横山光輝の漫画「マーズ」あらすじネタバレ!驚きの最終回とは?

横山光輝の漫画「マーズ」のあらすじネタバレ!驚きの最終回とは?

横山光輝のSF漫画「マーズ」地球破壊の使命を忘れたマーズの戦いの行く末は?

横山光輝は、手塚治虫や石ノ森章太郎と並ぶ、巨匠の名に相応しい偉大な漫画家です。日本漫画に巨大ロボットを初めてもたらした「鉄人28号」や、魔法少女漫画の歴史の幕開けとなった「魔法使いサリー」など、今日の大衆アニメの下地を築いた作品群は、まばゆいばかりの光を放っています。

同じく、1976~1977年に「週刊少年チャンピオン」で連載された漫画「マーズ」は、後世、数度にわたってアニメ化された横山光輝のSF代表作です。「マーズ」は、異星人が、地球を破壊するために、地球にセットした人造人間の少年・マーズが主人公。マーズは、火山活動によって、予定より100年早く目覚めてしまったため、”地球を破壊する”という使命を忘れてしまっていました。

自らの守護ロボット・ガイアーと共に、マーズと同じく地球にセットされていた監視者と、彼らが操るロボット・六神体に戦いを挑みます。この「マーズ」を原作としたアニメとしては、1981年の「六神合体ゴッドマーズ」が有名ですが、横山光輝の了解の下で大幅な改編が行われているため、そもそもの設定から全く別物となっています。

そして、アニメ版を「マーズ」だと思っている人ならば、漫画版で迎える結末には、かなりの衝撃を受けるかもしれません。

横山光輝漫画「マーズ」容赦ない最終回にガッカリ!?絶望と無力が伝えるものとは

横山光輝漫画「マーズ」を原作とするアニメ「六神合体ゴッドマーズ」は、合体ロボットものとして描かれており、最終回では、激しい戦いの末、恋が実る形でハッピーエンドを迎えています。漫画版の「マーズ」の最終回でも、マーズが、六神体の最後の敵・ラーを葬り、地球が救われた時点で全てが終わるものと思われました。ところが、人類のために死闘を繰り広げたはずのマーズを元凶視する人間たちが、「地球が滅亡するなど嘘だったではないか!」と、マーズを集団リンチ。傷だらけになったマーズは、「ドウシテボクハ、コノ動物ヲ守ロウトシタノダ」と絶望し、ガイアーに内蔵された爆弾を起爆させ、地球を消滅させてしまいます。

マーズが地球を守ろうと決意したきっかけは、人類の考え方や歴史を教え、語り明かした、春美という娘の存在でした。通常ならば、この春美が物語上のヒロインとなりそうなものですが、マーズの胸中にも全く描写されることなく、全員死亡という最悪の最終回を迎えています。絶望と無力感に満ちた容赦ないバッドエンドではありますが、「こんな事態を招いてはいけない」という人類への警告を、横山光輝は描きたかったのかもしれません。

横山光輝は日本史漫画も読み応えあり!出身地やプロフィールは?

横山光輝は日本史漫画は実用性タップリ!「徳川家康」は超オススメ!

横山光輝は、「三国志」や「史記」などの中国史を扱った長編漫画が有名ですが、日本史漫画も数多く手がけています。名立たる日本の戦国武将らを描いた作品群のうち、特におすすめなのは「徳川家康」です。現在出回っている文庫本サイズのものでは、1冊500ページのものが8冊と、かなりのボリュームとなっており、小学生の教育漫画としては適していない可能性があります。

しかし、何より1950年代に大ベストセラーとなった山岡荘八の小説が原作となってるだけに、面白くないはずがありません。歴史を学び直したい大人にとって、これほど分かりやすく、実用性の高い教本はないと思われます。山岡荘八原作の作品では、「徳川家康」の他にも、「豊臣秀吉」「伊達政宗」「織田信長」なども、横山光輝によって漫画化されています。

そんな中、豊臣秀吉や織田信長の生涯も詳細に描かれている「徳川家康」は、導入編として最もオススメです。

横山光輝の出身地は兵庫県神戸市!手塚治虫との出会いと”漫画の鉄人”の誕生秘話

横山光輝は、1934年6月18日、兵庫県神戸市須磨区に生まれました。太平洋戦争中だった少年時代は鳥取県に疎開していましたが、戦後の手塚治虫SF代表作「メトロポリス」に感銘を受け、神戸市立須磨高校在学中から漫画誌に作品を投稿するようになります。

高校卒業後、一度は銀行に就職した横山光輝でしたが、漫画を描く時間が確保できないことを理由に退職。映画会社に勤務していた1954年、ある出版社の社長の導きで会った手塚治虫に、自身の漫画「魔剣列剣」が絶賛されたことがきっかけとなり、漫画家デビューを果たしています。

手塚治虫が、”売れる漫画家”と評した横山光輝は、1956年に発表した「鉄人28号」で、手塚治虫の「鉄腕アトム」と人気を二分する大ヒットを飛ばすと、瞬く間に人気漫画家の階段を駆け上がりました。しかし、無類のヘビースモーカーだった横山光輝は、2004年4月15日、寝煙草の不始末によって東京都豊島区の自宅が火事に見舞われ、69歳の生涯を閉じることに。

死の直前に単行本最終巻が刊行された「殷周伝説・太公望伝奇」が、”漫画の鉄人”と呼ばれた横山光輝の遺作となりました。

横山光輝作品の流儀とは?「鉄人28号」ロビー&ケリー編など未発表作品の出版相次ぐ

横山光輝は、自身の漫画作品には厳しく、未発表となっている作品は、かなりの数にのぼるそうです。それでいて、決して横山光輝の意図するところではない出来栄えだとしても、自身の漫画作品の映像化に対しては、非常に寛容だったといいます。手塚治虫が、「彼の作品は、計算の上でのサービス精神に溢れている」と絶賛したように、横山光輝は、”その時代の読者や視聴者が求めるもの”を研究する姿勢を持ち続けました。

これは、映画会社での勤務経験から生まれた発想です。横山光輝は、常に新しい大衆趣向を取り入れるため、映画館へ頻繁に足を運んだといいます。その結果、ロボット、忍者、番長、SFものといった少年向けの作品から、少女向けのもの、大人向けの作品まで、幅広い分野の扉を後世に向けて開いた横山光輝は、かのロボットより重厚な”鉄人”といえそうです。

そんな横山光輝の未発表作品が、「ジャイアントロボ」をはじめ、彼の死後、相次いで単行本化されています。2016年10月14日には、単行本化されていなかったエピソードを収録した「『鉄人28号』生誕60周年記念読本・ロビー&ケリー」が出版されました。

現在、約600万円の寄付金で塗り替え作業が行われている、兵庫県神戸市長田区の「鉄人28号」の巨大モニュメントも、本人の死後に建立されたものです。生前の横山光輝が、こういった動きに何を思うかは、今となってはうかがい知ることはできません。しかし、偉大な巨匠の作品に触れたいという現代人のニーズは潰えることなく、それに応えるだけの器が、死してもなお横山光輝には感じられます。

関連記事

ページ上部へ戻る