市川春子の「宝石の国」は独自設定が光る!あらすじネタバレ
市川春子の「宝石の国」あらすじ!人型の宝石たちの物語!
市川春子「宝石の国」は、「月刊アフタヌーン」にて、2012年12月号より連載されている作品です。舞台は、過去に人間が存在したと伝わる世界。地上の生物は、海中の微小生物(インクルージョン)に食べられ、無機物になっていました。無機物から、長い年月をかけて生まれたのが、宝石の身体を持った28人の宝石たち。種類により、硬度や物質の脆さを表す靭性が異なる宝石たちは、医療などでもその才能を発揮しながら、彼らを装飾品にしようと襲い掛かってくる、「月人(つきじん)」との戦いを繰り返しています。
そんな世界で、宝石たちの中で最も若いフォスフォフィライト、通称フォスは、脆くて腕力もないため戦闘ができないばかりか、あらゆる仕事に適性がないと判断された宝石。しかしある日、幅広く物事を記録するための博物誌の作成という仕事を与えられ、不本意ながら活動を開始します。そうする中で、月人との戦いの秘密などを知っていきます。
市川春子の「宝石の国」は独特な世界観などのネタバレ
市川春子「宝石の国」は、独自設定や世界観が光る物語です。人間が滅びた世界で生きるのは、人型をした宝石たち。彼らは、微小生物に食べられた地球生物が無機物となり、長い年月をかけて生まれた存在です。体内には微小生物がおり、破損しても、破片が揃えば復元することができます。また、長い時を経て誕生したせいか、恐ろしく長命で、末っ子格のフォスでも、300年もの永い時を過ごしてきました。
宝石たちの敵となる月人は、その名の通り、月から大群でやってくる狩人的存在です。仏像のような姿をした月人がいるせいか、彼らの戦闘シーンは曼荼羅のようにも見え、独特な世界観に拍車をかけます。それまで、月人は、宝飾品として使用するために宝石たちを狩りに来ていると言われていました。しかし、物語が進むにつれ、月人が人間に戻るため、必要な素材である宝石たちを手に入れようとしている、という驚きの事実が明らかになりつつあります。
市川春子の「宝石の国」は個性的すぎるキャラや世界観を考察!宝石たちの性別は?
市川春子の「宝石の国」に登場する宝石たちは男?女?個性的なキャラクターを紹介!
市川春子「宝石の国」に登場する宝石たちは、その可憐な容姿と身体つきから女性と思われがちですが、性別はありません。作者の市川春子は、上半身を少年、下半身を少女のイメージで描いているそうです。主人公となるフォスは、超不器用なキャラですが、その代わりに、軽妙で、考え方に柔軟性があります。フォスが博物誌を作成するにあたり、力を貸してもらうのがシンシャです。戦闘能力が非常に高く、体内から出す銀色の毒液から武人像を作り出すことができます。
しかし、毒を完全に制御することができないため、他の宝石たちとは距離を置きがち。フォスの存在により、独りぼっちだったシンシャの考えも、少しずつ変化していきます。作中には、物腰が柔らかくて女性的なダイヤモンド、冷静で戦闘狂なボルツなど、さまざまなキャラクターが登場しますが、異質なのが、宝石たちを束ねる役割を負う金剛です。女性に近い容姿を持つ宝石たちの中にあって、剃髪に袈裟を着た僧のような姿をしており、行動や発言に謎の多いキャラクターでもあります。
市川春子「宝石の国」の漫画世界観を考察!滅びた世界で生まれた宝石たちの大きな謎
話が進むにつれて、独特な世界の秘密や、なぜ月人が宝石たちを襲うのかといった謎が少しずつ明らかになってきている市川春子「宝石の国」。それとともに、ファンの間でも、漫画の世界観に関する考察や議論が活発になってきました。ファンの間では、宝石たちの住むのは人間が滅んだ後の世界で、月人は、人間に戻るため、バラバラになってしまった肉と骨を求めて、宝石たちを襲っているのではという推測も。
ファンが特に注目しているのは、月人の行動やその異質さです。なぜ「月人」でありながら夜の活動が少ないのか、斬られても微笑むのはなぜなのか……といった疑問や考察が、SNSなどで盛んに議論されています。また、宝石たちの住んでいる大地は、風化して堆積したものが積み上がったものではないかといった説も注目を集めているようです。
市川春子の「宝石の国」が待望のTVアニメ化にファン歓喜!放送は2017年10月!
美しくも儚い宝石たちの戦いを描き、多くの漫画ファンを魅了してきた市川春子「宝石の国」。1巻発売当時から、独特の世界観と、カラー表紙の色彩の美しさが話題となり、瞬く間に人気作品となりました。そんな「宝石の国」がアニメ化されることが発表され、多くのファンが歓喜しています。放送は、2017年10月ということもあり、まだ公開されている情報は少ないですが、全編3Dアニメとして制作されることが決定。
監督は、アイドル作品ブームを巻き起こした「ラブライブ!」や「プリティーリズム」シリーズの3DCGを使用したダンスシーンなどを担当してきた京極尚彦です。シリーズ構成は、アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」や、ドラマ「世にも奇妙な物語」シリーズでも知られる演出家の大野敏哉が担当します。制作は、CGアニメーション制作を専門に行っている有限会社オレンジ。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のCGパートを担当するなど、アニメファンからも高く評価されている制作会社です。
最強の布陣で美しい世界観が再現されることになり、興奮を隠せない「宝石の国」のファンたちですが、アニメ公式サイトでは、一足先にCGで描かれたフォスの姿を見ることもできます。儚さを感じさせるフォスの透明感は、まさしく原作そのもの。初連載作品にして初アニメ化作品ともなった「宝石の国」作者の市川春子は、数度訪れたアフレコの様子に、「演技力が素晴らしい」とコメントを残しています。また、「原作を超えるものを」というアニメ制作サイドの意気込みを聞き及んでいるらしく、「一視聴者として楽しみにしている」とも語りました。
アニメの放送に先駆けて、本編の最新刊となる7巻が、2017年5月23日に発売されました。7巻は、通常盤とともに、イラストレーションブックの付いた特装版も発売。連載予告や、掲載誌「月刊アフタヌーン」の表紙を飾ったイラストなど、全32ページという大ボリュームのミニ画集となっています。
市川春子がもともとデザイン会社に勤務していたこともあってか、アーティスティックな仕上がりとなっている画集つきの特装版に、読者はうっとり。6月には、特装版が重版になるという異例の事態にまでなりました。脆くも、どこか強さも感じる宝石たちの物語。3Dアニメで紡がれる宝石たちの活躍を、期待して待ちましょう。