになり、気持ちよく賞を受け取ることが出来ます」と語り、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で特別賞に輝いた秋本治と、ユーモアを交えたトークを展開しました。

2017年にデビュー45周年を迎えるくらもちふさこにとって、「花を染む」の連載は、苦労の連続だった様子です。「受賞して報われました。本当に良かった」と感想を述べ、ウェブに掲載した「花に染む」描き下ろしのイラストと共に、「デビューから45年後にアトムに会えるなんて夢のようです!」とファンに報告しています。

その言葉通り、くらもちふさこが原点としているのは、まさに「手塚マンガ」。どんな時にも妥協を許さなかった漫画の神様・手塚治虫のスピリットは、少女漫画界のカリスマと呼ばれ、斬新な手法や心理描写で多くの少女漫画家に影響を与え続けているくらもちふさこにも受け継がれています。「45年間、常に勉強です!」と進化し続ける漫画家くらもちふさこが、次にどのような新たなる挑戦を仕掛けてくるのか……本当に楽しみですね!

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