高野ひと深「私の少年」月刊アクションで連載中!美少年とOLの間に生まれる感情とは?

高野ひと深「私の少年」月刊アクション連載中!美少年とOLの間に生まれる感情とは?

高野ひと深「私の少年」月刊アクション連載中の話題作!あらすじ

高野ひと深「私の少年」は、双葉社「月刊アクション」に連載されている作品です。イラスト投稿サイト「pixiv」で第1話が公開されて以降、物語の特異性に加え、その画力の高さから、「まんが史上もっとも美しい第一話」として話題となりました。

物語の主人公は、スポーツメーカーに勤める30歳のOL多和田聡子。昔の恋人が上司として会社におり、その思わせぶりな行動に、我知らず翻弄される日々を送っていました。あるとき、毎日通る公園でサッカーの練習をしている子供に、酔った勢いでリフティングを教えた聡子。そのことがきっかけで12歳の美少年、真修と関わっていくことになります。

少女と見まごうばかりに伸びた髪や、年齢よりも幼い服装など、真修は、家庭に何やら訳ありの様子。聡子自身の子供の頃や、昔の恋の傷を絡めながら、聡子と真修の不器用で静かな心の交流が綴られていきます。

高野ひと深「私の少年」ネタバレ!美少年とOLの間に生まれる感情とは?

高野ひと深「私の少年」は、30歳のOLと、12歳の美少年の交流が描かれる物語です。宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」の、幼い少女と成人男性の同居や、チカ「これは恋のはなし」の訳あり成人男性と少女の、21もの歳の差がある2人の恋物語など、大人の男性と少女という構図の物語はあります。

しかし、少年と成人女性を題材にした作品は、そう多くはありません。1巻の段階の2人は、出会って関わり合いを持ったばかり。お互いに、心の傷や、複雑な家庭の事情を察しているものの、放っておけない子供と、助けてくれる優しい大人、という域を出ていないように見えます。

しかし、聡子が真修のサッカーの応援にいく話では、どこかぎこちなかった2人が、帰りの車の中では自然と笑い合うように。大きな変化ではないものの、互いへの感情が少しずつ変わっていくのではないかと予感させるシーンとなりました。

高野ひと深「私の少年」の魅力は描写の巧さ!コミック最新刊情報

高野ひと深「私の少年」の魅力は巧みな描写と美しい絵!

高野ひと深「私の少年」は、現代社会が舞台です。聡子は、会社に出勤し、ままならない感情を抱える大人の女性で、真修は、自分の力ではどうにもできない家庭の事情を抱えています。そんな複雑な現代社会を舞台にしながらも、透明感のある空気を感じさせ、澄んだキャラクターの目が印象的な「私の少年」。聡子は目力が強く、自立した大人の女性という印象で、2巻の表紙に描かれた真修も、無垢という言葉がぴったりな大きな瞳が印象的です。

このように、「私の少年」の魅力は、美麗な絵にあるといえるでしょう。もうひとつの魅力が、巧みな心情描写です。たとえば、聡子は、8年間毎朝、記録をせずに体温を測ることを習慣にしています。この日常的な行動は、元彼へのわだかまりの結果ですが、聡子が、その理由から目をそらしたまま生きてきたことが、後の出来事で発覚します。

特別に理由が語られなくても、行動にはちゃんとした心情的な理由がある。作者の高野ひと深は、そう感じさせる描写で、キャラクターの心理を巧みに表現しています。

高野ひと深「私の少年」2人の関係が少しずつ変わり始めるコミックス最新情報

高野ひと深「私の少年」のコミックス既刊は2巻。2016年12月12日に、待望の2巻が発売されたばかりです。1巻では、聡子と真修の出会いから、サッカーを通じて徐々に深まっていく絆が描かれました。2巻では、周囲も巻き込みながら、2人の関係や、互いに対する感情が、わずかばかり変化していく姿が、日常生活の中で表現されています。

1巻と2巻の最大の違いは、真修と聡子の関係を知る人物が外部にできたということです。読者が満場一致で「ウザい」と評する元カレ兼上司・椎川の言葉に、聡子の気持ちは、またも迷走します。外部の大人として、椎川の意見は最もではあるものの、読者は、「そんな常識よりも、真修と聡子に幸せになってほしい」という思いが強くなっているため、やきもきすることに。真修の父親の存在も相まって展開される不穏な行方にも落ち着かない気持ちにさせられます。

高野ひと深「私の少年」男性読者の支持も熱い!年齢差18歳の2人が行き着く先とは

高野ひと深「私の少年」は、30歳のOL聡子と、12歳の小学生・真修の物語です。まだ知り合ったばかりの2人の距離感はぎこちなく、知り合い程度から、それぞれが気になる存在になったばかりといった雰囲気。真修には、家庭の事情で、髪を伸ばしたままにしていたり、体型に合っていない服装をしていたりすることもあり、12歳という年齢よりも頼りなげで幼い印象を受けます。

2巻までの「私の少年」での聡子と真修は、自身を取り囲むままならない事情や過去に傷つき、寄り添っているような状態です。2人の関係に名前を付けることは難しく、まさに「支え合っている」という言葉がしっくりきます。しかし、会話をし、行動を共にすることで、2人の感情は変化していきます。真修が、頼りになるものの、時おり弱い部分も見せる聡子という大人の女性に惹かれ、恋をしていく可能性は大いにありそうです。

椎川と初めて顔を合わせた時に、「サッカーを教えようか」と、聡子と親しいことをさりげなく匂わせながら提案してきた椎川に対し、真修は、断りの言葉を口にしていました。このシーンからは、12歳の少年から、徐々に男性へと成長していく姿の片鱗が垣間見られ、心境にも大きな変化が起こるのではと想像させられます。劇的な変化はないものの、季節が移ろうようにゆっくりと、しかし確実に何かが変わっていく聡子と真修の関係。「私の少年」の巧みな心理描写は、読者を惹きつけてやみません。

近年、集英社「君に届け」や「俺物語」など、男性読者を虜にしている少女漫画が多数存在しています。少女漫画の魅力は、登場人物の丁寧な心理描写です。「私の少年」も、どちらかといえば女性向けの内容ですが、高い画力と印象的な描写で、多くの男性ファンをも獲得しています。

宝島社主催のコミックランキング2017年「このマンガがすごい!オトコ編」では、2位にランクインした高野ひと深の「私の少年」。2人の行きつく先には波乱が待ち受けていることは想像に難くありません。読者が思い描いている結末ではないかもしれませんが、2人にとっての幸せの形がくっきり見える、そんな結末を迎えることを願ってやまない作品です。

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