永瀬隼介小説「帝の毒薬」あらすじネタバレ!「閃光」は映画化も!
永瀬隼介小説「帝の毒薬」あらすじネタバレ!終戦後の混乱の中で起こった帝銀事件とは?
永瀬隼介小説「帝の毒薬」は、日本推理作家協会賞にもノミネートされるなど、高い評価を受けました。
「帝の毒薬」は、実際に起こった帝銀事件をベースに作られたフィクションのミステリー小説で、戦後激動の時代を、永瀬隼介ならではの切り口で描いた話題作です。
昭和23年1月、実際に起こった帝銀事件とは、東京の帝國銀行椎名町支店が現場でした。東京都の消毒班を装った中年の男が訪れ、赤痢の予防薬と偽った毒物・青酸化合物を16人の行員に飲ませ、12人が死亡。また、4人を意識不明にさせた上に、16万円と小切手1枚を奪った大量殺人事件です。
永瀬隼介小説「帝の毒薬」は、主人公である刑事の目線から見た「帝銀事件」を軸に展開されていきます。終戦前の満州や、戦後の東京の混乱、GHQの暗躍などを背景に、緊張感をはらみながらジリジリと進む物語。「帝銀事件」の真犯人としては、人体実験を行っていたとされる旧日本軍の731部隊の存在を匂わせています。
永瀬隼介小説「閃光」は映画化も!「三億円事件」の新解釈ミステリー小説!
永瀬隼介小説「閃光」は、戦後日本最大のミステリーとされている「三億円事件」を、新しい解釈で描いたミステリー小説です。2010年には、「ロストクライム‐閃光‐」のタイトルで映画化もされ、話題となりました。都内で発見された男性の他殺体の捜査をすることになった老刑事の滝口政利は、この事件と、あの「三億円事件」に接点があることに気付きます。
若手刑事・片桐慎次郎とコンビを組み、地道な捜査を続ける内に、辿りついた先に、知られざる真相が見えてくるというストーリーです。永瀬隼介の作品は、内容もページ数も濃いですが、「閃光」も600ページを超えています。しかし、永瀬隼介の持ち味である臨場感溢れる文体は、無駄な装飾がなく、骨太で読者を強く惹きつけるため、最後まで読者を飽きさせません。
映画「ロストクライム‐閃光‐」では、滝口政利役を奥田瑛二、片桐慎次郎役を渡辺大が演じ、初日満足度ランキングでも上位に入るなど、好評を得ました。
永瀬隼介はノンフィクションもおすすめ!「19歳」「疑惑の真相」とは?
永瀬隼介はノンフィクションもおすすめ!週刊誌記者からノンフィクション作家へ!
永瀬隼介は大学卒業後、一般企業勤務を経て、週刊誌「週刊新潮」の記者となった後、1999年にフリーに転身。本名の祝康成(いわいやすなり)名義で、ノンフィクションライターとして活動を始めました。2000年には、永瀬隼介名義で作家活動を始め、2000年3月に、「サイレント・ボーダー」で小説家デビューを果たします。
週刊誌の記者がスタートだったことを考えると、最初に手掛けたのがノンフィクションの作品で、その後、フィクション小説へとシフトしていったことにも納得がいきます。ノンフィクション作品として発表されたのは、「19歳」「疑惑の真相」「黒龍江省から来た女」の3作品。どれも永瀬隼介が事件に対して真摯に向き合い、綿密な取材を経て、事実の裏側にある見えざる真実について迫った、読み応えのある作品でおすすめです。
永瀬隼介作品「19歳」「疑惑の真相」とは?鋭い観察眼で捉えた事件の裏側!
永瀬隼介「19歳」は、1992年に千葉県で起きた一家四人惨殺事件の事実に迫るノンフィクション作品です。永瀬隼介は、犯人の19歳の少年と、面談や手紙のやり取りを何度も重ね、少年が凶行へ走ったいきさつや、死刑確定までの道のりを丹念に綴っています。
同じく永瀬隼介による「疑惑の真相」は、美智子皇后失声症、三億円事件、丸山ワクチン許可問題、美空ひばり紅白辞退、成田空港の謎、和田心臓移植事件、なだしお事件、アントニオ猪木対モハメド・アリの対決など、昭和の時代に起こった8つの事件や謎についての真相に迫る内容となっています。
記者時代も含め、これまでさまざまな事件や、その犯人と向き合い、綿密な取材を重ねてきた永瀬隼介ですが、事件の真相に近付くことはできても、「(19歳の犯人の)心の奥底には迫りきれなかった」と述懐しています。人の心とは、理解しようと思えば思うほどに謎が深まる、最大のミステリー。だからこそ、人の心のひだにまで迫る永瀬隼介のノンフィクション作品が注目を集めるのでしょう。
永瀬隼介小説「狙撃」がドラマ化!体当たりの演技で尾野真千子がハードアクションに挑んだ!
永瀬隼介小説「狙撃 地下捜査官」は、1995年3月に発生した「警察長官狙撃事件」をモチーフにしたフィクション小説で、10月2日に、秋のスペシャルドラマ「狙撃」として放映されました。主人公の上月涼子は、配置転換により警視庁警務部特務監察室へ赴き、スーパーエリートの室長・鎮目竜二警視正の下で、警察官を内定する任務に就くことになります。やがて上月涼子は、15年前に起きた次期首相候補狙撃事件に隠されていた真相に突き当たる、というストーリーで、警察の内部抗争や、警察組織の闇について描かれています。
主演は尾野真千子、阿部サダヲや佐藤浩一ら実力派俳優が集結した本格ミステリードラマで、放映前から注目を集めていました。激しいアクションも多く、ハードな作品ですが、なるべくスタントを使わず体当たりの演技で挑んだ尾野真千子は、「涙あり、アクションあり、人間ドラマあり、あっと驚く展開の、見ごたえある大人なドラマになっています」とコメント。登場人物の殉職が多かったため、放送後は、ネット上で、賛否両論の意見が飛び交っていました。
しかし、見応えのある重厚なストーリーには、続編を期待する声も多数見受けられます。ドラマのラストが伏線を残す感じの終わり方だったことや、スタッフ陣のこのドラマにかける意気込みを見る限りでは、「狙撃」の続きが、ドラマや映画で再び描かれる可能性も大いにありそうです。
永瀬隼介の、骨太で、臨場感やリアリティ溢れる作風は、それだけで魅力を感じます。さらに実際の事件をモチーフにしていることも多いため、永瀬隼介の小説をきっかけに、ベースとなっている事件や時代背景に興味を抱く人も少なくありません。そこには、風化していく過去の事件についてもう一度考えてみて欲しいという、永瀬隼介の願いが込められているのではないでしょうか。