ヤノベケンジは大阪茨木市出身の現代アーティスト!プロフィールは?
ヤノベケンジは大阪府生まれの現代アーティスト!デビュー作「タンキングマシーン」とは
ヤノベケンジは、1965年大阪府に生まれ、6歳の時に、茨木市北春日丘に引っ越して来ました。茨木市といえば、すぐ近くで大阪万博が開催されていたエリアですが、ヤノベケンジが転居してきたときには、大阪万博はすでに終了。賑わいもかつてのものとなった「未来の廃墟」が、幼いヤノベケンジの恰好の遊び場となりました。
そうした経験も、現代アーティストとして活躍しているヤノベケンジに、何らかの影響を与えているのでしょうか。ヤノベケンジの作品は、鑑賞するだけのアートとは一線を画します。それは、見る人が何かを感じたり、発見したりするような体験型アートです。
ヤノベケンジのデビュー作は、まさに体験型作品で、名前は「タンキングマシーン」。直径2m強で、見た目は潜水艦のようなタンクに入り、生理食塩水の中に浮遊すると、自らの内面を引きずり出せるという「アイソレーションタンク(瞑想装置)」です。これにより、大学院2回生の時に、第一回キリンプラザ大阪コンテンポラリーアワードの最優秀作品賞を受賞したヤノベケンジは、アーティストとしての自信を得ました。
ヤノベケンジは世界を股にかけて活躍中!気になるプロフィールは?
ヤノベケンジは、小・中・高と、大阪府茨木市で過ごしています。特撮に夢中になり、SF雑誌「宇宙船」などに、怪獣のイラストや造型を投稿するなどして、アーティストの世界にのめり込んでいきました。ヤノベケンジは、1989年に、京都市立芸術大学美術学部彫刻専攻を卒業した後、イギリスの名門ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに短期留学します。
そして、同大学の大学院で、デビュー作「タンキングマシーン」を作り、1991年に研究科を修了。1994年には、ベルリンに活動拠点を置き、3年間ヨーロッパの芸術に触れる中、自身のアートを確立していきました。現在は、現代アーティストとして作品を作り続けるかたわら、京都造形芸術大学の教授や、ウルトラファクトリーのディレクターも務めています。
ヤノベケンジの「サン・チャイルド」が南茨木に!吉本新喜劇などコラボ多数!
ヤノベケンジの傑作「サン・チャイルド」が南茨木駅に!
ヤノベケンジには、「サン・チャイルド」という作品があります。「サン・チャイルド」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災により被災した人々の再生、復興に向ける想いに、大きな夢と希望と勇気を与えるモニュメントとして制作されました。
震災から1年経った2012年3月11日に、阪急電鉄南茨木駅に設置された「サン・チャイルド」。「アトムスーツ」と呼ばれる放射能防護服を身に着けた高さ6.2mのこどもの像は、未来に向け、足を踏み出す姿を表現しています。顔には絆創膏が貼ってあり傷を負っているものの、その瞳が見つめているのは未来です。
「アトムスーツ」には、ガイガーカウンター(放射線量計測器)が付いていますが、数値は「000」。「サン・チャイルド」は、希望の太陽をかたどったアイテムを持ち、明るい表情をして力強く立っています。ヤノベケンジが添えたメッセージは、「『人類が立ち向かう問題に正面から向き合うぞ』と、世界に伝えるために立っているのだ」と、これもまた実に力強いものでした。
ヤノベケンジがコラボしたなジャンルはさまざま!吉本新喜劇とのコラボまで?
ヤノベケンジは、現代アーティストとして、独創的な作品を数多く作り出していますが、モニュメントや装置の制作に留まらず、さまざまなジャンルとのコラボレーションも実現しています。吉本新喜劇とは、笑いとアートの融合として、大阪万博を舞台にした喜劇でコラボ。もっとヤノベケンジの世界を出しても良かったのではと評価する声もあった通り、どちらかといえば、アートというよりは、お笑い寄りの演出でした。
コラボの中では、吉本新喜劇の池乃めだかが、ヤノベケンジの作品のひとつでもある「トらやん」と共に、「アトムスーツ」を着て登場。あまりにも「アトムスーツ」がぴったりな池乃めだかを見たヤノベケンジは、「吉本新喜劇とのコラボは必然だったのでは」と語っていました。
大阪で育ったヤノベケンジならではのコラボレーションですね。吉本新喜劇以外にも、北野武とは共同作品を作り、映像作家の石橋義正と明和電機とのコラボではライブパフォーマンスを、青木兼治とは「サン・チャイルド」の記録映像を制作しているヤノベケンジ。さらには、独創的なアートを批評する番組「アーホ!」を制作するなど、垣根なきコラボを続けています。
ヤノベケンジの大型個展が画期的!特別展「ヤノベケンジ シネマタイズ」開催
ヤノベケンジは、香川県高松市の高松市美術館で、大規模な個展を開催しています。それは、ヤノベケンジの作品を「シネマタイズ=映画化」するという斬新な企画。創造の軌跡を再編することで、ヤノベケンジの作品が設置された空間が、映画のような世界になる効果を作り出すというものです。
この特別展「ヤノベケンジ シネマタイズ」は、美術館そのものもインスタレーション。公開映画のための撮影もされ、まさに美術館全体が「シネマタイズ」されるという画期的な展覧会です。2016年7月16日から9月4日まで開催しており、期間中はトークショーや講演会なども行われます。また、夏休み中ということもあって、ワークショップやリサーチプロジェクト、こどものアトリエなど自由研究の題材になりそうな企画も用意されているので、親子連れでも楽しめるのではないでしょうか。
さらに、ヤノベケンジの作品を、スマートフォンでも楽しめるという、アート鑑賞アプリ「ヤノベアプリ」が無料でダウンロードでき、中には「シネマタイズ」の展覧会ガイドを始め、ヤノベケンジ作品集なども収録されています。「シネマタイズ」でのスタンプラリーに参加すると、特典プレゼントもあるので、こちらも楽しみ。四国では初の大型個展となる「ヤノベケンジ シネマタイズ」は、この夏話題の個展になること間違いなしでしょう。
ヤノベケンジのイマジネーションの根源にある、力強くも明るいメッセージは、まるで少年の真っすぐな瞳のようで、それは、彼の代表作品「サン・チャイルド」にも明確に表れています。展覧会で実物を観て、ぜひそのイマジネーションに触れてみたいものです。