石井遊佳はインド在中の芥川賞作家!旦那の職業は?
石井遊佳はインド在中の芥川賞作家!経歴もスゴかった
石井遊佳(いしいゆうか)は、第158回芥川賞を受賞した小説家ですが、実は受賞作となった「百年泥」がデビュー作。現在は、インドのチェンマイに夫とともに住んでおり、受賞会見はインドから電話での出席になりました。
石井遊佳のプロフィールを紹介しますと、出身地は大阪府枚方市で、1963年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、作家を目指して書き続けながら、洋菓子職人、消費者金融、ホステスや仲居と、さまざまな職業を転々としたという経歴の持ち主でもあります。
石井遊佳の旦那の職業は?
職を転々としてきた石井遊佳は、旦那と共にインドのIT企業で日本語教師をしています。旦那の本職は、サンスクリット語の研究者。研究のためインドに滞在したいと考え、現地での仕事を探していたそうです。旦那が、インド企業との面接の席で、妻の石井遊佳もネパールで日本語教師をした経験があったことを話したところ、夫婦で日本語教師としてインドへ行くことに。芥川賞受賞作の「百年泥」は、インドでの経験を下敷きに書かれていますから、受賞は旦那のおかげとも言えるかもしれません。
石井遊佳の「百年泥」は実体験を元に書かれた!選評や感想は?
石井遊佳の芥川賞受賞作「百年泥」の大洪水は実体験が元に
石井遊佳のデビュー作にして芥川賞受賞作でもある「百年泥」は、インドで日本語教師をする女性が主人公。かの地で大洪水に遭い、橋の下に溜まった泥の中から様々なものがよみがえってくるというあらすじです。実は、この大洪水は、インドで石井遊佳が実際に体験した出来事で、橋が泥まみれになったのも事実でした。実体験をもとに書かれた私小説風とも言える作品ですが、空を飛ぶ通勤者が登場したり、ありえないものが掘り出されたりと、虚虚実実な不思議な仕上がりになっています。
石井遊佳の「百年泥」の選評や感想は?空飛ぶ通勤者を本当だと思った人も
石井遊佳のインドでの実体験が元になっているせいか、「百年泥」の描写は非常にリアル。読者の中には、「インドには本当に空を飛ぶ通勤者がいるのかと思った」と感想をもらす人もいたそうです。「現実と奇想と妄想と様々なものを織り交ぜながら、最終的にはうまく(作品の)スケールを収めている」と選評を述べたのは、芥川賞選考員の堀江敏幸。石井遊佳の「百年泥」は、リアリズムと奇想の絶妙なバランスの取り方が高く評価されているようです。
石井遊佳は作家デビューまで100作以上書いていた!受賞で喜びのあまり踊った?
53歳にして芥川賞を受賞した石井遊佳は、これまで20年以上も作家を目指してきたと言いますから、今回の受賞は喜びもひとしおだったようです。インドからの電話で行われた受賞会見では、受賞を知らせる電話を受けた石井遊佳が、喜びのあまりインドのオフィスで「夫と2人で踊った」というエピソードを披露しています。
10代の頃から書くことが好きで、大学在学中に「作家になろう」と決意した石井遊佳。彼女が大学を卒業した1980年代中ごろと言えば、世の中はバブル好景気に沸いていました。そうした中で同級生たちが一流企業へ就職していのを横目に、あくまで生きていくために職業に就いたそうです。そうして様々な職業を転々とする中で、ずっと続けてこられたのは「書く」ことだけでした。
とはいえ、20代になるまでは身辺雑記の域を出ず、小説という創作の形にまとまるようになったのは20代も後半になってから。本格的に小説を投稿できるようになったのは30代になってからでした。それでも書くことはやめず、100作以上は書き続けてきたのですから、石井遊佳の「作家になる」という決意はよほど固かったとみえます。
しかし、夫のおかげで思ってもみなかったインド生活を送ることに。日本とは異なるハードな住環境におかれたことで、石井遊佳は3年ほど書くことができずにいたそうです。そんな中にあって芥川賞受賞作品である「百年泥」は、「たまたま2、3カ月仕事が空いた時期があって、本当に奇跡的に書け」た作品。
結果的には、思わぬインド生活を下敷きにして描いた作品でデビューを勝ち取り、芥川賞まで受賞したわけですから、3年のブランクもインド生活も意味のあることだったのでしょう。石井遊佳自身も、「それまでとどう違うかは分からないですが、おそらく変わったからこそ、こういう結果が生まれたのかなと思います」と語っています。
こうして、アラフィフにして新人作家となった石井遊佳。「おらおらでひとりいぐも」で、同時に芥川賞を受賞した若竹千佐子も63歳です。デビュー作で受賞しているという点も同じで、ともに遅咲きの新人作家誕生となりました。
高齢化が進む昨今、シニア層の活躍にことさら注目が集まっています。石井遊佳はその中では、若手といっても過言ではないわけですから、ぜひとも新しい作品をどんどん世に送り出してほしいものです。