横山ホットブラザーズが大阪市の無形文化財に指定された!兄弟漫才としての真の実力とは

横山ホットブラザーズのギャグがとにかく聞かせる!使用楽器を解説!

横山ホットブラザーズ「お~ま~え~は~あ~ほ~か~」を奏でる楽器はミュージックソー!

「お~ま~え~は~あ~ほ~か~」。このフレーズを読んですぐに、独特のメロディと楽器をイメージできる人は、根っからの大阪人か、お笑いマニアでしょう。

これは、楽器を用いた音曲漫才の横山ホットブラザーズが、のこぎりの形をした楽器ミュージックソーで奏でる、決めギャグの1つです。家族と弟子で結成された横山ホットブラザーズのデビューは、なんと戦前の1936年。グループは、一族・弟子で入れ代わりながら、80年以上も活動しているという、まさに生きた笑いの骨董品、いや宝と言えます。

横山ホットブラザーズは、寄席への出演や、関西を中心に巡業を行っていますが、今では、このギャグが出る時は、観客に笑いよりも感動の拍手が起こるという不思議な現象が起きています。

横山ホットブラザーズのテーマソングをあなたは知っているか?!

このギャグとともに有名なのが、漫才冒頭に横山ホットブラザーズのメンバーが楽器を奏でながら歌うテーマ曲です。「明るく笑ってリズムショー♪楽しく唄ってリズムショー♪仲良く陽気に奏でる。ホット、ブラザーズ〜♪」。まだテレビなどが普及していない昭和30年代には、彼らのような音曲漫才が人気で、達者な演奏とともに流行りの歌を歌い、喝采を浴びていました。

今はそれぞれがベテラン女優として活躍するかしまし娘もまた、三味線とギター2本で「ウチら陽気なかしまし娘♪誰が言ったか知らないが女三人寄ったら♪姦しいとは愉快だね」と歌い、一世を風靡しました。

横山ホットブラザーズのメンバー変遷!三兄弟のプロフィールは?

横山ホットブラザーズ80年に及ぶ芸歴

横山ホットブラザーズは、1936年、リーダーである父・横山東六と、母の登志子、娘のセツコ、リュウコに弟子一門で、「横山トーロクショウ」としてデビュー。リーダーの横山東六は、音楽学校を卒業したオーケストラの楽士出身でした。翌年、次男でアコーディオンのマコト、そして1944年には長男のアキラも参加し、1952年に横山ホットブラザーズと改称。

弟子の入れ替わりを経ながら、1966年には、ギター担当の三男セツオが加入しました。今では、長男アキラのミュージックソーばかりが有名ですが、父・横山東六の達者なバイオリン演奏やゴリラのまねなどは、往年のお笑いファンの記憶に今も残っています。

横山ホットブラザーズ兄弟漫才としての真の実力

1975年に、父・横山東六が引退した横山ホットブラザーズは、その名の通り、長男、次男、三男のトリオ体制となりました。その後は漫才ブームもあり、東京でも知られるようになり、上方お笑い大賞審査員特別賞や上方漫才大賞など、数々の賞に輝き活躍します。そして1996年には、第51回文化庁芸術祭大賞を受賞。2009年に、上方演芸の殿堂入りを果たしました。

現在は、ケーエープロダクション所属のまま、吉本興業と業務提携していて、相も変わらず忙しく活動しています。ちなみに、ミュージックソーで奏でられる楽曲は、「荒城の月」や「お正月」など誰もが知っている唱歌から、関西ではスベリ知らずの「六甲おろし」まで。最近では、レパートリーに「世界で1つだけの花」も加わりました。

横山ホットブラザーズが大阪市の無形文化財に指定された、お笑いにとっての奥深い意味

横山ホットブラザーズが、また新たな栄誉に輝きました。2017年6月、大阪市は、横山ホットブラザーズを市の無形文化財に指定。これは、兄弟漫才「夢路いとし・喜味こいし」に続いて2組目の快挙となります。思えば、お笑いの世界も大きく様変わりしました。まず大きいのは、吉本興業による芸人のタレント化をもくろんだ養成所の設立が、師弟制度を崩壊させたことです。

確かにこれにより、お笑いの世界のすそ野が一気に広がり、今の隆盛を迎えるのは事実でしょう。しかし、これまで親兄弟や弟子へと伝授されてきた伝統芸としてのお笑いは、今や、風前の灯です。その最たるものが、間。いくら、間髪を入れず、切れ味鋭いボケ・ツッコミを見せられても、心温まる笑いにはなりません。親子、夫婦、兄弟による、あうんの呼吸。師匠の芸を永年見続け、盗むことによって初めて習得される、間。

奇をてらうばかりの若手芸人には、横山ホットブラザーズが放つ、老若男女誰もが笑うことのできる優しい笑いを心から学んでほしいものです。しかし、横山ホットブラザーズは、長男アキラが84歳、次男マコトが82歳、三男セツオが71歳という高齢です。父の横山東六でさえ、糖尿病の持病もありましたが、引退したのが75歳。数少なくなった音曲漫才の灯を消さないためにも、ネオ横山ホットブラザーズの結成が期待されますが、いまだその噂は聞こえてきません。親族だけでなく、若手芸人たちの奮起を期待したいものです。

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