楳図かずお漫画作品「洗礼」あらすじネタバレ!ラストのオチが気になる!
楳図かずお漫画作品「洗礼」あらすじとネタバレ!美麗な絵で描く女の美への妄執!
楳図かずおといえば、ホラー漫画。「へび少女」などで人気を博し、現代でも、多くのファンが、楳図かずお作品に震えています。1974年から約2年間にわたって「週刊少女コミック」誌上に連載された楳図かずお漫画作品「洗礼」も、大きな反響がありました。目に見える恐怖ではなく、人間の心が生み出す恐怖を描いた「洗礼」。
大女優若草いずみが、老いて美貌が失われていくことを恐れ、女の子を産むところから話が始まります。かわいらしく成長した娘のさくら。母親の不審な動きが気になり、主治医の住む2階の部屋をのぞくと、そこには動物実験の跡が。母が、自分に脳を移植するつもりだと察したさくらは逃げますが捕まり、母の脳を移植されてしまいます。
そうして、さくらとして生まれ変わった大女優若草いずみ。さくらの小学校の教師谷川の愛を得ようと、画策していきますが……。「洗礼」は、小学生の愛らしい容姿と成人女性の美への妄執のギャップが恐怖を誘います。
楳図かずお漫画作品「洗礼」壮絶な女の戦いの果て!気になるラストは?
楳図かずお「洗礼」の見どころは、小学生の身体を得た大女優若草いずみの行動の恐ろしさです。中でも、横恋慕して愛を得ようと画策する谷川の妻、和代に対するいじめが想像を絶しており、恐怖を誘います。たとえば、電話に刃物を仕込む、ガス漏れを起こす、寝込んでしまった和代にゴキブリ入りおかゆを食べさせる等々。
しかし、ついには奪い取ったはずの谷川は、やはり和代を愛しており、こっそりと、いずみを精神科に受診させようとします。そこで、脳移植をした主治医に再び連絡を取ったいずみ。今度は和代に成り代わろうとします。
しかし、なんとそこで、今までの出来事が、すべてさくらの想像であることが発覚するのです。いずみは実は死んでおらず、さくらが母の望みを叶えたいという気持ちと憎しみが相まって、今回の出来事を引き起こしたのでした。世界が狂っていたのか、さくら1人が狂っているのか……谷川の言葉が読者の世界を曖昧にさせ、足元が揺らがせます。
楳図かずおの家の住所は?「まことちゃんハウス」訴訟の一部始終!
楳図かずおの吉祥寺にある超有名な赤白ボーダー「まことちゃんハウス」がすごい!
楳図かずおは、腱鞘炎の悪化などを主な理由に、1995年に発表した「14歳」以後は、休筆しています。代わりに増えたのが、タレント活動。明るくサービス精神にあふれた楳図かずおの姿はお茶の間で人気となり、たびたびテレビに姿を見せています。
そんな楳図かずおのトレードマークは、赤白ボーダーの服。トレードマークと同じ赤白ボーダーに塗られた外観が特徴の、楳図かずおのオフィス兼自宅、通称「まことちゃんハウス」の住所は吉祥寺です。移動はもっぱら徒歩だという楳図かずおは、吉祥寺周辺の公園などを歩いている姿が頻繁に目撃されています。
「まことちゃんハウス」の室内も個性的で、緑色に塗られた玄関ホール、黄色の寝室、赤い屋根裏部屋など、楳図かずお独特の感性が光ります。別荘にも、赤白ボーダーラインが入れられているそうですが、吉祥寺以前に住んでいた高尾の自宅の外壁は真黄色に塗られていたらしく、これもまた相当目立っていた様子です。
楳図かずお「まことちゃんハウス」が景観を損ねる?訴訟の一部始終
楳図かずおの住居兼自宅である「まことちゃんハウス」が改装され、現在のような外観になったのは2007年のことです。特徴的な赤と白のボーダーラインの入った外壁は、周囲の目を引きます。そんな楳図かずおの「まことちゃんハウス」、改装当時は、近隣住民から、「景観が損なわれる」と建設差し止め仮処分を受けていたことがありました。しかし、2007年10月12日、東京地裁は、住民側の請求を却下。
さらに原告側から塗装中止を求める訴えが起こされましたが、建物は、楳図かずおよろしく赤白ボーダーライン姿のまま完成。住民が外壁を撤去させようと損害賠償を請求する訴えを起こしたものの、2009年1月28日に、東京地裁が請求を棄却。「まことちゃんハウス」は、周囲の目を引くけれども、景観の調和を乱すとまでは認められないとしています。実際のところ、「まことちゃんハウス」はシックな佇まいで思った以上には目立たないとの感想もあり、住民の間でも意見が分かれているようです。
楳図かずお名作「わたしは真悟」ミュージカル化決定!展覧会も開催
楳図かずおの作風は幅広く、「まことちゃん」のようなギャグマンガから、知名度を上げるきっかけとなった「へび少女」などの本格ホラー作品、そして「漂流教室」などのSF作品があります。2016年12月にミュージカル化が決定した「わたしは真悟」も、SF作品。恋に落ちた小学生の悟と真鈴。別れ別れになった2人の遊び道具だった産業用ロボットに自我が宿り、2人の子どもとして、真悟が誕生します。
悟の言葉を伝えるために奔走する真悟。最後は衰え、再び産業ロボットになってしまう真悟が、読者の涙を誘う物語です。ミュージカル版「わたしは真悟」では、真鈴役を朝ドラ「とと姉ちゃん」も好調な高畑充希が、悟役を演技派で注目を集める門脇麦が演じることが決定しており、世界的な演出家フィリップ・ドゥクフレが作り出す楳図かずお世界に注目が集まっています。公演に先駆けて、ミュージカル化を記念したイベントも開催。それが、8月27日から9月7日まで、新宿マルイアネックス、丸井吉祥寺店にて行なわれる「わたしは真悟」展です。
美麗な複製扉画や、パネル展示、キャラクターグッズの販売などのほかに、小学館集英社プロダクションより8月24日発売の「楳図かずおの恐怖ぬりえ」の体験コーナーも設置される「わたしは真悟」展。楳図かずおファンにはたまらない、盛りだくさんの内容です。本人の明るい雰囲気からは想像もできないような、人の心に深く突き刺さる漫画を描いてきた楳図かずお。
現在は筆をおいていますが、幾年の時が過ぎても、作品のすばらしさが色褪せることはありません。いつ読んでもどこか新しく、懐かしく、そして恐ろしい楳図かずおの世界に、この夏ぜひ触れてみてください。