杉本博司ロスト・ヒューマン展は世界初公開作品も!世界的写真家のプロフィール

杉本博司ロスト・ヒューマン展は世界初公開作品も!プロフィールは?

杉本博司ロスト・ヒューマン展開幕!世界初公開となる作品も登場!

杉本博司は、ニューヨークを拠点に活動する、写真家にして現代美術家です。アートシーンをけん引し、世界中で高い評価を得ている杉本博司が、今年2016年の9月3日から11月13日まで、展覧会を開催しています。それが、「杉本博司ロスト・ヒューマン展」。東京都写真美術館で開催されているこの展覧会には、「人類の文明と終焉」をテーマにした数々の作品が展示されています。

さらに、世界初公開となる作品「廃墟劇場」も登場。この「廃墟劇場」は、アメリカ各地の廃墟となった映画館を撮影したシリーズです。「杉本博司ロスト・ヒューマン展」は、人気の高い杉本博司の作品が、日本で初公開される貴重な機会でもあります。

杉本博司の出発点は鉄道写真!?世界的写真家のプロフィール

杉本博司は、現在は、拠点をニューヨークに据えていますが、出身地は東京の御徒町です。1948年2月23日生まれで68歳となる杉本博司は、立教中学、立教高等学校、立教大学経済学部と進学。写真との出会いは、中学生時代のことでした。鉄道模型に熱中した杉本博司は、鉄道写真をきっかけに写真との関わりを深めていきます。

立教大学卒業後の1970年に渡米すると、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで本格的に写真を学んだ杉本博司。卒業後は、ニューヨークに移り、1975年に、写真家として独立しました。世界的に高く評価されている杉本博司の大判カメラで撮影したコンセプチュアルな作品は、各国で、さまざまな作品賞を受賞しています。

杉本博司「海景」シリーズが大人気!映画「はじまりの記憶 杉本博司」とは?

杉本博司が撮る世界の海!「海景」シリーズが大人気な理由!

杉本博司が一貫して作品にこめているテーマが、「時間」です。杉本博司の作品でも人気の高い作品「海景」シリーズも、「人類が最初に見た風景は海ではなかっただろうか」「古代人の見た風景を現代人が同じように見ることは可能か」という問題意識から、編まれたといいます。

杉本博司は、大判カメラで、水平線が真ん中にくるように、世界各地の海を撮影。船や陸地等もあえて一切映さないこの作品は、見ていると、どこの海なのか、現代なのかも分からなくなる不思議な作品。時間感覚が麻痺するような不思議な引力が人気の秘密かもしれません。

杉本博司の創造の原動力を探る!映画「はじまりの記憶 杉本博司」とは?

杉本博司の作品は、深い哲学的な思索から生まれていますが、そうした作品が評価されるのは、テーマ性だけではありません。杉本博司は、構図や照明、現像といった制作過程の緻密な技術面でも高い評価を得ています。そんな杉本博司のさまざまな作品が、どのように形作られていくのかを追ったドキュメンタリー映画が「はじまりの記憶 杉本博司」です。

もともとはWOWOWのドキュメンタリー番組として制作されたものでしたが、さらに撮影を加え、映画版として2011年に公開されました。その評価は高く、エミー賞アート部門にもノミネートされた映画「はじまりの記憶 杉本博司」。長期にわたり密着取材したこの映画は、杉本博司の素顔とともに、創作の原動力をも浮かびあがらせる作品になっています。

杉本博司は写真家だけでない!舞台、建築も手掛ける才能!

杉本博司は、世界的な人気を誇り、その作品には、オークションで数千万円の値がつくこともある写真家です。深い哲学的な思想に裏打ちされたコンセプチュアルな作品は、これまで多くの文化人を魅了してきました。そんな杉本博司の活動を追ったドキュメンタリー映画「はじまりの記憶 杉本博司」には、建築家の安藤忠雄や、狂言師の野村萬斎、批評家の浅田彰といった一流の文化人が登場します。

それは、杉本博司が、個人で作品を作りあげるだけでなく、現代美術家として、これらの表現者たちと積極的にコラボレーションを行ってきているからです。2016年10月には、杉本博司は、狂言師の野村萬斎を迎え、「ディヴァイン・ダンス 三番叟 ~神秘域~」という舞台で、美術と構成を担当します。

三番叟は、日本古来の伝統芸能。舞台を手掛けるにあたり、杉本博司は、「我が国における神の姿は、古来より気配としてのみ現われる。その気配は、現代社会へと堕した今日の日本にあっても、確実に存在することを、あなたは目の当たりにする」と意気込みあふれるコメントをしています。

長く海外で暮らしている杉本博司が、日本の伝統芸能を演出するというのは、少々意外な気がします。しかし、日本の古美術や日本古来の建築、さらには古典文学への造詣が非常に深い杉本博司。実は、写真家として成功するまでは、古美術商との二足の草鞋を履いていました。日本とアメリカを行き来して古美術を収集して、販売することで生活を支えていたので、その経験から、日本文化への深い造詣を持つにいたったそうです。

このように杉本博司の現代美術家としての活動は多岐にわたり、最近は、設計も手掛けています。杉本博司が設計や空間演出を手掛けるようになったのにも、ある必然がありました。杉本博司は、自身の作品の展示をする際、自ら会場に赴き、ディスプレイを担当します。

重厚なコンセプトに基づき構成された自身の作品群を、鑑賞する人々にどう届けるかを考え、美術館という空間を演出するそうです。そのためには、広い美術館という空間の中を自ら区切り、時には壁を立てたりする必要もあり、その経験が、建築家としての活動に生きているといいます。

すでに建築家としていくつかの作品を発表している杉本博司ですが、その1つとしてあげられるのが、「護王神社」の再建。これは、ベネッセホールディングスと福武財団が主催するアートプロジェクト「ベネッセアートサイト直島」の一環で、杉本博司が設計を担当しました。「ベネッセアートサイト直島」は、瀬戸内海の島々に、さまざまなアート作品を作り、アートを楽しむ場を作るというもので、「護王神社」以外にも、杉本博司の作品も多数展示されています。

写真家という枠を超えて、自由に活動し、70歳を目前にしても、他の才能と堂々渡り合う杉本博司の姿勢には、感服せざるを得ないパワーを感じます。この調子ならば、我々は、杉本博司の新たな挑戦をこれからも次々に目撃できるのではないでしょうか。

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