「ざんねんないきもの事典」から学ぶ人間社会での生き残り方!色々な「残念」が面白い

「ざんねんないきもの事典」に続編が出た!

「ざんねんないきもの事典」に続編!売れているのは「うんこ漢字ドリル」だけじゃない!

「うんこ漢字ドリル」の大ヒットをはじめ、子供を対象にした本のヒットが続いています。その1つが「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」です。2016年5月の発売から1年が経過し、35万部を売る大ヒットとなりました。

もともとは小学校4年生の男の子が面白がって読むような1冊を目指して作られたものでしたが、子供と一緒に読んだ大人も巻き込み、幅広い読者層から支持を得ているようです。読者からの熱い反響に応え、2017年6月には、続編「おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典」も発売されています。

「ざんねんないきもの事典」がヒットするワケ!

「ざんねんないきもの事典」は、みんなが知っている生物のちょっと変わった習性や性質を、ユーモアあふれる文体で紹介しているのが特徴です。「メガネザルは目玉が大きすぎて動かせない」といった目をひくようなユーモラスな見出しが並んでいる本書。「事典」の名の通り、それぞれの項目だけで独立して読めるので、普段は本を読まないような子供でも気軽に手に取って、気になったところだけ読むことも可能となっています。これらの工夫が、普段は本を読まない層にもアピールし、大ヒットにつながったようです。

大人がはまる動物事典!色々な「残念」が面白い

ざんねんないきもの事典の色々な「残念」が面白い

「ざんねんないきもの事典」は、小学生を対象に企画された本です。しかし、事典の中で紹介される色々な残念ぶりは大人の心も打つようで、子供に限らずはまる人が続出しています。「ラッコはお気に入りの石をなくすと、ごはんが食べられなくなる」というちょっと可愛い「残念」ぶりや、「シマリスのしっぽはかんたんに切れるが、再生はしない」といったちょっと怖い「残念」ぶりまで。事典の中で紹介される習性はさまざまで、読んでいると、動物園等で目にすることもできる動物たちの意外な素顔に驚かされます。

ざんねんないきもの事典は大人がはまる動物事典!残念さが人間社会を彷彿!?

「ざんねんないきもの事典」が大人を巻き込んでヒットした理由としては、事典で紹介されるエピソードに、人間社会を彷彿とさせ、大人が共感するポイントが多数あったというのも見逃せないポイントです。たとえば、「フラミンゴの体が赤いのは食べ物のせい」の話では、フラミンゴの世界では白い羽はモテないので、カロテンを含む餌を食べて必死で羽の色を赤くしているというエピソードを紹介。モテようと羽を色付けようとする姿は、もてるために着飾る人間社会に重なります。動物も、人間と同じような「残念さ」を抱えて苦労していると思うと、不思議と癒される人が多いようです。

ざんねんないきもの事典の躍進の影に小ネタあり!人間社会で生き残る力になる?

小学生男子をモデルターゲットとして企画された「ざんねんないきもの事典」は、子供と一緒に読んだ母親層を皮切りに、読者層を大きく広げ、下は4歳から上は97歳までの読者を持つようになりました。ヒットの要因としてまず考えられるのは、一番のターゲットだった子供のために、随所に工夫がこらされているという点が外せません。

本を開くと、目に飛び込んでくるのは、可愛らしい動物のイラストです。文章は少なく抑えられ、絵や写真が大きくとられています。これだけでも、本嫌いの子供にとって大きくハードルが下がることは間違いないでしょう。また、動物の進化のように丁寧な説明を要するパートは、文章ではなく、漫画のような体裁をとって説明しているので、難しいと感じることなく理解することができます。

そして、なんといってもこのシリーズの最大の特色といえるのが、ユーモラスで目をひく見出しの存在です。
「キツツキは、頭に車が衝突したくらいの衝撃を受けている」
「カメムシは自分のニオイがきつ過ぎて、気絶する」

思わず、「本当に!」と言いたくなるような見出しのオンパレードに、子供でなくても気になることは必至です。また、紹介されているのが、山や海で目にしたり、テレビや動物園で一度は目にしたことがあるような生き物ばかりなので、余計に「えっ!」と思わされます。解説の文章もユーモラス。

小学生ならば友達に自慢したくなるような、読んだそばから誰かに話したくなる小ネタが随所に散りばめられています。たとえば、「シマリスのしっぽはかんたんに切れるが、再生はしない」の見出しに添えられた解説には、敵に襲われるとしっぽを切って逃げるトカゲと同じ防御本能だという学術的な知識とともに、「はしゃいでしっぽを持つと地獄図が広がることにもなるので、注意しましょう」というちょっとシニカルなユーモアあふれる小ネタも。

生き物の生体や進化の過程を紹介するのに、「残念」という新たな視点を与えたことが、「ざんねんないきもの事典」のヒットをもたらしました。一部からは、「残念な」とは、あくまで人間視点だという批判もあるようですが、これをきっかけに、あらゆる生き物に興味を持ち、目を向けるきっかけになれば、そうした批判も相殺されるでしょう。

「けなげに頑張る生き物たちに、自分の姿を重ねてしまった」という読者の声からは、残念な生き物たちに学ぶことで、人間社会で生き残る力を得た人もいることがうかがわれます。残念な生き物たちの躍進がどこまで続くか、気になるところです。

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