連城三紀彦は「恋人」で直木賞を受賞!ドラマ化作品は数えきれず
連城三紀彦は「恋人」で直木賞を受賞!ミステリーから恋愛小説まで!
連城三紀彦(れんじょうみきひこ)は、1984年に「恋文」で直木賞を受賞した小説家です。残念ながら、2013年に65歳で亡くなりましたが、その生涯で、多くの傑作を残しています。大胆なトリックや仕掛けが高く評価されミステリー作家としてデビューし活躍していた連城三紀彦は、同時に、濃密な心理描写を基にした人間ドラマも得意としていました。
そのため、ミステリー的要素を応用した恋愛小説などの一般小説も手掛けるようになります。夫に去られた妻の心情をきめ細やかに綴った直木賞受賞作「恋文」は、その契機となった作品とも言えるでしょう。
連城三紀彦のドラマ化作品は数えきれず!
ミステリーはもちろん、一般小説でも人気作品を数多く生み出した連城三紀彦。その作品は、繰り返し映像化がなされ、特にドラマ化された作品は数え切れないほどあります。アラフォー世代には「飾り火」を原作に不倫を描いたTBS金曜ドラマ「誘惑」のヒットが印象深いかもしれません。
篠ひろこと林隆三演じる夫婦が築いてきた幸せな家庭が、紺野美沙子演じる魔性の女によって壊されていく様をハラハラしながら見守っていた方も多いのではないでしょうか?近年では、2012年に、「私の叔父さん」が高橋克典主演で映画化された他、2015年には、天海祐希主演で「私という名の変奏曲」がドラマ化されています。
連城三紀彦のおすすめ推理小説、恋愛小説は?生涯独身を貫いた!
連城三紀彦のおすすめ推理小説&恋愛小説!
恋愛小説の名手として知られる一方で、推理小説においてもミステリーファンから高い評価を得ている連城三紀彦。明治末期を舞台に心中事件の裏に隠された謎を描く「戻り川心中」は、ミステリーであると同時に男女の愛も描かれた推理小説&恋愛小説とも言え、直木賞候補にもなった初期の傑作としておすすめです。
恋愛小説の傑作と名高い「恋文」は、余命わずかな昔の恋人のために妻子に別れを告げる男と、それを受け入れる妻の姿が抒情的な筆致で描かれます。また、美容整形で成功つかんだヒロインが登場する、人気ミステリー作家・綾辻行人も絶賛した「私という名の変奏曲」は、推理小説としておすすめ。
「夜よ鼠たちのために」は、ミステリーファンから復刊してほしいとの熱い声が寄せられ、復刊に至った傑作短編集です。表題作である「夜よ鼠たちのために」の驚きの結末に唸らされたという感想も多く見られます。
連城三紀彦は生涯独身を貫いた!母の介護も
濃密な人間ドラマを描くことに長け、恋愛小説の傑作の数々を残してきた連城三紀彦は、プライベートでは結婚はしていません。1948年に、愛知県名古屋市にて、4人の姉の下の末っ子として生まれた連城三紀彦は、65歳で亡くなるまで生涯独身を貫きました。「恋文」が直木賞を受賞したことを機に上京し、作家として旺盛に活躍を始めますが、40代後半になると、母ふさ子の介護のため、実家のある名古屋に戻っています。それ以降は、介護のために仕事を休む時期もあったそうです。
連城三紀彦ファンにはあのベストセラー作家も!「隠れ菊」が3度目のドラマ化!
連城三紀彦が2013年に亡くなってから5年が経ちますが、その作品は色あせることなく、多くの人に愛され続けています。
1978年に、「変調二人羽織」で、幻影城新人賞(小説部門)を受賞して30歳でデビューした連城三紀彦。同時に受賞を果たし、後に「銀河英雄伝説」で人気作家となった田中芳樹は、連城三紀彦の作品を読んで、「こんな作家がいるんじゃ、とてもミステリーは書けない」と思ったと言います。
当時から、その才能には凄まじいものがあったのでしょう。実際、ミステリー作家にも連城三紀彦の熱心なファンがおり、本格ミステリーの旗手として知られる綾辻行人や、ベストセラー作家の伊坂幸太郎もその1人です。
連城三紀彦は、ミステリー作家としての才能や実力はもちろん図抜けたものですが、一般小説でも多くの素晴らしい作品を残しています。その一つが、柴田錬三郎賞を受賞した「隠れ菊」です。
ヒロインは、料亭の跡取りである夫と結婚して主婦になった通子。ある日、夫の愛人だという女からサイン済みの離婚届けがつきつけられ、妻の座と料亭の商売を守るために立ち上がります。愛人と妻が対立しながらも、ビジネスパートナーにもなるというドラマチックな筋立ての「隠れ菊」は、これまで2度ドラマ化されてきました。4人の姉を持ち、周囲からも女心の機微に通じていると評された連城三紀彦にしか書けない作品とも言え、ドラマ化が繰り返されるのも納得の面白さです。
テレビ朝日にて、2018年10月に3度目のドラマ化がなされます。主演は、木村佳乃。ドラマ化にあたって、タイトルを「あなたには渡さない」とし、設定も現代に置き換えてリメイク。木村佳乃とバトルを繰り広げる愛人に水野美紀、通子の夫に萩原聖人、通子に報われぬ恋心を持つ友人に田中哲司と、実力派俳優が顔を揃えています。
大人の男女が入り乱れる人間ドラマが、どのように現代によみがえるのか期待が高まりますが、新たに連城三紀彦の世界を味わう視聴者が何を感じるのかは、ドラマの出来次第かもしれません。