北方謙三のチンギス紀は水滸伝を超えるか?ハードボイルド作品も新刊が続々!

北方謙三の経歴とは?選考委員を務める賞多数!

北方謙三はハードボイルド小説や歴史大河小説が人気の作家!気になる経歴を紹介!

1947年10月26日生まれ、佐賀県唐津市出身の北方謙三(きたかたけんぞう)は、ハードボイルド小説や歴史大河小説で人気の作家です。中央大学法学部時代は学生運動に没頭し、全共闘運動に没入していた経歴を持つ彼は、在学中に純文学作品「明るい街へ」が雑誌「新潮」に掲載されたのを機に、学生作家としてデビューしました。

1981年に「弔鐘はるかなり」を、新人としては異例の書き下ろし長編で出版した北方謙三。その後も次々とヒット作を生み出し、1983年には「逃れの街」が水谷豊主演で映画化されました。さらに、1985年に「友よ、静かに瞑れ」、1987年に「黒いドレスの女」が映画化され、北方謙三は人気作家としての地位を不動のものにしました。

北方謙三の受賞歴は?数々の文学賞で選考委員も

1989年、北方謙三は自身初の歴史小説を発表しました。南北朝時代を舞台にした「武王の門」です。そして、同作の続編となる「破軍の星」で、第4回柴田錬三郎賞ををはじめ、舟橋聖一文学賞、紫綬褒章を受賞しています。

多くの文学賞を受賞している北方謙三ですが、自身が受賞する一方で、選考委員も務めています。2000年から直木賞の選考委員に加わり、その他にも、吉川英治文学賞、小説すばる新人賞、江戸川乱歩賞、角川春樹小説賞、日本推理作家協会賞の他、地元の佐賀で創設された九州さが大衆文学賞の選考委員にも名を連ねています。

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北方謙三が橘ケンチと「チンギス紀」トークイベントを開催!北方節が炸裂した内容とは?

北方謙三と橘ケンチがトークでコラボ!ファンにはたまらない全容とは?

チンギス・ハンの生涯を描く歴史大河小説「チンギス紀」の第3巻「虹暈」が2018年10月26日に発売されるのを記念し、著者である北方謙三と、EXILE THE SECONDのパフォーマーで俳優としても活動する橘ケンチとのトークイベントが、同年8月31日に開催されました。

抽選で選ばれた約300名の観客が見守る中、トークイベントは3部構成で行われました。第1部は北方謙三の講演で始まり、第2部では読書好きとして知られる橘ケンチとの対談、そして第3部は観客からの質問に2人が答え、会場が一体となって楽しめる盛りだくさんな内容でした。

北方謙三が語る小説への愛!「私は物語の力を信じている」

北方謙三と橘ケンチの「チンギス紀」トークイベントの第1部で、「今日は北方菌をばらまきます。みなさんは感染し、書店の前で発症し、私の本を全部買うことになるでしょう」と作家らしく洒落たジョークを飛ばした北方謙三は、以前アフリカを訪れた際の話を始めました。

滞在先のホテル前のベンチで、北方謙三はコンシェルジュが女の子に本を読み聞かせているのを目にします。しばらくその様子を見ていると、コンシェルジュの読む物語に耳を傾けていた女の子が、ポロポロと涙をこぼし始めたのだそう。その光景を見た北方謙三は「物語というのは、こうして人の心を動かすことができるんだ」とあらためて認識。日本へ戻ったら執筆活動を頑張ろうと、決意を新たにしたといいます。

自身が感銘を受けた本を紹介するブログ「たちばな書店」を持つほど大の読書家で知られる橘ケンチと「チンギス紀」を絡めたトークで会場を沸かせた北方謙三。「私は物語の力を信じている。物語が力をもっている限り、小説、本はなくならない」と語り、最後は「みなさんは北方菌に感染したので、1週間以内に書店で発病し、都内から私の本はなくなるはず」と笑いで締めくくりました。

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「チンギス紀」も大作の予感?新刊を続々と発表する北方謙三の名言がアツい

北方謙三の大ベストセラーとなった歴史大河小説といえば、有名なのは彼が実に約17年という歳月をかけて書き上げた「大水滸伝シリーズ」です。「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」から成る同シリーズは全51巻という長編作品で、多くの熱烈なファンに愛されています。

ファンからは「北方水滸伝」と呼ばれて親しまれ、2006年に第9回司馬遼太郎賞を受賞した北方謙三の「水滸伝」は、いわゆる中国の四大奇書のひとつである「水滸伝」をもとにしています。しかし、北方謙三独自の解釈で創作されているため、原典とは別物と解釈して読むのが物語を楽しむコツとされています。

「日本の大衆小説の最高峰」とも言われる「水滸伝」に続く歴史大河小説として北方謙三が発表したのが、「チンギス紀」です。2018年5月25日に第1巻「火眼」、第2巻「鳴動」が同時刊行された本作はモンゴル帝国の初代皇帝チンギス・ハンを描いた物語で、「小説すばる」2017年5月号から連載がスタートしました。

北方謙三がチンギス・ハンの生涯を描くつもりと語る「チンギス紀」は、2019年3月26日に第4巻「遠雷」が発売され、同年7月26日には、第5巻「絶影」が発売となります。今回は何巻の大作になるのか楽しみですね。

また、1983年に第1弾「さらば、荒野」の初版が刊行されたハードボイルド小説「BLOODY DOLL(ブラディ・ドール)シリーズ」も根強い人気を保っています。本作はハルキ文庫で2016年9月から文庫版の刊行が開始され、2019年7月13日にはシリーズ18弾「されど時は過ぎ行く」が発売されます。

ハードボイルド小説から歴史大河小説まで、ベストセラーを出し続けている北方謙三。ベストセラー作家と聞くと、ずば抜けた才能やセンスの持ち主で近寄りがたくも感じます。しかし、かつて北方謙三は、こんなことを言っています。

「まだ傑作を書き上げたなんて夢にも思ったことはない。もしそう思ったら、僕は小説家をやめてしまうだろう」

自身の作品に満足せず、常に広くアンテナを立てて物語を面白くするための創意工夫を怠らないからこそ、北方謙三ワールドはファンの心をとらえて離さないのでしょう。

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