諸星大二郎は宮崎駿をも崇拝させる鬼才漫画家!経歴が気になる

諸星大二郎は宮崎駿をも崇拝させる鬼才漫画家!経歴が気になる

諸星大二郎を崇拝する宮崎駿が彼に捧げたオマージュ作品とは?

諸星大二郎の画風を一言で語るならば、「異類異形なる狂気」とでも表現すればいいのでしょうか。ふとした日常から生み出される不安・不信・孤独といった得体のしれない闇の世界を実物化した、独特の世界観を持つ作家。何とも怪しく妖しい雰囲気でありながら、「日本で無二の鬼才で奇才」と名高い伝奇漫画家です。

奇抜で怪奇的なテーマを扱う諸星大二郎は、そのおどろおどろしい内容にも関わらず、コアなファンばかりではなく、プロの漫画家の間でも絶大な人気を誇っています。その中には、国民的アニメの巨匠・宮崎駿も名乗りを上げており、「実をいうと『風の谷のナウシカ』は諸星さんに描いて欲しかった」とすら公言しています。

宮崎駿の諸星大二郎への崇拝はそれだけではありません。自らの代表作である「天空の星ラピュタ」で登場人物が叫ぶ「バルス!」という衝撃的なセリフは、諸星大二郎作品を元にしたオマージュではないかと噂されています。

諸星大二郎という無二の鬼才漫画家の経歴が気になる!

諸星大二郎は、「日本で無二の鬼才漫画家!」として、プロアマに限らず、大絶賛されてきましたが、メディアには滅多に顔を出すことはありません。独特で奇抜な諸星ワールドのルーツは、いったいどこから来ているのでしょう。その経歴を紹介していきます。諸星大二郎の出身地は東京都足立区ですが、1949年7月6日に、長野県北佐久郡軽井沢町で生まれています。

都立江北高校を卒業した諸星大二郎は、東京都電気研究所で公務員として3年間勤務。その後、1970年に、漫画雑誌「COM」に応募した作品が佳作となり、他に「漫画アクション」や「パピヨン」で作品を発表する機会を得ます。正式なデビューのきっかけになったのは「COM」の入選作となった「ジュン子・恐喝」です。

諸星大二郎は「COM」の応募理由として、「プロになろうという気持ちはなかったが、周囲にマンガ家仲間がいなかったので不安で応募した。自分のマンガがマンガ界の中でどういう位置にあるのか、自分はマンガ家志望なのか、単なるマニアなのかを知りたかった。模試試験のようなものだった」と語っています。

諸星大二郎「生物都市」に盗作疑惑!あらすじと見どころ!

諸星大二郎「生物都市」が完璧すぎて盗作疑惑?

諸星大二郎は、1970年に応募した「硬貨を入れてからボタンを押してください」が漫画雑誌で佳作を受賞し、その後にデビューを果たしました。4年後の1974年には、少年向けに描いた作品「生物都市」を、あの有名な手塚賞に応募。これが見事入選を果たしたことで、諸星大二郎は一躍時の人となります。

ところが、初めて応募した新人漫画家には思えないほどに作品の完成度が高かったことから、諸星大二郎には「どこからかアイデアを盗んで来たのではないか」との盗作疑惑が勃発。当時の選考委員だったSF作家・筒井康隆の元には、抗議や質問が殺到したそうです。

しかし、日本を代表するSF界の重鎮である筒井康隆が、そんな盗作疑惑のある作品を選ぶでしょうか。筒井康隆ほどの人物であれば、一目読むだけで、誰の影響を受けているかまで容易に分かったはずです。その証拠に、手塚治虫も、「この作品を強く推したのは筒井康隆さんと自分だ」と明言しています。

諸星大二郎「生物都市」のあらすじと見どころとは?

諸星大二郎が少年向けの作品を描いたのは、意外に思われるかもしれませんが、この「生物都市」が初めてでした。手塚賞に応募したのが1974年。物語の舞台は1980年代の後半ですから、近未来の世界を描いた作品といえるでしょう。衛星調査船「ヘルメス」は、調査のために降り立った木星の衛星イオで、新しい生命体と遭遇します。

彼らとの接触により、新たな変化を遂げた「ヘルメス」が宇宙から帰還すると、「ヘルメス」に起こった変化が、電話線や水道を通して伝染病並みに広がり、社会のありとあらゆる機能が全停止するという大パニックが。その変化とは、「有機物と無機物を融合させてしまう」、分かりやすくいうと、「機械と人間を融合させてしまう」恐ろしい同化現象だったのです。

これはまさに、「スタートレック・ネクストジェネレーション」の中に出てくるボーグ船の常套手段ではありませんか!エンタープライズ号のピカード艦長よりも先にボーグと同化した諸星大二郎、未来をも予言する発想力にはただただ脱帽です。

諸星大二郎は現代に生きるレジェンド!その才能に神様・手塚治虫もひれ伏した?

諸星大二郎と手塚治虫は、日本のマンガを語る上で、どちらも欠かせない人物です。マンガの世界では有名な話ですが、神様・手塚治虫は相当に負けず嫌いで、嫉妬深い性格だったといわれています。特に、映画のように劇画的なタッチのマンガ家には批判的でした。

手塚治虫は、ストーリーの面白さだけでなく、その卓越したデッサン力で、「自分が真似できない絵柄はない」と常日頃から豪語していましたが、その神の手をもってしても、「彼の絵柄だけは真似できない」と言わしめた作家がたった1人だけいます。その作家こそが、諸星大二郎です。他の作品を滅多に褒めることなかったあの手塚治虫が、諸星大二郎の「生物都市」を読んだ時の衝撃を、1979年に発刊されたまんが専門誌「ばふ」のインタビューで次のように語っています。

「この作品を読んだ時、これはどのような発想しているのか分からないけれど、とにかく奇妙な感覚を持っているなあ、これがSFまんがの“新しい波”なんだなあと僕たちは認めたのです」。神様・手塚治虫に自らの存在を“新しい波”と認めさせた実力もさることながら、諸星大二郎の凄さとは、過去の作品が、今読んでも全く色褪せていないことにあります。手塚治虫が「マンガの神様」ならば、諸星大二郎の存在はまさに「現代に生きるレジェンド」。彼の類まれなる才能を前にすれば、常人はただただひれ伏すしか術はありません。

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