中村吉右衛門の歌舞伎家系図!兄・松本幸四郎との確執は根深い!?

2019年5月14日 更新

中村吉右衛門の歌舞伎家系図!兄・松本幸四郎との確執は根深い!?

中村吉衛門は9代目松本幸四郎と実の兄弟!

世に骨肉の争いという言葉があります。およそ伝統や一芸にまつわる地位や権力をめぐっての、親と子、兄弟の争いを意味しますが、日本においては、特に伝統芸能の分野で取り沙汰されることが多いようです。巷間、歌舞伎の九代目松本幸四郎と、二代目中村吉衛門兄弟の確執はよく耳にしますが、さて、その実態はいかなるものでしょうか。

そもそも兄弟の確執のいわれは、2人が誕生する時にまで遡ります。2人の母は、初代中村吉衛門の娘でした。八代目中村幸四郎に嫁ぎますが、もし男の子が2人生まれたら、1人を祖父である中村吉衛門の養子に出すと約束。約束通り男の子が2人生まれたため、弟の中村吉衛門が、初代吉衛門、つまり祖父の養子となりました。

中村吉衛門と松本幸四郎が抱えた歌舞伎界における定め

中村吉右衛門と松本幸四郎は、こうして兄弟でありながら、歌舞伎界における、高麗屋、播磨屋という大名代を、それぞれが背負うことになりました。しかし、養子に出された中村吉衛門は、幼い頃、実の父母と暮らせない悲しみに兄の松本幸四郎を恨んだという話も。

これが、兄弟の確執話の元となっているようです。中村吉衛門は1944年生まれで、すでに72歳。兄である松本幸四郎とは、若い頃から常にライバル関係にありました。歌舞伎以外に、ミュージカルや演劇、テレビで華々しく活躍する兄・松本幸四郎に対して、弟の中村吉衛門は、歌舞伎以外での活動が少なく、その差がまた、兄弟不仲説の理由とされたようです。

しかし、中村吉衛門は後年、テレビ時代劇の「鬼平犯科帳」で、火付盗賊改方長官長谷川平蔵を演じ、一世一代のはまり役となって、広く一般にも知られるようになりました。また歌舞伎役者としても、2011年に人間国宝認定されています。松本幸四郎、中村吉衛門兄弟にとっては、今や、わだかまりなどはないと思われます。

中村吉右衛門の娘の結婚の複雑な事情!出身高校、大学は?

中村吉衛門だけでなく歌舞伎界の御曹司は高学歴?!

中村吉右衛門ら歌舞伎界の御曹司たちは、芸も一流ですが、学業も優秀です。中村吉衛門、松本幸四郎ともに、暁星高校から早稲田大学へと進学しています。彼らが育ったのは昭和の世。高学歴で、歌舞伎界以外にも見聞も広い中村吉右衛門世代の役者たちは、旧態然とした門閥の因習などにもはやこだわっていないとも考えられます。ところが3年前、中村吉右衛門と松本幸四郎兄弟の確執が、まんざら噂でもなかったと思われた1件がありました。

中村吉衛門と尾上菊之助が仕組んだ、まさかの深遠な意趣返しとは

中村吉衛門の播磨屋だけでなく、歌舞伎の世界において、高麗屋の松本幸四郎は、同年代の音羽屋、尾上菊五郎とも長年ライバル関係にありました。2013年、音羽屋の跡取りである尾上菊之助と、中村吉衛門の4女・波野瓔子との結婚は、本来ならばおめでたい話です。

しかし、裏では、歌舞伎界を騒然とさせていました。実は、松本幸四郎の息子である市川染五郎は、長年、尾上菊五郎の娘で女優の寺島しのぶと付き合っていたのですが、彼女との交際中に、資産家令嬢との婚約を突然発表し、尾上菊五郎が激怒。結婚式にも、音羽屋は出席しませんでした。

そうしたことを背景に尾上菊之助と波野瓔子の結婚をみると、歌舞伎界において、これまで高麗屋の後塵を拝してきた、播磨屋と音羽屋が、子供同士の結婚によって、高麗屋を凌ぐ勢力になったとも見えます。そのため、松本幸四郎・市川染五郎親子に対する、中村吉衛門と尾上菊五郎両人が仕掛けた、深遠な意趣返しであったという噂が、まことしやかに囁かれているのです。

いずれにせよ、歌舞伎界は、門閥同士で複雑な姻戚関係を持っており、何か事が起れば、巡り巡っての因縁話となってしまうことは致し方ありません。しかし、それがまた、華麗で謎めいた梨園の世界を形作っているともいえます。

中村吉衛門が父松本白鸚を超えた一世一代のはまり役「鬼平犯科帳」長谷川平蔵

中村吉衛門のフジテレビ「鬼平犯科帳」が、2016年冬のシリーズで、いよいよ最後を迎えることになりました。1989年から放映を開始した「鬼平犯科帳」シリーズは、良質な時代劇を再び、というコンセプトから生まれた時代劇です。一世一代のはまり役となった、中村吉衛門の長谷川平蔵を始めとして、当代の名優たちが脇を固め、池波正太郎が描く世界を見事に再現しました。

平蔵の妻・久栄には、多岐川裕美。密偵の束ね役、大滝の五郎蔵には綿引勝彦、密偵小房の粂八に蟹江敬三、伊三次に三浦浩一。そして、女密偵おまさは、梶芽衣子が演じています。初期の与力頭佐嶋は高橋悦史、与力木村忠吾は、尾美としのりが軽妙に演じました。そして忘れてならないのが老密偵、相模の彦十を演じた初代の江戸屋猫八。中村吉衛門の平蔵と、江戸家猫八の彦十のさりげない会話は、江戸情緒にあふれ、番組の魅力となっていました。

しかし、こうして列記しても分かる通り、主要な脇役の多くが亡くなった今、代役も見当たりません。中村吉衛門自身も、70歳を越えた今、鬼と呼ばれた平蔵として、体が動くぎりぎりのところで引退を決めたことから、シリーズの終了が決まったようです。

実は、この「鬼平犯科帳」テレビシリーズは、中村吉衛門の実の父である松本白鸚が初めて演じ、2人目は丹波哲郎、3人目は中村錦之介が演じています。しかし、丹波哲朗では江戸情緒に乏しく、かといって萬屋錦之介では暑苦しい。やはり松本白鸚か、中村吉衛門かということになりますが、松本白鸚の平蔵は、明朗で大らかすぎました。平蔵が持つ江戸の粋や洒落っ気、かつ、ぞっとするような凄みを演じ切ったのは、中村吉衛門の長谷川平蔵であったと、多くの鬼平犯科帳ファンが認めています。

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