藤山直美出演舞台2016年は「だいこん役者」「おたふく物語」!チケット情報は?
藤山直美の2016年の芝居!夏は「だいこん役者」、秋は「おたふく物語」!
藤山直美は、1958年生まれで、現在57歳。父である大喜劇役者・藤山寛美の跡を継いで、「鼻のお六」を演じたのは30歳を過ぎた頃でした。それから今日まで、藤山直美は、誰に教わることもなく、孤高の役者人生を歩み続け、年に2、3本の舞台を中心に、自分が納得した映画やテレビ番組の出演をこなしています。また、決して掛け持ちで仕事をしないのも、藤山直美の流儀です。
そんな藤山直美のお芝居を見られるチャンスは、2016年には2回!2016年7月1日から20日までは、大阪の新歌舞伎座で、大杉蓮と組んで、旅芸人一座の人間ドラマを描いた「だいこん役者」が。2016年9月1日から25日は、東京の明治座で、山本周五郎原作の人情もの「おたふく物語」が、田中美佐子や少年隊の錦織一清、音無美紀子ら豪華キャスト共演、石井ふく子演出で上演されます。
藤山直美は稀代のアホ役者藤山寛美の娘だった
藤山直美の父・藤山寛美といえば新喜劇。新喜劇といえば、今では吉本新喜劇という答えしか返ってこないかもしれませんが、昭和の時代、大阪には、松竹新喜劇と呼ばれる喜劇がありました。どちらかといえばドタバタの吉本に対して、笑いあり涙ありで、伝統的格調すら感じさせたのが松竹新喜劇。好き嫌いはありますが、大阪人にとって、松竹新喜劇は、吉本新喜劇とは一線を画す、格上の芝居と見なしていました。
そして、その松竹新喜劇を、たった独りでけん引したのが、稀代のアホ役者、藤山寛美です。藤山寛美には、前妻の娘が2人と、3人の娘がいます。藤山寛美が1990年に急逝するまでは、その芸を継ぐ者は誰もいないと思われていました。しかし、三女の藤山直美は、京都のお嬢様学校に通いながら、実は演劇部に所属していたらしく、父・藤山寛美の血は、脈々と彼女に伝えられていたのです。
屋台骨を失った松竹新喜劇は、藤山直美をくどき落として、藤山寛美の追悼公演に彼女を引っ張り出します。決して役者として期待していたわけではなく、藤山寛美という大看板の娘という話題作り程度だったでしょう。しかし、藤山寛美の人気演目「鼻の六兵衛」を、藤山直美が「鼻のお六」として演じたのを観た関係者やファンは、全身が総毛立つ戦慄を覚えます。まさに、父の魂が娘に乗り移ったかのように、藤山直美の一挙手一投足、外連やしぐさの全てが、父・藤山寛美とうり二つだったのです。この日より藤山直美は、父・藤山寛美一代限りの大名跡を引き継いだ喜劇役者として、世に知られることになります。
藤山直美とやしきたかじんの関係は?結婚の噂は本当?
藤山直美の孤独を知るただひとりの男やしきたかじん
藤山直美といえば、忘れてならないのが、兄のように慕っていたやしきたかじんの存在です。やしきたかじんとは、プレイベートでもつき合いが深く、藤山直美は、トーク番組などで、結婚してもいいなどと冗談を言っていました。芸能界に広い交友範囲を持つ藤山直美ですが、やしきたかじんと他の交友メンバーと根本的に違うところは、役者としてタレントとして、お互いが孤高の存在であることを理解しあっていたからだと確信します。
藤山直美もやしきたかじんにも、バックボーンは一切なく、自分独りの感性と実力、努力だけで生きてきたからです。現在、藤山直美は、自分が生きるべき芝居の道を少しずつ見出しているようですが、やしきたかじんは、晩年、売れれば売れるほど、伝説化されればされるほど、自分のアイデンティティを見失っていったようです。藤山直美が、やしきたかじんの死に際し、沈黙を貫いたのは、逆に、藤山直美の限りない悲しみの深さを表しているのではないでしょうか。
藤山直美の18代目中村勘三郎など華麗な交友関係
藤山直美の役者としての魅力に惚れた役者や俳優は数知れず。藤山直美の交友範囲の広さ、豪華さは、藤山直美の、役者としての実力のバロメーターでもあります。なかでも故18代目中村勘三郎とは、何度も舞台で共演し、歳も近かったせいか、戦友のような関係でした。中村勘三郎の他にも、岸部一徳や柄本明、志村けんと藤山直美の交友は有名です。また藤山直美が大ファンだったジュリーこと沢田研二とは、「夫婦善哉」で、念願の共演を果たしています。
藤山直美が坂本順治監督「団地」で第19回上海国際映画祭最優秀女優賞を受賞!
藤山直美が、2016年6月19日、「第19回上海国際映画祭」のコンペティション部門で、坂本順治監督の「団地」出演にて、最優秀女優賞を受賞しました。最優秀女優賞を日本人が受賞するのは、今回が初めてだそうです。坂本順治監督と藤山直美がタッグを組んだのは、福田和子殺人犯の逃亡劇「顔」以来となる映画「団地」。
あらすじは、藤山直美と岸部一徳演じる夫婦が、ある団地に引っ越してきて以来、団地の住民たちが、この夫婦の秘密を暴こうとして大騒動が起こるブラックコメディです。藤山直美の最優秀女優賞受賞は、団地という、アジア特有の、狭い住居空間で起きる濃い人間関係が、アジアの人々に共感を呼んだだけでなく、藤山直美の容姿が、彼らにはとても親しみやすいキャラクターだったからかもしれません。
藤山直美は最近、舞台では、伝統的な人情喜劇を、映画やドラマでは、従来のように、ここ一番のコメディリリーフだけでなく、結構ハードな役柄にも挑戦しています。昨年は、シアタークリエで、「放浪記」に次ぐ森光子の代表作である「おもろい女」が、9年ぶりに、藤山直美主演で再演されてもいます。
藤山直美は、舞台人として、いよいよ自分の代表作となるべき作品を見極める時期なのでしょう。しかし、藤山寛美から受け継がれた、喜劇役者としての才能は当代限り。藤山直美は、戦後の演劇史に残る、孤高の女性喜劇役者といえます。