ペドロ・アルモドバル監督の最新作「ジュリエッタ」が最高傑作!あらすじネタバレキャスト
ペドロ・アルモドバル監督の最新作「ジュリエッタ」は女性の人生をリアルに描いた最高傑作!
ペドロ・アルモドバルは、1951年生まれのスペイン出身の映画監督。ハリウッドとは異なったテイストのユーモアに溢れる作品や、きれい事ばかりではないリアルな人生を描く作品が多く、日本でもコアなファンを持ち、世界的に知られる巨匠の1人です。
そんなペドロ・アルモドバル監督の2年ぶりの新作「ジュリエッタ」が、2016年11月に日本で公開となります。ペドロ・アルモドバル最新作「ジュリエッタ」は、カナダのノーベル賞作家アリス・マンローの短編集「Runaway」を原作とした映画です。過去の回想シーンを交えながら、結婚、妊娠、娘、母親としてなど、運命に翻弄される1人の女性の人生を重厚に描いています。
ペドロ・アルモドバルの作品の中では、世界から賞賛を浴びた「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール 帰郷」のような原点回帰ともいえる人間ドラマを描いていて、特に女性からの高評価を得るとともに、「これこそ、ペドロ・アルモドバル!」と絶賛する声が上がっています。
ペドロ・アルモドバル監督の最新作「ジュリエッタ」あらすじネタバレキャスト!2人の名女優が1人のジュリエッタを演じる!
ペドロ・アルモドバル最新作「ジュリエッタ」の主人公は、恋人もいる美しい中年女性ジュリエッタです。一見すると、幸せな人生を送っているように見えるジュリエッタでしたが、12年前に娘アンティアが失踪するという悲劇を経験して以降、長い間苦しんでいました。
ある日、失踪したはずの娘アンティアを見かけたと、古い知人から聞かされたジュリエッタは、行方が分からなくても、アンティアに手紙を書くことを決意します。すると……ジュリエッタは、封印していた30年間の過去と真正面から向き合っていくことになるのでした。
現在のジュリエッタを演じるのは、スペインのベテラン女優エマ・スアレスです。一方、テレビドラマ「情熱のシーラ」で注目を集めた女優アドリアーナ・ウガルテが過去のジュリエッタを演じるという、2人で1役の構成になっています。
ペドロ・アルモドバルが映画監督になるまでの軌跡!代表作品は?
ペドロ・アルモドバルの軌跡!両親は映画監督よりも司祭になることを望んでいた
ペドロ・アルモドバルは、両親から司祭になることを望まれていたため、セレスというスペイン西部の町にある寄宿学校に入学しました。しかし、学校の近くにあった映画館で映画の魅力にはまってしまったペドロ・アルモドバル少年は、映画の道に進もうと決断。後に、ペドロ・アルモドバルは、「司祭から受けた教育よりも、映画のほうが真の教育になった」と語っています。
その後、夢をかなえるべく映画学校に入学するも、なんと学校が閉鎖されるという事態に見舞われたペドロ・アルモドバル。他に選択肢もなかったことから、電話会社に入社することになります。それでも夢を諦めきれずに、22歳の頃から自主制作で映画を撮り続けていると、1980年に撮影した初の長編映画「Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón」がカルト的人気になりました。その後は、1年に1本のペースで映画を撮影し、映画監督としての地位を確立していきます。
ペドロ・アルモドバル監督はアカデミー賞にノミネートされた代表作品が多々あり!賞レースの常連監督!
ペドロ・アルモドバルは、地元のスペインで映画を制作していました。初めて世界的に脚光を浴びた作品となったのが、1988年制作の「神経衰弱ぎりぎりの女たち」です。突然別れ話を切りだされた女性を描いたこの作品で、ヴェネツィア国際映画祭脚本賞を受賞し、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされています。
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」で世に名前を知らしめたペドロ・アルモドバルは、1999年に制作した「オール・アバウト・マイ・マザー」以降は賞レースの常連監督に。2002年の「トーク・トゥ・ハー」では、非英語映画のアカデミー脚本賞を受賞。
2006年の「ボルベール 帰郷」では、第59回カンヌ国際映画祭で、脚本賞と、主演6人全員が女優賞を受賞しました。2014年に制作された、平凡な人々にとんでもない災難が相次ぐブラック・コメディー「人生スイッチ」が好評を博し、その独特な世界観溢れる作品で、アカデミー外国語映画賞にノミネートされたことも記憶に新しいところです。
ペドロ・アルモドバル監督が制作「エル・クラン」9月から公開に!実際に起こった一家の身代金ビジネス!
ペドロ・アルモドバルが制作し、パブロ・トラペロが監督を務めた映画「エル・クラン」が、9月17日から日本で公開となります。
映画「エル・クラン」の舞台は、1983年のアルゼンチン。プッチオ家は、夫婦と5人の子供たちと一緒に裕福な生活をしていましたが、突如無職となって大ピンチに陥ってしまいます。そんな中、近所では、プッチオ家の次男が通う学校の生徒が姿を消すなど、身代金狙いの誘拐事件が多発していました。実はこの誘拐事件は、無職となったプッチオ家が思いついた“身代金ビジネス”だったのです。
これぞまさに映画と思える突飛なストーリーですが、なんとこれは実話。アルゼンチンでは、認知度100%の有名な事件です。実際に、自宅に監禁部屋を用意し、家族総出で誘拐を実行するという驚くべき内幕の事件で、映画「エル・クラン」のプロデューサーは、「映画化にあたってのストーリーの改変はない」と語っています。
ペドロ・アルモドバル監督は、ユーモア溢れる作品で、暖かい気持ちにさせてくれたかと思えば、心を打つ重厚な人間ドラマを描いて、ペネロペ・クルスを一流女優の仲間入りさせるなど、これまで実に幅広いジャンルに挑戦してきました。たとえどんなに重いテーマであっても、ユーモアを欠かさないので、観客が自然と映画の世界観に入っていける作品を生み出すことのできる稀少な監督です。
64歳となってもその創作意欲は健在!これからもペドロ・アルモドバルらしい独特の世界観で、映画ファンに刺激を与えてくれそうです。