大隅良典がノーベル医学・生理学賞受賞!オートファジーって何?

大隅良典がノーベル医学・生理学賞受賞!オートファジーって何?

大隅良典がノーベル医学・生理学賞を受賞!日本では4人目の快挙!

大隅良典(おおすみよしのり)は、分子細胞生物学を専門とする71歳の生物学者で、現在は、東京工業大学の栄誉教授という肩書で研究に励んでいます。この栄誉教授という肩書は、よく聞く名誉教授とは異なり、大学側が、その功績を讃えて独自に付与したものです。

大隅良典は、オートファジーという現象の仕組みを解明し、2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ノーベル賞を受賞した日本人は、アメリカ国籍を取得した人物も含めると25人目。医学・生理学賞でのノーベル賞受賞は4人目の快挙です。
さらに、日本人が単独で受賞するのは、自然科学系の分野では、1987年に受賞した利根川進に続いて、大隅良典のノーベル賞で二人目となります。

大隅良典が仕組みを解明したオートファジーとは?

大隅良典がノーベル賞を受賞したのは、オートファジー現象の瞬間を世界で初めてとらえ、謎だった仕組みを解明したためです。オートファジー(autophagy)は、ギリシア語のauto(自ら)・phagy(食べる)という言葉を合わせた造語で、日本語では「自食作用」と訳されます。
オートファジーとは、「生物を構成している細胞が、細胞自身の一部を分解し、新しい細胞を作り出す際の材料にする」現象のこと。細胞の成長や新陳代謝にかかわるだけではなく、細胞内をきれいにする浄化作用や、害となる菌を分解する免疫作用も持つことが明らかになってきています。
人間のような哺乳類から、植物や昆虫、酵母菌のような単細胞生物まで、すべての真核生物が、その機能を有するというオートファジー。大隅良典のノーベル生理学・医学賞受賞は、多大な生物に共通する生命現象の謎を解明したことを讃えたものです。

大隅良典のノーベル賞受賞で企業関連株は?経歴を紹介!

大隅良典のノーベル賞受賞で企業関連株に影響あり?

大隅良典がノーベル賞を受賞したオートファジーは、がん等の治癒が難しい病気の仕組みや老化現象の抑制にも関係があり、それらの原因解明や治療薬の開発など、医学的な研究に繋がると期待されています。
そのことから、大隅良典のノーベル賞受賞により株価上昇が噂されているのが、<4557>(株)医学生物学研究所、<3386>コスモバイオ(株)、<4974>タカラバイオ(株)などです。
これらは、自己免疫疾患や遺伝子医療研究に注力している会社なので、大隅良典のノーベル賞受賞で注目が集まり、株価が上昇するかも?といわれています。同様の理由で、アステラス製薬など、一部の製薬会社にも注目が集まっているようです。

大隅良典の経歴・受賞歴、プロフィールまとめ

大隅良典は、1945年、福岡市に4人兄弟の末っ子として誕生。科学を志したきっかけは、ろうそくや空気を題材にした科学の本を12歳年上の兄からもらったことでした。
大隅良典の経歴は、1967年に東京大学の教養学部を卒業すると、東京大学大学院へ進学。理学博士の学位を取得した後、1974年には、アメリカのロックフェラー大の研究員に。1977年、東京大学の理学部の助手になった大隅良典は、1988年に同大の教養学部の助教授になりました。
その1988年に、オートファジーの観察に世界で初めて成功しています。1996年になると、当時の岡崎国立共同研究機構(今の自然科学研究機構)の基礎生物学研究所の教授に就任し、2005年には藤原賞を、2006年には日本学士院賞を受賞。2009年に朝日賞を受賞し、東京工業大学の特任教授になりました。
続いて、2012年に京都賞を受賞した大隅良典は、2014年には東京工業大学で現在の栄誉教授という肩書に。2015年は、ガードナー国際賞、国際生物学賞、慶応医学賞を受賞し、本年のノーベル賞受賞となりました。

大隅良典が成果主義にもの申す!「役に立つ」という言葉が社会をだめにする!?

大隅良典は、ノーベル賞を受賞したことで、マスコミからたくさんの取材を受けています。愛妻へのいたずら好きという朗らかな人柄や、ほほえましいエピソードが連日紹介される中で、大隅良典は、基礎科学の重要性を訴え、社会に対し、もう少し優しい目で基礎科学研究を見守っていてほしいと繰り返し訴えました。
数年後に、事業としてお金になりそうな、目に見えて役に立つ研究にしか費用が割かれない今のような風潮の社会では、結果的に社会がだめになってしまうのではないか、と大隅良典は憂いています。大隅良典のオートファジーも、必ず医療的な分野に貢献できると確信して研究をしていたわけではありませんでした。
そうした経験から、「その研究が役立つまで100年かかるかもしれないが、将来を見据えて科学を日本の文化とし、若い研究者が基礎的な科学の研究をしやすい社会にしてほしい」と語っています。大隅良典がノーベル賞の受賞で獲得する賞金800万スウェーデンクローナ(約9500万円)は、若い研究者たちが基礎科学の研究に専念できるようにサポートできるシステム作りのために使いたいとしています。
科学者の頂点ともいうべきノーベル賞を受賞した大隅良典は、日本の科学の行方に思いを寄せ、「小さな疑問も大切にする子供たちが増えてほしい」と願っています。大隅良典の想いが届き、画一的な成果主義から脱却して、豊かな価値観にあふれた日本になる日は、いつか来るのでしょうか。

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