深田晃司監督のカンヌほか受賞歴は?映画「淵に立つ」は小説とは異なるもう一つの結末

2019年12月26日 更新

深田晃司監督のカンヌほか輝かしい受賞歴は?卒業した映画美学校とはどんなところ?

深田晃司監督の主な作品や受賞歴をおさらい!カンヌ国際映画祭「審査員賞」も受賞

深田晃司は、輝かしい受賞歴を持つことで知られる映画監督です。大正大学を卒業した後に、映画美学校に入学して数々の映画の制作に携わった後、2002年に、長編自主映画「椅子」から映画監督としてのキャリアをスタートさせました。その後も、斬新な手法を用いたアニメ作品「ざくろ屋敷 バルザック『人間喜劇』より」や、映画「東京人間喜劇」など、作品を制作するたびに国内の映画賞を受賞するようになります。

評判は海外にも及び、「歓待」は、東京国際映画祭やTAMA映画賞のほか、プチョン国際ファンタスティック映画祭「最優秀アジア映画賞」を受賞。2013年に製作した二階堂ふみ主演の映画「ほとりの朔子」では、三大陸映画祭においてグランプリと「若い審査員賞」をダブル受賞し、一躍注目を浴びることになりました。

同作はさらに、タリンブラックナイト映画祭や、フリブール国際映画祭でも各賞を受賞しています。そして、2016年に公開された浅野忠信主演の映画「淵に立つ」では、ついにカンヌに招待された深田晃司監督。第69回カンヌ国際映画祭のある視点部門で「審査員賞」を受賞し、「日本の怒れる映画監督」と紹介されるなど、世界からの注目が高まりつつあります。

深田晃司監督は映画美学校卒!清水崇監督や富田克也監督も輩出

深田晃司監督が卒業した映画美学校は、「THE FILM SCHOOL OF TOKYO」の名の通り、映画教育を行っている機関です。1997年発足され、2000年からは特定非営利活動法人の認定を受けて活動しています。実践的な映画や映像づくりを学べるとあって、「映像翻訳講座」や「脚本コース」「アクターズコース」などさまざまなコースが用意されている映画美学校。講師と受講生が一緒に映画を制作する機会も設けられており、国内外の映画賞に出品されることが多いところも魅力でしょう。

深田晃司監督の場合は、映画美学校で「フィクションコース」を受講し、劇映画の制作ついて学びました。深田晃司監督以外の卒業生に、「呪怨」の清水崇監督や、「サウダーヂ」の富田克也監督などがいることからも分かるように、数多くの映画人を輩出しています。

深田晃司監督の「淵に立つ」は小説とは異なるもう一つの結末!劇団「青年団」に所属していた

深田晃司監督の「淵に立つ」は小説とは異なるもう一つの結末!

深田晃司監督が制作した「淵に立つ」は、完全なるオリジナル作品で、脚本も監督自身が務めています。「淵に立つ」には、小説版と映画版が存在しますが、実は結末が違うとか。その理由は、小説版では、アイデアにはあったものの映画を制作する段階では採用しなかった「もう1つの結末」を採用しているため。

映画版では、浅野忠信演じる八坂という男性の行方を追うある家族が自殺を図り生死不明の状態でエンディングを迎えますが、小説版では、八坂の自殺をうかがわせる終わり方のようです。そのため、映画版と小説版は、同一の設定で描かれた作品でありながら、それぞれ違った持ち味を楽しむことができます。

そもそも映画版「淵に立つ」は、人の内面など分からないという前提で作られ、八坂の心情などが語られることはありません。解釈はすべて観客に委ねられていると言えます。しかし、深田晃司監督によると、小説では何も書かないわけにはいかず、まったく違ったアプローチが求められたそうです。性質の異なる媒体で表現した以上、違った結末が導かれることも、深田晃司監督にとっては当然のことだったのかもしれません。

深田晃司監督は劇団「青年団」に所属していた!

深田晃司監督の映画「淵に立つ」や「ほとりの朔子」など多くの作品には、主役ではないものの重要な役どころで古館寛治が出演しています。深田晃司監督と古館寛治が出会った場所は、とある劇団でした。ともに劇団「青年団」に所属していた2人。人気劇作家の平田オリザが主宰している劇団で、深田晃司監督は演出部にし、古館寛治は俳優として所属していました。

そのころからの付き合いで、今でもよく食事に行く関係だと明かしている深田晃司監督は、古館寛治が、作品作りにおいてさまざまな提案をするタイプの俳優だというところも気に入っていると答えています。

深田晃司監督の最新映画「海を駆ける」が2018年5月に公開決定!主演はディーン・フジオカ!

世界が注目する深田晃司監督の完全オリジナル脚本による最新映画「海を駆ける」が、2018年の5月に公開されることが決定しました。映画「海を駆ける」は、インドネシアのとある海辺の町が舞台のファンタジー。鶴田真由演じる日本人女性と太賀演じる息子が、行き倒れていた男を助けたことから始まる、不可思議な出来事を描いた作品となっています。

行き倒れていた男ラウ役を演じるのは、ディーン・フジオカです。ラウは、演じているディーン・フジオカ曰く「さまざまな奇跡的な現象を起こしていく、とにかく謎に包まれたキャラクター」。自身の家族がインドネシアに住んでいただけに、個人的な思い入れも深いようです。

深田晃司監督は、ディーン・フジオカを見た瞬間に「ラウがいた!」と確信したと言いますから、まさにハマり役となっていることは間違いないでしょう。東日本大震災の記録映画をつくるために、2004年に地震と大きなTSUNAMIに襲われたインドネシアのアチェ州を訪れたことから、この土地で映画を撮ることを考え始めたと明かしている深田晃司監督。その思いの深さは、ファンタジックな作品世界をさらに奥深いものにしているのではないでしょうか。

日本で公開された後は、オールロケが行われたインドネシアでの公開も決まっている映画「海を駆ける」。すでに海外での上映が決まっているとは、世界各国の映画賞に出品される可能性もかなり高そうで楽しみです。

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