宮内悠介はデビューから凄かった!SF小説「あとは野となれ大和撫子」が直木賞候補に!

宮内悠介はデビューから凄かった!出身校やプロフィールは?

宮内悠介はデビュー作がいきなり直木賞候補!最初から凄かった!

宮内悠介は、SF小説を中心に執筆をしている小説家です。SF作家が直木賞候補にあがること自体が多くはない中、デビュー作「盤上の棋士」がいきなり直木賞候補にあがったということは、それだけ凄い実力の持ち主だと言えます。しかも、この作品は、そもそも小説家を目指して「創元SF新人賞」に投稿した短編でした。

それが、第1回創元SF短編賞の「山田正紀賞」を受賞したことから、作家デビューのきっかけをつかみます。その後、連作短編集として初めて単行本となった同作品がいきなり直木賞候補となったとは、デビューからいきなりトップへ上り詰めたようなものです。

宮内悠介はアメリカ育ち!出身校やプロフィールは?

作家デビューから、いきなりトップギアで直木賞候補までのぼりつめた宮内悠介。生年月日は1979年1月8日で東京都で生まれますが、実は幼少期をアメリカで過ごしています。4歳でアメリカへ渡り、中学1年生の頃に帰国している宮内悠介。高校生の頃から小説を書き始め、進学した早稲田大学ではワセダミステリクラブに所属していました。

小説家を目指して投稿を続けていましたが一次選考で落選することも多く、生活のため、もともと好きだったプログラミングを極めようとプログラマーとして就職。そのため、デビュー当時は、小説を書きながら会社員生活を送っていました。

宮内悠介「盤上の夜」「ヨハネスブルグの天使たち」あらすじネタバレ

宮内悠介のデビュー作にして代表作「盤上の夜」あらすじネタバレ

宮内悠介がデビューを勝ち取った代表作「盤上の夜」は、タイトルとなっている「盤上の夜」と「人間の王」「清められた卓」「象を飛ばした王子」「千年の虚空」「原爆の局」の6作の短編からなる1冊です。物語はすべて、囲碁、古代チェス、将棋、麻雀といったいわゆるボードゲーム(盤上遊戯)をテーマに編まれていることが特色と言えるでしょう。

表題作の「盤上の夜」の主人公は、四肢を失った女性・由宇。生きるために囲碁を身に着けた由宇は、プロとして活躍しますが、数年で引退し、姿をくらましてしまうというのがあらすじです。ネタバレすると、四肢を欠損したことで囲碁の盤上に自らの感覚を重ねるようになった由宇は、やがてすべての感覚をすべて抽象化したいと望むようになり、精神を病んでしまいます。

宮内悠介「ヨハネスブルグの天使たち」に初音ミク登場?あらすじネタバレ

「ヨハネスブルグの天使たち」は、宮内悠介が「盤上の夜」に続いて発表したデビュー2作目にあたる作品です。こちらもSFの連作短編の形をとっており、「ヨハネスブルグの天使たち」「ロワーサイドの幽霊たち」「ジャララバードの兵士たち」「ハドラマウトの道化たち」「北東京の子供たち」の5作からなります。

表題作「ヨハネスブルグの天使たち」で描かれているのは、内戦の続くアフリカのヨハネスブルグで、戦災孤児のティーブとシェリルが生き延びようともがく姿です。ネタバレすると、すべての作品に、初音ミクが想起される日本製の少女型ロボットが登場。ロボットを通じて人間の業を映し出すという哲学的な作品になっています。

宮内悠介は芥川賞も直木賞もノミネートされていた!

デビュー早々に直木賞候補となった作家の宮内悠介。彼が、第1回創元SF短編賞「山田正紀賞」を受賞して、小説家として世に出たのは2010年です。作家としての活動はまだわずか6、7年ですから、新進気鋭の作家と言えます。その後の活躍もめざましく、2013年には、デビュー2作目の「ヨハネスブルグの天使たち」が直木賞候補にあがり、2016年には「カブールの園」が純文学の新人に贈られる芥川賞にノミネートされています。

エンターテインメント色の強い大衆小説がノミネートされる直木賞と、純文学が対象となる芥川賞。どちらにもノミネートされるということは、宮内悠介がそれだけふり幅が広い、凄まじい才能を内包している作家である証と言えますね。宮内悠介が広いふり幅を持つに至ったのには、いくつかの理由があるようです。

まず1つは、幼少期をアメリカで過ごしたこと。家では日本語を話し、現地の学校に通って英語で学ぶという生活の中、日本とアメリカという2つの文化の狭間で揺れ動いた経験は、作家として人間を描く上で大きな影響を与えたようです。また、大学卒業後に経験した、インドやアフガニスタン等を放浪する旅も彼の視野を大きく広げました。それが、日本や欧米だけでなく、さまざまな国を舞台に物語を描かせているのではないでしょうか。そして、小学生の頃から趣味で行っていたプログラミングが、SF作家としての視座を支えるものとなっているのでしょう。

こういった多様な経験が作品に奥行をもたせているのか、宮内悠介は、デビュー以来、破竹の勢いで活躍を続けてきました。その勢いのまま、2017年上半期の直木賞にも作品がノミネートされています。候補作は、「あとは野となれ大和撫子」です。舞台は、中央アジアの架空の小国アラルスタン。紛争で両親を亡くし、アラルスタンの後宮で育った日本人少女ナツキが主人公です。

ストーリーは、大統領の暗殺により、国の中枢を担う大人たちは次々と逃げ出し、残った少女たちが国の存亡の危機を救うべく政府を運営するという冒険物語。「盤上の夜」や「ヨハネスブルグの天使たち」に見られたダークな世界観や哲学的な思索といった作風はなりをひそめているので、今までの作品は敷居が高く手に取れなかったという方でも読みやすい作品になっています。

直木賞を受賞すれば、新たな読者層を開拓する絶好のチャンスとなりそうです。とはいえ、他の候補も強敵揃いで、特に、今回が3度目のノミネートとなる宮内悠介と同年代である作家・柚木麻子は4度目のノミネート。どちらが受賞するのかしないのか……7月19日に開催される選考の行方が気になります。

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