柳本光晴「響~小説家になる方法~」がマンガ大賞2017に!あらすじネタバレ
柳本光晴「響~小説家になる方法~」がマンガ大賞2017に!その選定理由とは?
柳本光晴「響~小説家になる方法~」が、マンガ大賞2017に選ばれたことで話題となっています。マンガ大賞に選ばれるのは、毎年多くの漫画作品が発売される中、日常的に本を取り扱っている書店員や、マンガに精通する人々が口を揃えて「読んで欲しい!」と選んだ作品のみです。
そのため、純粋に面白い作品が選ばれることで注目されています。ノミネートされた作品も、「ダンジョン飯」「東京タラレバ娘」など話題作揃いの激戦の中、見事大賞に輝いた柳本光晴「響~小説家になる方法~」。選んだ選定員らのコメントによると、地味な題材ながらも劇的な展開が評価されての受賞となったようです。
柳本光晴「響~小説家になる方法~」あらすじネタバレ!圧倒的な才能を持つ15歳の文学少女が主人公!
柳本光晴「響~小説家になる方法~」の主人公は、鮎喰響という15歳の女子高生です。とある文芸編集部の新人賞宛に応募原稿を送ったものの、捨てられそうになっていた響の原稿を、若手編集部員の花井が読んだことがきっかけで小説家デビューを果たします。すると、デビュー早々に、芥川賞と直木賞のダブルノミネートを果たし、世間が衝撃を受ける……というストーリーです。
実は、「響~小説家になる方法~」には、響の書く小説の具体的な文章は出てきません。読んだ人の心をことごとく鷲づかみにする様子の描写のみで響の才能の凄さを表現するという変わった手法が取られています。作者の柳本光晴が言うには、主人公の響について「強烈な子ではなく、可愛い子を書いているつもり」とのこと。
しかし、たしかに見た目こそ眼鏡黒髪の文芸少女っぽい雰囲気の響ですが、外見に反して中身はかなり激しく、その見た目と中身のギャップが凄すぎるキャラクターです。そうして描かれるのは作者の思い描いた「圧倒的な天才」。響きの躍進ぶりは、現在も「ビッグコミック スペリオール」にて連載中です。
柳本光晴「響~小説家になる方法~」読者の評価と反応!作者のプロフィールは?
柳本光晴「響~小説家になる方法~」読者の評価と反応!響の捉え方によって評価は分かれる?
マンガ大賞2017を受賞した柳本光晴「響~小説家になる方法~」ですが、読者の評価は分かれており、賛否両論あるようです。否定的な意見としては、「主人公の響の天才っぷりがあまり伝わってこない」「あまりにも響が破天荒すぎるのがイタイ」というのが大多数の様子。
一方の賛成派は、「響は意味なく暴力をふるっているわけではなく、必要悪と闘っているので痛快」「世間から騒がれてもあくまで態度がぶれない響のキャラクターがカッコいい!」というような理由が多く見られます。響が暴力的であることについて、ただの破天荒か、必要悪と闘うための手段と捉えるかによって評価が分かれるようです。
柳本光晴「響~小説家になる方法~」の作者のプロフィールは?題材に小説文芸を選んだ理由は?
「響~小説家になる方法~」の作者の柳本光晴は、同人誌出身の漫画家です。同人誌時代はミハルというペンネームを使い、同人サークル「TTT」として、「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作同人「ハルヒかわいい」や、オリジナル同人作品「日菜子さん」を描いていました。同人時代から人気があった柳本光晴は、その後、短期連載を経て、初の本格的な連載マンガをスタート。
それが、マンガ大賞2017を受賞した「響~小説家になる方法~」でした。題材に文芸小説を選んだ理由は、漫画ではあまり扱われることがないものの、世間一般にはメジャーであり、キャラクターに説得力さえ持たせられれば成立すると考えたからだと説明しています。
柳本光晴「響~小説家になる方法~」で描きたかったこととは?柳本光晴とthe pillows山中さわおが語る「才能」について
漫画通でもあるロックバンドthe pillowsのフロントマン山中さわおからのラブコールを受ける形で、「響~小説家になる方法~」の作者・柳本光晴との対談が実現しました。「今いちばん会いたい人と会って話す」企画のゲストとして登場した柳本光晴は、山中わさおとともに、さまざまな分野における「才能」をめぐる問題について語り合いました。
ずば抜けた天才や能力を持ち合わせている主人公に、憧れの気持ちを持ったと言う山中さわおに対し、柳本光晴は、「響」では、とにかく圧倒的な存在を描きたかったと説明。漫画家は孤独な作業なのではと問う山中さわおには、孤独を肯定しつつ、読者の生の声を聞くために、ネットで作品の批評を探してしまうことを明かしています。
柳本光晴にとって一番楽しい作業は、ネームを考えて話の構想を練っている時だそうです。対談の最後のテーマは、今後の「響~小説家になる方法~」の行方について。どんな状況になっても、主人公の響がそれに1ミリも影響されないところに最大の魅力を感じているので、そこは変えないで欲しいという山中さわお。それを聞いた柳本光晴は、響きの強さを意識しながらも、先々のことを考えるより、読者が毎回面白いと思えるものを目指して描きたいと答えています。
作者の柳本光晴にとってですら、響がどこまで突っ走っていくのかは未知数のようなので、まだまだ面白さが加速していきそうです。どのようなジャンルの天才でも、他の人から見れば狂気とも言えそうな危うい部分を含んでいるもの。響もまた同じですが、魅力あるキャラクターたちを生み出し、読者を強く惹きつけるストーリーを考えられる柳本光晴もまた、とてつもない才能の持ち主と言えるのではないでしょうか。