黒沢清監督映画「CURE」「LOFT」あらすじネタバレを解説!キャストは?

黒沢清監督映画「CURE」「LOFT」あらすじネタバレを解説!キャストは?

黒沢清監督映画「CURE」「LOFT」あらすじネタバレ!

黒沢清といえば、日本映画界ではキャリアの長い重鎮監督です。そんな黒沢清が監督した名作に、「CURE」と「LOFT」があります。この2作のあらすじとネタバレを少々。

「CURE」、こちらは1997年の作品です。日本インターネット映画大賞を受賞した「CURE」は、猟奇殺人を追う刑事が主人公です。刑事は犯人を追い詰めますが、やがて犯人にかけられていた催眠術が刑事に乗り移り、刑事自身が殺人のきっかけになってしまいます。凄惨な描写も多く、スリリングに展開する物語のタイトルが、癒しという意味を持つ「CURE」とされているのはなぜなのかが、作品のテーマになっています。

「LOFT」は、ミイラと死んだ女性の関わりをテーマにしたサイコホラー映画。執筆に悩む女性小説家である主人公が、編集者から部屋を貸し与えられます。しかしその部屋は、以前、編集者と交際していた女子大学生が殺された部屋でした。主人公の女性小説家は、ひょんなことから、ミイラを運び入れる男性を目撃。やがて、ミイラと、それを運ぶ男性、さらには編集者を巻き込んだ女子大学生殺人事件の真相に迫ります。最後には、亡霊として現れた女子大学生に遭遇して……というストーリーです。

黒沢清監督映画「CURE」「LOFT」のキャストが超豪華すぎる!2作とも出演しているのは?

黒沢清監督映画「CURE」と「LOFT」は、国内外で高い評価を得ました。黒沢清のディレクションが素晴らしかったのももちろんのこと、高評価の理由は、その豪華なキャスティングにも求められるでしょう。「CURE」の主演を務めたのは、黒沢清監督の盟友である役所広司。「CURE」に出演して以降、役所広司は、世界的にも有名な俳優になりました。その他にも、犯人役となる萩原聖人や、心理学者役のうじきつよし、主人公の妻役となる中川杏奈など、多彩な顔ぶれです。

「LOFT」のほうも、キャストの豪華さでは負けていません。実にそうそうたる顔ぶれで、主人公には中谷美紀が配され、編集者役に西島秀俊、ミイラを運び入れる男性学者を豊川悦司が演じています。また、殺された女子大学生役では、当時大人の演技派女優への脱皮を図っていた安達祐実が出演。

また、「CURE」「LOFT」どちらの作品にも出演している俳優もいます。それは、今や日本を代表する名バイプレイヤーとなった大杉蓮です。どの役者の演技も、黒澤清監督映画の面白さを引き立てているので、未見の方はぜひチェックしてみてください。

黒沢清が選ぶベスト映画ランキング!巨匠・黒澤明との関係は?

黒沢清が映画ベスト10を選出!第1位は……

黒沢清は、映画研究会を大学時代に自ら結成し、自主製作映画を製作してきたほどの映画好き。もちろん、国内外の映画にも造詣が深く、お気に入りの映画ベスト10を持っています。ここで、その黒沢清が選ぶベスト10を、日本国内、海外作品に見てみましょう。

まずは邦画。10位「Unloved」、9位「殺し屋1」、8位「お引っ越し」、7位「赤線玉の井 ぬけられます」、6位「座頭市(1989)」と続きます。気になるベスト5は、第5位が「ユリイカ」、4位「桜の代紋」、3位「殺しの烙印」、2位「人斬り与太 狂犬三兄弟」で、1位は、大島渚監督により1967年に発表された異色の青春映画「日本春歌考」という結果です。60年代の映画から2000年代まで、非常に幅の広い邦画からベスト10が選ばれています。

次は、黒沢清による洋画ベスト10。10位「グエムル―漢江の怪物―」と「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、9位「ミュンヘン」、8位「そして人生は続く」、7位「牡嶺街少年殺人事件」、6位「狩人」、5位「スポンティニアス・コンバッション 人体自然発火」、4位「ペイルライダー」、3位「ゴダールの探偵」、2位「ビリー・ザー・キッド 21才の生涯」。1位は1968年に制作され、いくつかの実験的表現がみられるリチャード・フライシャー監督の「絞殺魔」です。

こちらも、1960年代の映画から2000年代までが射程に入っています。スピルバーグ作品からヌーベルバーグ、メジャーからマイナー、アジアからヨーロッパまで、多彩な映画がランクインしていますね。この幅の広さこそが、黒沢清映画のエッセンスです。

黒沢清と名匠黒澤明は名字が同じ!その関係は?

黒沢清の名字は「黒沢」です。映画監督で「黒沢」とくれば、やはり、日本映画界の言わずと知れた名監督、黒澤明との関係が気になります。しかし、黒沢清と黒澤明、この2人の間には、何らの縁戚関係もありません。日本人であれば、名字にある「沢」と「澤」の漢字表記の違いから、自然に分かるかもしれません。

しかし、海外では、アルファベットで書くと同じKurosawaですから、「クロサワ(黒澤明)の血筋なのか?」と疑ってしまう声も多かったようです。何といっても、海外では、黒澤明監督といえば、「七人の侍」を始めとして、映画ファンでは知らない人がいない名監督。

英語で「Kiyoshi Kurosawa Akira Kurosawa」と検索すると、「この2人のクロサワには血縁関係があるのか?」という質問であふれかえり、そのほとんどに、「血縁関係はない」という返答が付いています。なんとも紛らわしい話ではありますが、本当に当惑しているのは、今や巨匠・黒澤明と同じく、世界的に有名となった黒沢清監督本人かも知れませんね。

黒沢清の最新作「ダゲレオタイプの女」はなんとオール海外ロケ!

黒沢清はすでに60代を迎えていますが、まだまだ意気盛ん。自分の芸術と表現を極めようとしています。そんな黒沢清の最新作は「ダゲレオタイプの女」。ロケーション、キャスト、言語が全てフランス語という、日本人監督にしては非常に珍しい試みで撮影された意欲作です。

舞台は、写真技術草創期のフランス。駆け出しの写真家志望の青年が、ダゲレオタイプという初期の写真機を使う撮影に参加。そのモデルとなり、何時間もその場に縛り付けられる写真家の娘と接するうちに、その女性を救いたくなるというストーリーです。黒沢清作品らしく、「ダゲレオタイプの女」は、心理描写と演技とに焦点を当てたものとなっています。黒沢清本人曰く、この映画で描こうと目指したのは、人間の普遍的なありさまであるとのことです。

しかし、そこはやはり黒沢清、こだわりも隠せません。製作手法などは、日本のプロダクションを排し、現地の慣習を採用。スタッフから俳優まで、全て現地でオーディションしたというから驚きです。大学時代に、黒沢清がレクチャーを受けたという、フランス映画の専門家・蓮見重彦などの影響が、この行動に表れていると読むことができます。キャリアを積んでなお、青年期の映画への思いを忘れない黒沢清の最新作は、新しい日本映画の地平を切り開いているといえるでしょう。

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