行定勲監督映画「GO」在日韓国人を描いた作品でブレイク!あらすじネタバレキャスト
行定勲監督映画「GO」在日韓国人を描いた作品でブレイク!数々の映画賞を受賞
行定勲(ゆきさだいさお)の名前を聞くと、「ああ、セカチューの監督ね!」と思う方も多いのではないでしょうか。行定勲監督がブレイクしたのは、2001年に公開された「GO」という映画です。在日韓国人を描いた作品で、キネマ旬報賞でベストワンに輝いた他、第25回日本アカデミー賞、第44回ブルーリボン賞などでも数々の賞を受賞しました。
「GO」の原作は、2000年に講談社から出版され、直木賞を受賞した金城一紀(かねしろかずき)による同名の小説。監督に行定勲、脚本に宮藤官九郎、主演に窪塚洋介を迎えて映画化されました。
行定勲監督映画「GO」のあらすじネタバレキャスト!恋愛と親友の死を通して見つめるアイデンティティ
行定勲監督映画「GO」の主人公・杉原(窪塚洋介)は、生まれも育ちも日本。しかし中学校までを民族学校で過ごし、朝鮮人としてのアイデンティティを教えられます。同級生たちから「クルパー」と呼ばれるほど出来の悪かった杉原は、幼少の頃から、父(山崎努)に教えられたボクシングを使ってケンカ三昧の日々を送っていました。
そんな中、ハワイへ行きたいという母(大竹しのぶ)の願いをきっかけに、父は、北朝鮮の国籍から韓国籍に。父は、杉原に、「国籍なんか金で買える」「もっと広い世界を見ろ」と言います。国籍の選択権を与えられたとき、杉原は「韓国人になる」と決断。
そしてもっと広い世界を見るべく、高校からは「日本の学校」に通うことを選択しました。しかし、高校に進学し、バスケ部に入部した杉原を待っていたのは「在日」に対する差別。チームメイトたちの差別的行為に「キレた」杉原は暴れ、結局、バスケ部は退部となってしまいます。
さらにその暴れっぷりを知った学校の不良たちがケンカを挑んでくる日々を送ることに……。その最初の挑戦者であり、後に友人となった加藤(村田充)の誕生日パーティで、杉原は、少女・桜井(柴咲コウ)と恋に落ちてしまいます。自身の国籍のことを桜井にまだ話していない杉原に、民族学校時代に杉原をかばってくれた親友・正一(ジョンイル、細山田隆人)から、「いつ話すの」と問われますが……
行定勲「サワコの朝」で語った映画監督になったワケ!おすすめ作品は?
行定勲「サワコの朝」で語った映画監督になったワケ!レンズを通して見てくれる女の子
行定勲は、2014年6月21日放送の「サワコの朝」に出演し、子ども時代や高校時代のこと、映画監督になったワケなどを話しています。「サワコの朝」は、2011年10月1日に放送が始まった阿川佐和子のトーク番組。毎週土曜日朝7時半から、著名人をゲストに招き、彼らのエピソードを引き出します。
行定勲が映画監督になった直接の理由は、高校時代にバンドのPVを撮ったことでした。「ちょっといいなと思っている」女の子が、レンズ越しならば自分のほうを見てくれることなどを通し、映画を撮るとはこういうことなんだと感じたそうです。
また、小学生の頃に友人が溺れて亡くなってしまったこと、高校生の時にも親しい友人を3人ほど亡くしていることが、行定勲自身の作品づくりに影響を与えていると明かしました。「人が亡くなるたびに、自分は取り残される」と語った行定勲。彼らに対して何ができるわけではないけれど、彼らの生と死を思いながら作っているそうです。
行定勲のおすすめ作品は?「世界の中心で、愛をさけぶ」以外の人気作品3選
行定勲の代表作といわれるのは「GO」と「世界の中心で、愛をさけぶ」(通称「セカチュー」)です。行定勲は、興行収入85億円を記録した「世界の中心で、愛をさけぶ」を質的に越える映画をつくるべく、毎回チャレンジしているといいます。そこで、行定勲監督作品で、「世界の中心で、愛をさけぶ」以外の映画作品からおすすめのものを3本ご紹介しましょう。
まず、2001年10月に公開された「GO」。行定勲がブレイクするきっかけとなり、多数の映画賞を受賞した作品です。
次に、主演女優・吉永小百合から直接指名を受けて監督したという「北の零年」。明治初期の庚午事変(稲田騒動)の関係で処分を受けた稲田家を描いた作品で、2005年に公開され、第29回日本アカデミー賞で数々の賞を受賞しました。
3つ目は、2016年に熊本に縁のある人たちが、熊本地震の被災地を支援すべく制作された「くまもと映画プロジェクト」の短編映画「うつくしいひと」。地震前の熊本を舞台に、熊本出身の行定勲がメガホンをとり、橋本愛や姜尚中(かんさんじゅん)らが出演しました。くまもと映画「うつくしいひと」は、特設ページにて有料配信されている他、2016年から各会場でチャリティ上映もされています。
行定勲最新監督映画「鳩 Pigeon」が東京国際映画祭でワールドプレミア上映!
行定勲の最新監督映画「鳩 Pigeon」が、2016年10月26日、第29回東京国際映画祭でワールドプレミア上映されました。映画「鳩」は、東京国際映画祭と国際交流基金アジアセンターが共同制作した「アジア三面鏡:リフレクションズ」というオムニバス映画のうちのひとつ。
「アジアで共に生きる」というテーマのもとに、行定勲を含むアジア出身の3人の監督が、日本・カンボジア・フィリピン・マレーシアを舞台とした作品をつくっています。行定勲が撮影したのはマレーシア。
そこでは、マレーシアでの映画づくりと日本での映画づくりの違いを実感したとか。日本では、緊張感をもった現場で、役者も撮影前から役作りに徹していることも多いのに対し、マレーシアでは、まずスタッフ全員で記念撮影して団結するそうです。
現場でも、マレーシアのスタッフたちが、とにかく楽しそうにやっていたことが印象的だったといいます。そして、カンヌ国際映画祭の常連でもあるメンドーサ監督が、4~5人の少人数で撮影を行うことに触れ、アジアでは適した撮り方であると述べました。監督も含めたスタッフ皆が、1人何役も担当し、カメラも回すというのがメンドーサ監督流。行定勲は、「みんなプロフェッショナルだからできるはず」とし、日本でもそのようなやり方があることを伝えていかねばならないと語っています。
「リフレクションズ」は、2016年いっぱい、世界各地の映画祭プログラム担当者に見てもらっているそうです。この交渉が成功し、また日本で上映されると良いですね。常に自分の代表作を越えたものをつくろうと、新しい制作方法も厭わない行定勲。「誰がこの映画を作りたかったのか」を大事にしているという真摯な映画づくりに、今後ますますの活躍が期待されます。