辻本茂雄と小籔千豊、吉本新喜劇座長としての人気・実力徹底解剖!

2015年12月14日 更新

辻本茂雄と小籔千豊、吉本新喜劇座長としての人気・実力徹底解剖!

辻本茂雄は、小藪千豊がライバル視する吉本新喜劇の座長

吉本新喜劇……曲名は知らなくても、軽快なトランペットの曲「Somebody Stole My Gal」を聞いたことのない関西人はいません。言わずと知れた吉本新喜劇のテーマソングです。吉本新喜劇は、今では東京でも、ルミネtheよしもとで公演を行ったり、全国ネットの放映を行ったりしています。

また最近では、吉本新喜劇の座長である小藪千豊が、一タレントとして東京進出してブレイクしたことからも、吉本新喜劇が全国的に知られるようになりました。
吉本新喜劇は、吉本の劇場で、漫才などの演芸が二部構成で行われる、1時間足らずの喜劇のこと。現在の吉本新喜劇は、5人の座長の元、90名あまりの座員が、それぞれのチームに参加して公演を行っています。大阪には、まだ東京にあまり知られていない座長たちが。中でも小藪千豊がライバル視しているのが、あごがしゃくれた、辻本茂雄です。

辻本茂雄VS小藪千豊、新喜劇の面白さはお決まりのギャグの多さで決まり

吉本新喜劇の座長とは、小藪千豊の他、ベテランの内場勝則、そして辻本重雄、川畑泰史、すっちーです。それぞれが強烈なキャラクターやギャグを持っていて、チームを率いています。小藪千豊は、元ビジリアンという漫才コンビで、解散後に吉本新喜劇へ加入していますが、すっちーもまた、ビッキーズという漫才コンビからの転身組。おかっぱ頭に瓶底メガネ、巨乳の中年のいじわるおばさんキャラで、最近好調です。

新喜劇のメンバーは、よりローカル色が強く、辻本重雄も、こつこつと座員からキャリアを積み上げてきた一人。かつては、あごがしゃくれていることでいじられるキャラでしたが、今では間寛平の持ちネタだった、杖であたりをたたき散らす暴走爺さん役を引き継ぎ、「茂造じいさん」というキャラクターで、チームを率いています。小藪千豊もまた、その長身と怪異な顔が特徴ですが、他の座長に比べると特別なキャラはなく、新喜劇においては、他の座員のツッコミ役の域を出ません。

ライバルと目されることもある、辻本茂雄と小藪千豊の勝負、今のところは、辻本茂雄が一枚上手というところでしょうか。吉本新喜劇では、座長から末端の座員に至るまで、どれだけお決まりのギャグを数多く持っているかが、面白さのバロメーターとなっています。

辻本茂雄のアドリブのエッジが効き過ぎ!ギャグは東京で通じるのか?!

辻本茂雄だけではない、吉本芸人の大阪でしかウケない理由

辻本茂雄、実は1997年に一度東京に進出しています。しかし吉本興行の上層部から「辻本茂雄は大阪の匂いが強すぎる」と判断され、大阪に戻されてしまったのです。

では小藪千豊がOKで、なぜ辻本重雄ではだめなのか。これは、吉本興業にとって大きな問題です。これまでにも、早く東京に進出したのに、一向に芽が出ない者や、後から行ってもすぐに東京で売れる者が、数多く存在するのです。これを理論的に解き明かせば、1つの芸能論にもなるでしょうが、いくつか言えることは、大阪のキャラクターは、極めて身体的特徴を誇張したものが多く、それを露骨に笑うことは東京ではあまり好まれないこと。また芸人自身の、生の大阪臭さが敬遠されるということでしょうか。

例えばCOWCOWなどは、早くに東京に進出しましたが、なかなか売れませんでした。大阪では人気だった、あのまったり感がリアル過ぎたのです。そこで彼らは、決めポーズや、「当たり前体操」などのギャグを生み出し、大阪臭さを消すことで、自らのキャラクター化に成功したのです。逆に、この春爆発的人気だった8.6秒バズーカなどは、存在自体がキャラクターそのものといえます。

辻本茂雄、いかに生身の大阪臭さを消すことができるのか

辻本重雄の場合、綿密に計算された舞台では、エッジの利いたアドリブも活きまくるのですが、茂造じいさん」のギャグをやって、舞台を降りれば、あごのしゃくれたただのオッサンです。大阪の番組でも、フリートークには弱く、もろ素が出てしまう辻本茂雄。

逆に、小藪千豊の場合は、いろいろ屁理屈をこねまわすコウルサイ奴というキャラクター設定が、本人のかなり強い大阪臭を消しているようです。いずれにせよこのテーマは、吉本興行の問題としてだけでなく、東西のお笑い文化を考えるうえで、重要な研究テーマになりそうです。

辻本茂雄は、NHK「あさが来た」で一皮むけるか

辻本茂雄には、今年、NHK朝ドラマ「あさが来た」からお声がかかりました。これまでにも、大阪発のMHK朝ドラマには、大阪ゆかりの芸人や文化人がよく出演してきました。「あさが来た」で辻本茂雄が演じるのは、来年1月18日から登場予定の元大蔵相の役人・山崎平十郎とう人物。日本の発展に役立つ民間の銀行を作り上げる仕事を志し、両替屋から銀行に変わろうとする加野屋に現れて、主人公のあさに雇って欲しいと頼み込みます。無口だが有能な仕事ぶりで、やがてあさの右腕として活躍するそうですから、なかなかの役どころ。

すでに撮影はスタートしていて、辻本茂雄は、「51歳のおっさんの転校生みたいになっている」と、まだ緊張感を隠せないようです。吉本新喜劇出身者で座長クラスの役者は、退団後、関西を中心とした舞台の名わき役として活躍した人が数多くいます。

例えば、おくめの岡八郎、絶妙のボケがすばらしかった花木京、そしてマドンナ役の山田スミ子など。もっと古くには、財津一郎や藤田まことなどもそうです。辻本茂雄が、新喜劇の一座長で止まるか、自己の新たなキャラクターつくりに成功するか、それとも、一役者として実力を培っていくかどうかは、本人のこれからの努力次第でしょう。

最近では、アイドルや映画俳優、有名スポーツ選手が出演して、話題作りをするまでメジャーになった吉本新喜劇。辻本茂雄をはじめとする今の吉本新喜劇の座長たちはみんな、「新生」新喜劇の座長。彼らには、全国で受ける全く新しい新喜劇を生み出してほしいものです。

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