押見修造が天才漫画家と言われる理由!嫁が「惡の華」仲村佐和のモデルだった
押見修造が天才漫画家と言われる理由!作品に描かれる独特の世界観
奇抜なストーリー展開で人気を呼んでいる漫画家の押見修造(おしみしゅうぞう)は、屈指の実力派漫画家として有名です。作品を次々とヒットさせ、アニメ化や映画化された映像作品も数多くあり、実力、人気共に漫画家としてのトップランナー押見修造の作風とは一体どのようなものなのでしょうか?
実は、押見修造の描く独特な世界観こそが「天才漫画家」と称される理由でもありました。押見修造の描く作品には青春モノが多く、登場人物の苦しみや葛藤が詳細に表現されています。一見、暗いと思いがちですが、盛り込まれているのは、人間関係や恋愛、親子間のトラブルなど、誰もが経験し、かつ共感する要素です。そのため押見修造の漫画は、「純文学にも値する」と高い評価を受けています。
押見修造の代表作「惡の華」仲村佐和は嫁がモデルだった?
押見修造を語る上で外してはならない代表作の一つが、思春期の葛藤を描いた「惡の華」です。平凡な男子中学生の春日高男を中心に、周囲に溶け込めず、教師に「クソムシ」と暴言をはくこともある仲村佐和や、マドンナ的存在の佐伯奈々子などが登場します。センセーショナルな内容はもちろんのこと、ネット上では、仲村佐和のモデルは押見修造の嫁ではないかという点でも話題になりました。
実は、仲村佐和のモデルは2人いると言われています。1人は、仲村佐和の容姿と名前のモデルと推測される「週刊プレーボーイ」で活躍していた元セクシーグラビアタレントの「仲村みう」。そしてもう1人は、仲村佐和のキャラモデルと言われている押見修造の嫁です。
作中で「このクソムシが!」と叫ぶシーンが多くある仲村佐和ですが、かつて嫁は、押見修造に「クソムシ」と書いたメールを送ったことがあるとか。また、主人公の春日高男に「作文を書いてこい!」と命令するシーンがありますが、このセリフも嫁から実際に言われたことがあったそうです。
押見修造の「ハピネス」他おすすめ作品は?「漂流ネットカフェ」など映像化された作品は?
押見修造の「ハピネス」他おすすめ作品とは?あらたな代表作が誕生
2003年に、「別冊ヤングマガジン」に掲載された「スーパーフライ」で鮮烈なデビューを飾った押見修造は、「別冊少年マガジン」にて、現代の吸血鬼を描いた異色作「ハピネス」を連載しています。吸血鬼になってしまった内気な少年が、人としての理性と吸血鬼としての本能の狭間で葛藤しながらダークヒーローになっていくというストーリーです。
これまでに映像化されたことも手伝ってか、押見修造の作品としては、「惡の華」や「漂流ネットカフェ」がよく知られています。しかし最近、コアなファンの間で話題になっているのが、2017年より「ビッグコミックスぺリオール」に連載中の「血の轍」です。
発表されるや、「この作品は『惡の華』を超えるかも」とか「相当にヤバい作品だ!」と絶賛する声が相次ぎました。「究極の毒親!」とのキャッチコピーで売り出された「血の轍」は、主人公の長部静一と、美しく魅力的な母・静子を軸に描かれています。
静子は、どこそこの毒親と違って、子供に暴力を振るったり、暴言を吐いたりと言った行為は一切しません。究極とも言える母の愛「過剰な愛と慈しみ」で息子を縛り続けています。息子に対する狂気なる依存心!まだ連載が始まったばかりではありますが、「血の轍」もまた押見修造の代表作となるのではないでしょうか。
押見修造の「漂流ネットカフェ」は「漂流教室」へのオマージュ?
「漫画アクション」に掲載されていた「漂流ネットカフェ」は、伊藤淳史主演でドラマ化されたことでも話題を呼び、押見修造の出世作品となった作品です。たまたまネットカフェに居合わせた人たちが異次元に飛ばされてしまうという設定ですが、タイトルから推測するに、恐怖漫画の巨匠・楳図かずおの代表作「漂流教室」へのオマージュなのでしょうか。この「漂流ネットカフェ」の他にも、押見修造には映像化されている作品があります。
その1つは、2004年に「週刊ヤングマガジン」に連載された、水泳部に所属する中学生を主人公にした「スイートプールサイド」。2014年に、須賀健太主演で実写映画化されています。また、「絶望」をテーマに「別冊少年マガジン」に2009年10月号~2014年6月号まで連載された「惡の華」は、2013年にテレビアニメとして放映され、コアなファンに熱烈な支持を得ました。
押見修造の青春漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の実写映画化が決定!「絶対に映画館で観る!」とファンが絶賛!
人気漫画家・押見修造の青春漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」が、南沙良&蒔田彩珠のW主演で実写映画化され、2018年7月より順次公開されることが決定しました。この作品は、上手く言葉を話すことができないことにコンプレックスを抱き、周囲に溶け込めない高校生の大島志乃と、音楽が大好きなのに音痴という、同級生の岡崎加代の2人を巡るストーリー。
押見修造お得意の思春期を迎えた少女たちが抱える心の葛藤と苦悩を描いた珠玉の青春作品となっています。ファンの間からは、早くも「この作品は絶対に映画館で観る!」「原作が良すぎて既に泣いてしまいそう!」との声が上がるなど話題沸騰中です。「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の重要なテーマとして、吃音に苦悩する思春期の少女の葛藤があります。実はこれは、作者である押見修造の実体験を元に描かれた作品だそうです。
押見修造も若い時に吃音にかなり苦しんだ時期があったと言い、作中のあまりにもイタ過ぎるシーンの数々は、まさに自分が味わった苦しみそのもの。しかし、押見修造に吃音で悩んだ経験がなかったら、この作品が世に出ることもなかったかも知れません。言葉を上手く発音することができない吃音は、誰にでも起こりうる症状ですが、心ない差別やいじめがあることも事実です。
「軽率な笑い」がどんなに人を苦しめるのか。この映画を通して、人知れず悩んでいる人々の苦しみに対する理解が深まることを願わざるを得ません。混沌とした現代社会において、さまざまなモチーフを通して人の奥深い部分を描き出す押見修造作品は、今後もより多くの人々の心を揺さぶり続けることでしょう。