高野秀行のノンフィクション作品が面白い!「謎の独立国家ソマリランド」は必読

高野秀行のノンフィクション作品が面白い!「謎の独立国家ソマリランド」は必読

高野秀行のノンフィクション作品は「ムー」が原点!?未知への好奇心と視点が面白い

高野秀行は、アジア・アフリカなど辺境地での冒険をテーマにした著作が高い評価を受けている、ノンフィクション作家です。高野秀行は、これまでに70カ国以上に足を運び、30以上のノンフィクション探検本を出版してきました。

高野秀行のモットーは、誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書くこと。2013年、第35回講談社ノンフィクション大賞など、数々の賞を受賞した「謎の独立国家ソマリランド」は、そのモットーが最も評価された作品であり、多くの探検愛好家たちの尊敬の念を集めています。高野秀行は、幼少期から好奇心旺盛で、高校時代には、学研の雑誌「ムー」などを読み漁って、超常的な謎に夢中になり、伝説の(?)冒険家・川口浩にも憧れていたそうです。

「学者が真剣に検証しない謎が気になって仕方がない」という非常にユニークな視点も、高野秀行の著書の魅力といえそうです。

高野秀行のノンフィクション代表作「謎の独立国家ソマリランド」驚きとユーモアに惹きこまれる!

高野秀行の出世作にして代表作「謎の独立国家ソマリランド」は、520ページに及ぶ超大作ですが、始終、読み飽きさせることのない驚きに満ちた1冊となっています。「ソマリランド」は、内紛のよって、20年以上も無政府状態が続いているソマリアの一部として見なされているため、国際的には、国家として認められているわけではありません。

ところが、ソマリアから独立を果たしてから十数年にわたって平和を維持し、電話やインターネットなどのインフラが充実しているといいますから、まるで桃源郷のよう。しかし、ソマリア自体が危険すぎるため、情報はおろか専門家もほとんどおらず、もちろん「ソマリランド」の内情も全く分かりません。

比較的治安がいいと聞いてはいても、周辺をイスラム過激派や海賊国家に囲まれている「ソマリランド」に入国するなど、命知らずもいいところです。そんな高野秀行の旅の道中には、やはり、考えられないようなトラブルが付きものでした。しかし、それさえも旅情にしてしまうフラットな語り口も、高野秀行のノンフィクション作品の面白さです。

高野秀行は「クレイジージャーニー」でも強烈だった!経歴、プロフィールは?

高野秀行は「クレイジージャーニー」危険地帯に7カ月潜入!常軌を逸した冒険譚に驚愕!

高野秀行は、ワイルドな探検家とはほど遠いイメージであるにもかかわらず、危険地帯にグイグイと足を踏み入れていく姿は、実にクレイジーです。常人離れした旅体験を持つ人々が多く出演してきたTBS「クレイジージャーニー」でも、高野秀行が披露した探検エピソードは、群を抜いて強烈でした。高野秀行は、1998年に、「アヘン王国潜入記」を出版するにあたり、約7カ月にわたって東南アジアのアヘン密造地帯に潜入取材しています。

一般的には、非合法薬物にまつわる売人や組織など、タブーに迫る取材になるところですが、高野秀行の場合は、彼らの心の中や、普段の生活が興味対象でした。そのために、際どい手段を行使して現地とのコネクションを作り、実際に、密造国家の人々と肩を並べ、7カ月間全く同じ生活を送っています。高野秀行が向かった州の当時の状況は大変な無法地帯で、30年前までは首狩り族だったため、「関わらないほうがいい」という情報もあったそうです。

それを、「行ってみなくちゃわからない」と一蹴してしまう無謀さや、現地での完全にアウトな高野秀行の生活ぶりは、本当にクレイジー。しかし、そこから持ち帰った現地の人々の素の表情は、やはりわれわれが思い描いたものとは全く違っているというところに、高野秀行の探検の意義があります。

高野秀行は早稲田大学探検部時代に「幻の怪獣・ムベンベを追え」で作家デビュー

高野秀行は、1966年10月21日生まれの、東京都八王子市出身です。幼い頃からの探検への憧れから、早稲田大学第一文学部時代は、探検部に所属していました。早稲田大学在学中の1987年には、アフリカ各地の湖に生息しているといわれるUMAの「ムベンベ」を探すべく、探検部を率いて、ンゴ共和国に向かっています。

当時はインターネットも未発達で、現地の情報は全くありませんでした。しかし、好奇心の赴くままに動き出した高野秀行は、自ら企業を回ってスポンサーを獲得し、現地の人との交渉も手探りでこなしていきます。高野秀行ら一行は、湖で40日にわたって「ムベンベ」を捜索するも、ついに発見することはできませんでした。

しかし、この時の探検行をまとめた「幻の怪獣・ムベンベを追え」で、ノンフィクション作家デビューを果たすことに。高野秀行の結婚した妻・片野ゆかも、「愛犬王-平岩米吉伝」で第12回小学館ノンフィクション対象を受賞した、ノンフィクション作家です。彼女は”犬”をテーマにした作品が主ですが、探究心旺盛な者同士で惹かれ合ったのかもしれませんね。

高野秀行の現在の興味は「納豆」に!命知らずな探検界のレジェンドの好奇心は縦横無尽だった

高野秀行は、ゲリラが占拠する麻薬国家や、無政府国家・ソマリアなどの超危険地帯へ、興味本位だけで行ってしまいます。現地の人々と同じ生活を送り、同じ言葉を使い、同じ釜の飯を食べることで、彼らの思考回路から理解したいということですが、潜入する段階で、命の保証は全くありません。

それにもかかわらず、毎回のように飄々と帰国し、「ゲリラの人々は悪人ではないですよ~」と言うわけですから、探検界のレジェンドと異名されるのにも納得がいきます。そんな高野秀行が、今、最も興味を抱き、取材を続けているのが「納豆」だというと、何だか拍子抜けしますよね。

しかし、誰もが日本にしかないものだと思い込んでいる納豆は、実は東南アジアからヒマラヤにかけて、多くの民族が食べている食材なのだそうです。納豆は保存がきくため、辺境地の食材として、古くから各地で発展したようで、”辺境地探検家”高野秀行にとっては、以前からかなり気になる存在ではありました。

突き詰めるうちに、「起原や発祥の地は?」「各国ではどの様な食べ方をするのか?」「今の食べ方は、いつから始まったのか?」「昔と作り方は同じか?」など、次々と新しい疑問が生まれ、かれこれ1年以上も取材を続けています。さまざまな疑問に対して、「閉ざしていてはダメだ」と言う高野秀行。

また、「私は、納豆を知っている」と思い込んでしまえば、納豆の真実を知る機会は永遠に訪れません。高野秀行ほど、縦横無尽に好奇心を満たし続けるには、人生が何年あっても足りそうにありませんが、「疑問を持ったら、どこへでも赴いて尋ねてみよう!」という精神は、人生を豊かにしてくれそうです。命を投げ出す真似はできずとも、この積極性は、あらゆる分野における成功論のような気がします。

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