吉川景都の話題作「鬼を飼う」!昭和初期を舞台にした怪異譚がじわじわきてる!

吉川景都の話題作「鬼を飼う」!昭和初期を舞台にした怪異譚がじわじわきてる!

吉川景都プロフィール!話題作「鬼を飼う」は昭和初期が舞台の怪異譚

吉川景都(よしかわけいと)は、「鬼を飼う」「猫とふたりの鎌倉手帖」など、複数の連載作品を持つ漫画家です。2003年に「LaLa」でデビュー後、ハイテンションなギャグ漫画「24時間サンシャイン!」で単行本デビュー。ギャグ、ホラー、推理と、ジャンルにこだわらない作風が魅力です。

「鬼を飼う」は、昭和初期を舞台にした怪異譚。昭和7年、東京本郷で、金髪の少女アリスと出会った帝大生の鷹名基は、連れられていった先で不思議な店と出会います。鳥獣商だという店主の四王天は鷹名に、ある生き物をすすめました。小さな猿ほどの生き物は「鬼」。四王天は、伝説や神話に登場する、架空と思われている生き物を扱う奇獣商でした。

こうして、鷹名と友人の司怜一は、四王天と奇獣を巡る人々と関わっていくことになります。「鬼を飼う」は、鷹名やアリスを巡る物語があるものの、基本的には1話完結の物語。ホラーから感動ものまで、人と奇獣のさまざまな物語を楽しむことができます。

吉川景都「鬼を飼う」ネタバレ!味わい深い奇獣が続々と登場

吉川景都「鬼を飼う」物語全体の主人公は鷹名。周囲からは、どこか浮世離れしていて、何を考えているのか分からない、と言われている人物です。鷹名が地に足がついていない雰囲気を持っているのは、水神に捧げられる贄として育てられたためでした。

加えて、奇獣に好かれやすい血を持つ「鬼飼血統」の持ち主でもあります。奇獣であるアリスに懐かれているのもそのため。鷹名が奇獣に引き寄せられるのも、体質による影響が少なからずある様子です。奇獣はそれぞれに特徴があり、飼うためにはルールを守らなければなりません。

鷹名が物語冒頭で譲り受ける鬼は、謎かけを好む生き物。昼に7問、夜中に5問、必ず答えて正解しなければ、食われてしまいます。他にも、どんな病でも治してくれるものの、限界になったら取り込んだ病症を霧として吐き出してしまう「くくる」や、面白い話を聞き、書き留めてそれを食べる「ききみみ」など、個性豊かで味わい深い奇獣が続々と登場します。

吉川景都おすすめ作品「モズ~葬式探偵の挨拶~」「猫とふたりの鎌倉手帖」とは?

吉川景都おすすめ作品「モズ~葬式探偵の挨拶~」葬式探偵が難事件を解決?

吉川景都の「モズ~葬式探偵の挨拶~」は、「オフィスユー」で連載されている作品です。もともとは「コミック怪」で連載されていた作品でしたが、本誌の休刊もあって一度連載を終了。新たに場所を変えて連載が再開されました。民俗学者の百舌一郎は、地域によって習慣の異なる葬儀について研究しています。葬儀があればどこへでも駆けつけますが、その先で不可解な事件に巻き込まれることもしばしばです。

ついたあだ名は「葬式探偵」。助手の都とともに、日々さまざまな葬儀に出かけ、葬儀にまつわる事件に巻き込まれていきます。誰しも一度ならず向き合わなければならない、葬儀という現場を百舌の目を通して客観的に見ることができます。死を取り扱ってはいますが、推理ものなので、ずっと空気が重いということはなく、テンポの良さで読ませる作品に仕上がっています。

吉川景都「猫とふたりの鎌倉手帖」猫好き漫画家の真骨頂!猫+新婚夫婦ののんびり鎌倉ライフ

吉川景都は、夫に娘、加えて猫4匹と暮らす猫好き漫画家です。SNSでは、自宅の猫の写真を頻繁にアップ。作品にも多く猫が登場しており、その1つが「猫とふたりの鎌倉手帖」です。「コミックバンチ」等で連載されていた、「片桐くん家に猫がいる」の続編的作品です。前作では、祖父の残した家と猫3匹とともに生活する片桐くんの、ほんわかとしたスローライフが描かれました。

「猫とふたりの鎌倉手帖」では、前作の最後に婚約した美穂子と結婚した片桐くんは、猫たちとともに鎌倉へお引越し。新婚夫婦と猫5匹の、新しい土地での温かくも賑やかな日々が始まります。猫の話題を中心に、片桐くんと美穂子さんの猫好き夫婦の関係や、ご近所付き合いなどを描いていきますが、猫あるあるネタが満載で、猫飼い読者の共感度はかなり高め。巻を追うごとに夫婦の関係にも変化が現れ、猫とのほのぼの以外のストーリー展開でも読ませる作品となっています。

吉川景都に大注目!多忙な漫画家の今後と注目作「鬼を飼う」の展開は?

吉川景都は、「鬼を飼う」「猫とふたりの鎌倉手帖」「モズ~葬式探偵の挨拶~」の3作品を同時に連載しています。もとより、緑川ゆき「夏目友人帳」や、今市子「百鬼夜行抄」等のヒットもあってか、日本古来の妖怪や幽霊を扱った作品の人気は高めな傾向。

中でも奇獣という一風変わった題材を扱っている「鬼を飼う」は、書店員や漫画好き読者の注目度が高く、話題となっています。主人公の鷹名を中心に、奇獣とそれを取り巻く人々との関わりが描かれていますが、根底にはもっと大きな物語が流れている様子です。

奇獣商の四王天を追う特別高等警察調査二係や新聞記者などに加え、何か企んでいそうな軍服らしき男の姿も見え隠れしています。アリスの正体も明かされていない上、奇獣とそれに関わる人々や世界観にもまだ謎が多いこともあり、物語の展開はかなり気になるところです。「鬼を飼う」には、血なまぐさく、恐ろしい奇獣も登場します。

しかし、1巻に登場する、人の寿命を食べて生きる「金華猫」や、2巻からたびたび姿を見せるドジ狐「葛の枝」など、人と良好な関係を築こうとする穏やかな奇獣もおりますので、ご安心を。中でも、特高調査二係のお父さんこと三条格(さんじょういたる)が、個人的に所有している奇獣「ききみみ」は、兎の面のような顔に着物を羽織ったずんぐりとした姿でかなり愛嬌があります。

時折厄介なこともしますが、それも御愛嬌。「鬼を飼う」のマスコットキャラクター的な部分も担っています。他の作品とは違い、アクリルや水彩絵の具を使用したカラー絵も美しい「鬼を飼う」は、昭和のレトロな雰囲気たっぷり。1巻発売時には、ニコニコ動画で特別番組を放送し、ライブペイントを行い、好評を博しました。

2巻発売時にも、該当書店で複製原画プレゼントするキャンペーンからも力の入れようがうかがえます。怪しげな雰囲気漂う昭和初期を舞台とした怪異譚を楽しみながら、お気に入りの奇獣をお探しください。

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