映画「ラブレス」はロシアのサスペンス映画!カンヌ映画祭の審査員賞を受賞
映画「ラブレス」はカンヌを受賞したロシア初のサスペンス映画!
映画「ラブレス」は、鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督による2017年のロシア映画。結婚生活が破たんしたロシア人夫婦と両親からの愛情を失った息子の姿を通して、現代のロシア人をリアルに描き切ったと話題を集めました。
監督が「重い体験をする家族についての物語」だと表現した本作は、第70回カンヌ国際映画祭コンペティションに選出され審査員賞を受賞したほか、第75回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞にノミネート。ロアシという枠組みを超えて、世界的な評価を獲得したロシア初のサスペンス映画となっています。
映画「ラブレス」離婚間際の夫婦の息子が失踪!
映画「ラブレス」で中心的に描かれるのは、ボリスとジェーニャ夫婦です。すでにお互いに新しい恋人がいる2人は離婚を決めるも、親権を押し付け合っていた12歳のひとり息子アレクセイが失踪してしまいます。ボリスとジェーニャは、警察に連絡するだけでなく、ボランティア団体の助けも借りながらアレクセイを探し始めますが、それは自分たちの新しい未来のためでした。
捜索の最中もお互いをけなし合い、言い争いが絶えない2人。夫婦は、ジェーニャの実家のほか、遺体安置所にまで向かいます。しかし、確認した遺体は息子ではなく、アレクセイは一向に見つかりません。ようやく息子が足を踏み入れたらしい廃墟ビルの情報が得られ、向かった夫婦が見つけたものとは。
映画「ラブレス」は監督もロシア出身!しかしロシア政府からの資金援助なし?
映画「ラブレス」アンドレイ・ズビャギンツェフ監督はロシア出身で賞レースの常連!鬼才と言われる理由は?
映画「ラブレス」の監督は、ロシア出身の鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ。2003年に、長編デビュー作「父、帰る」でいきなりヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞して話題になりました。その後も、夫婦の孤立感を描いた「ヴェラの祈り」、男性の世界で生きる女性を描いた「エレナの惑い」など、重厚で深みのある作品を発表し続けて賞レース常連監督に。世界的な知名度を得た現在もなおロシアを拠点に活動しており、リアリティのある人間描写で世界中から多くのファンを獲得しています。
映画「ラブレス」はロシア政府からの資金援助なし?理由は?
現代ロシアに生きるロシア人家族の姿をリアリティたっぷりに描いた映画「ラブレス」は、ロシア政府から金銭的な支援を得られないまま撮影が行われました。支援が受けられなかったのは、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が2014年に撮影した「裁かれるは善人のみ」でロシアの汚職を描いたことが、ロシア政府の反感を買ったからとか。
そのため、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が、ロシアの富豪や、フランスやベルギーの企業に声をかけて資金を援助してもらったという経緯があったそうです。
映画「ラブレス」がアカデミー賞で受賞を逃すもフランスのセザール賞を受賞!
日本では2018年4月7日からの公開が予定されている映画「ラブレス」は、フランスでは2017年5月から、ロシアでは2017年6月から公開されました。そのため、2018年のアカデミー賞ノミネート対象作品になっており、見事ノミネートを果たしています。
映画「ラブレス」がノミネートされたのは、外国語映画賞部門でした。他にノミネートされたのは、ハンガリーの「心と体と」や、スウェーデンの「ザ・スクエア 思いやりの聖域」、レバノンの「The Insult」、チリの「ナチュラルウーマン」です。
それぞれが話題作ではありましたが、前哨戦とも言われるゴールデングローブ賞にもノミネートされていただけに、最も受賞に近いと見る人も多かった映画「ラブレス」。しかし結果は、セバスティアン・レリオが監督を務めたチリの「ナチュラルウーマン」が受賞となっています。
とはいえ、映画「ラブレス」を見れば、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が、ロシア国内にとどまらず、今や世界を代表する鬼才監督の1人に数えられる存在になっていることは明らかでしょう。その証拠に、2018年3月2日に発表されたフランスのアカデミー賞と称されることもあるセザール賞では見事に外国語映画賞を受賞しました!
デビュー作の「父、帰る」がヴェネツィア国際映画祭「金獅子賞」を受賞するという快挙を達成したアンドレイ・ズビャギンツェフ監督のこと。セザール賞受賞で勢いを得て、アカデミー賞受賞という新たな勲章を手にする機会もそれほど遠くはないのではないでしょうか。