九井諒子「ダンジョン飯」は新感覚メシ漫画!感想、最新刊発売日は?
九井諒子「ダンジョン飯」スライムは食べ物です!異色メシ漫画大ヒット作
九井諒子「ダンジョン飯」は、1巻の発売当初から異彩を放っていました。巨大な地下空洞ダンジョンに潜る冒険者たち。彼らだってお腹が空くので、ご飯を食べます。しかし、登場する料理は、スライムや人喰い植物、バジリスクなどのモンスターを材料としたもの。
ゴーレムに作った畑を耕し、便利アイテムを作成し、時に危険に陥りながらも、冒険者達は、どんどんとダンジョンの深部に潜り込んでいきます。捕獲し、料理し、食べる……時折主人公ライオスたちの事情などをさしはさみつつ、コミカルにテンポよく物語は進みます。モンスターを食べることに対して、エルフの魔法使いマルシルが盛大にツッコミを入れていますが、拒否反応を示していたマルシルも、徐々に慣れていきます。絵面はおいしそうなのに、材料のせいで読んでいても味が想像できないというのも九井諒子「ダンジョン飯」の特徴の1つです。
九井諒子「ダンジョン飯」感想と気になる最新刊の発売日は?
九井諒子の「ダンジョン飯」は、2014年2月に、ハルタ誌上で連載開始。2015年1月に第1巻が発売されると、すぐに話題になりました。2巻は2015年8月に発売。各社が開催するマンガ賞にも軒並みノミネートされ、1位を獲得しています。「ダンジョン飯」最大の魅力は、事細かなモンスターの生態描写と、料理シーンです。作中ではモンスター食に詳しいドワーフのセンシが、解説と料理を請け負っていますが、作者は実際にスライムをさばいて料理をしたことがあるのでは、と錯覚するほど、細かく丁寧な解説がされます。
九井諒子「ダンジョン飯」は、RPGに馴染んだ読者に特に好評ですが、食べ物に対する感想のほか、冒険者たちがどういう生活をしていたのか想像していたものが漫画として現れた、との感想もあり、ダンジョン日常系漫画としても楽しめます。九井諒子「ダンジョン飯」気になる3巻の発売日は今のところ未定。7月以降になるのではと予想されています。
九井諒子はpixiv、ブログ出身!デビュー作「ひきだしにテラリウム」の評価は?
九井諒子「地に足ついた系ファンタジー」作者はpixiv出身だった
九井諒子は、雑誌社主催の新人賞を受賞歴などはなく、持ち込みなども行っていません。自身のサイトやブログ、pixivなど、サイトやコミティアなどの同人誌即売会で作品を発表してきました。そうした九井諒子の「地に足ついた系ファンタジー」と評される作品が編集者の目に留まり、プロの道へ。2011年に商業誌で作品を発表、ヒット作となった「ダンジョン飯」のほかに、短編集となるコミックス「竜の学校は山の上」「ひきだしにテラリウム」「竜のかわいい七つの子」を発表しています。
現代、ファンタジー、SFなど、九井諒子作品はジャンル問わずで、バラエティに富んでいます。日常の中に特殊な設定を落とし込むことに長けている九井諒子は、シンプルながら画力も高く、独特の世界観に支持が集まっています。過去サイトなどで公開していた作品は、九井諒子がプロデビューするに際して削除されており、当時の作品を惜しむ声が多くあります。
九井諒子の掌編33篇が収録された「ひきだしにテラリウム」の気になる評価
九井諒子「ひきだしにテラリウム」は、イースト・プレスが運営するwebメディアMATOGROSSO上に掲載されていた作品を集めた掌編集になっています。1作品のページ数は少ないですが、量と質はそれ以上。短い中に、色濃い物語が、これでもかと詰め込まれています。コミックスとしては分厚い部類に入りますが、飽きさせずに最後まで読ませる力がある九井諒子「ひきだしにテラリウム」。
特に、同じ作者が描いているのかと疑われるほど、作品によって絵を変えている点は特筆ポイントでしょう。独特の感性と世界観は、当時から変わらず、舞台が限定されていないせいか、より一層異彩を放っています。オムニバスというよりはショートショートの体裁で、星新一作品のようだとの感想も。特に評価が高いのが、料理漫画「竜の逆鱗」。非日常のある日常を、作者独自の熱量で描き切った良作品に仕上がっています。
九井諒子「ダンジョン飯」リアリティをもって描かれるファンタジー世界の日常
九井諒子の描く「ダンジョン飯」は、ファンタジー世界での日常が、事細かに描かれています。ファンタジー世界の住人たちは、何で稼ぎを得て、どのように生活をし、どのような食事をするのか。ライオスたちの小さな行動、何気ない言葉の奥には、語られることのなかった世界の広がりが見えます。剣や魔法でモンスターや敵と戦い、命の危険と隣り合わせの日々を送っている冒険者たちも、眠りもすれば、お腹も空くし、食事をしなければ生きてはいけません。基本的な生理構造は、現代社会を生きる人々と同じです。
しかし……食材が違います!実際に見たのかと疑いたくなるほど、自然に描かれたスライムの解剖図、どこが食べられて美味しいとか、下処理が必要とか、この部分は美味しくないとか、懇切丁寧に説明されます。料理の手順と注意事項を説明されても、残念ながら現代社会にスライムはおりません……。ミミックも襲い掛かってこないし、宝虫に騙されることもありません。
しかし、作中ではそれらを上手に調理し、日々の糧にしています。創作であるはずなのに、妙なリアリティがある。それが九井諒子「ダンジョン飯」の魅力でもあるのです。しかしながら、作中の料理をどうにか再現してみようと苦心する読者もおり、現実社会でもにわかに盛り上がりを見せています。モンスターも食材になることを教えてくれた「ダンジョン飯」、九井諒子の描く非日常世界の日常をお楽しみください。