2019年3月6日 更新
塩田武士のプロフィール!「罪の声」あらすじネタバレ!
塩田武士のプロフィール!高校時代は漫才コンビも組んでいた!?
塩田武士(しおたたけし)は、今話題の小説家です。1979年4月21日生まれ。兵庫県尼崎市の出身で、関西学院大学社会学部を卒業しました。大学卒業後は神戸新聞に入社し、将棋担当記者として活躍します。幼い頃から人を楽しませるのが大好きで、高校時代は漫才コンビを組んでいた塩田武士でしたが、大学1年から小説家を目指すようになりました。
小説家を志して、新人賞に応募し続けること12年。その結果、2010年に「盤上のアルファ」で、第5回小説現代長編新人賞受賞しました。これを機に2011年に作家デビューを果たした塩田武士は、同年に第23回将棋ペンラブ大賞も受賞。2012年に神戸新聞を退社し、小説家一筋の人生を歩み始めます。
塩田武士の著書「罪の声」あらすじネタバレ!グリコ・森永事件を題材にした小説!
塩田武士の著書「罪の声」は、2016年8月2日に発売され、今でも話題に上がることの多い長編小説です。内容は、1980年代に世間を騒がせた「グリコ・森永事件」をもとにしたフィクションで、事件のことを徹底的に調べたというだけあって、リアリティのある作品に仕上がっています。
塩田武士は、「グリコ・森永事件」の犯人からの電話には、子供の声の録音テープが使われていたという点に着目。物語は、それを軸に展開していきます。現実世界で起こったのは「グリコ・森永事件」ですが、小説の中では、菓子メーカーの「ギンガ」と「萬堂」に置き換えられ、「ギン萬事件」です。テーラーを営む曽根俊也は、父親の遺品からカセットテープとノートを見つけ、テープを再生してみると、自分の幼い頃の声が録音されていることを知ります。
そしてノートには、「ギンガ」「萬堂」の文字が書かれていました。テープの声が、31年前の「ギン萬事件」で使われた脅迫の音声と全く同じだとうことに気づく曽根俊也。犯人は自分の父親だったのでしょうか……?被害を受けた菓子メーカーの名前などは変えられていますが、事件が発生した日時や場所、脅迫文などは史実に基づいて再現されている小説「罪の声」。リアルな世界観に、これこそが「グリコ・森永事件」の真相だと勘違いするかもしれません。
塩田武士おすすめ作品「女神のタクト」「盤上のアルファ」あらすじネタバレ
塩田武士おすすめ作品「女神のタクト」あらすじネタバレ!
塩田武士の「女神のタクト」は、コミカルでちょっと泣ける音楽物語です。主人公は、矢吹明菜、30歳。失業した上に失恋までしてしまい旅に出ます。旅先で偶然に出会った老人から、かつて指揮者として活躍していた一宮拓斗という男性を、神戸のオーケストラに連れてきてほしいと頼まれる明菜。無理矢理連れてきた一宮拓斗は、オーケストラの音楽監督になり、明菜も定期演奏会に向けて手伝うことになります。
目指すのは、オーケストラの再建です。登場人物は皆いい人で、演奏シーンを堪能できる上、オーケストラの裏事情を知ることもできる本作。テンポがいいので、サクサクッと読めます。
塩田武士の「罪の声」を読んでからこの作品を読むと少し軽い感じもしますが、それこそが本作の魅力とも言えるでしょう。会話が軽妙な「女神のタクト」は、ドラマや映画化されるとより楽しめるかもしれません。
塩田武士おすすめ作品「盤上のアルファ」あらすじネタバレ!
塩田武士の「盤上のアルファ」は、第5回小説現代長編新人賞受賞作で、この作品がきっかけで作家デビューを果たしました。テーマは、プロ棋士を目指す男の物語です。新聞社の事件記者だった秋葉俊介は、文化部に配属されると、将棋観戦記者になりました。将棋のことはあまり知らない秋葉俊介でしたが、行きつけの飲み屋で、将棋のプロに挑戦しようとしている真田という男と出会います。
真田と、なぜか飲み屋のママまでもが秋葉俊介の家に転がり込んだことから始まった、3人の共同生活。家庭の事情で叔父に引き取られ、父が教えてくれた将棋だけを心の支えに生きてきた真田と関わっていく中で、秋葉俊介も、徐々に将棋の世界に引き込まれていくというストーリーです。自身も神戸新聞社で将棋担当記者をしていた塩田武士は、その時の取材経験をもとに「盤上のアルファ」を書き上げました。小説現代長編新人賞においては、選考委員全員がこの作品を選び受賞に至っています。
塩田武士「罪の声」は構想15年でようやく生まれた力作だった!テーマは「子供の人生」
塩田武士の「罪の声」は、「グリコ・森永事件」を題材に書かれた小説です。この事件が発生したとき、親から「お菓子を食べたらあかん」と言われたこと、そして、犯人の似顔絵の強烈なイメージは、ずっと記憶に残っていたといいます。作家になりたいと思うようになった塩田武士は、この事件を小説にしたいと考えました。しかし、社会経験を積んでいない自分には、その力量はまだないと思ったそうです。
作家デビューを果たした時にも、担当編集者に「グリコ・森永事件」を題材にして書きたいと相談しましたが、「今のあなたには、まだ書けない」とすぐに却下されたとか。しかし、塩田武士は、他の作品を手がけながらも、「グリコ・森永事件」をテーマに据えた作品を形にするための努力はずっと続けていました。当時の新聞全てに目を通し、資料、関係書籍なども調べ尽くしただけでなく、事件現場にまで足を運んだといいます。
構想15年、36歳になった塩田武士は、ようやく「罪の声」を書き始めることができました。「罪の声」は、真犯人を追うことではなく、テープの子供の声と、その子供の人生が物語の主軸となっています。未解決の「グリコ・森永事件」に対し、「罪の声」では事件は解決。
読み終わると、「作中に登場する録音の声に使われた子供は、今もそのことを隠しながらどこかで生きているかも」とつい想像してしまうのは、それだけリアリティがあるからでしょう。その筆力は、さすがは元記者です。鋭い視点で、斬新な小説を書いてきた塩田武士には、早くも次回作への期待が高まっています。