小西明日翔の漫画「春の呪い」あらすじネタバレ!死んだ妹の恋人と交際する姉の心理描写が凄まじい

小西明日翔の漫画「春の呪い」あらすじネタバレ!死んだ妹の恋人と交際する姉の心理描写が凄まじい!

小西明日翔の漫画「春の呪い」仄暗い世界に引き込まれる!あらすじとネタバレ

小西明日翔の漫画「春の呪い」は、2015年11月28日より、「月刊コミックZERO-SUM」にて連載が開始されました。主人公は、溺愛していた妹の春を癌で亡くした立花夏美。妹の婚約者だった柊冬吾と、「妹と2人で行った場所を巡る」ことを条件に、交際をはじめます。

そもそも、お互いに対する想いがあったわけではなかった2人。しかし、思い出の地を巡るごとに相手の印象が変化していき、特別な感情を抱くようになります。「春の呪い」は、「妹の恋人と交際する」という設定が中核をなす物語です。しかし、姉妹の両親や、立花姉妹の持つ旧家の血筋を欲しがる冬吾の家族の存在、SNSに本音を書き残していた春の思惑など、さまざまな要素が、夏美と冬吾の関係に影響を与えます。

それぞれの仄暗い心理が重苦しく複雑に絡まる中で、夏美と冬吾は、静かに恋心を育んでいくのです。

小西明日翔の漫画「春の呪い」死んだ妹の恋人と交際する姉の心理とは?描写が凄まじい

小西明日翔の漫画「春の呪い」は、「死んだ妹の恋人と交際する」という、重い設定をもつ作品です。特徴的なシャープな絵は、登場人物の心理を雄弁に語りますが、それ以上にキャラクターの心理を読者に伝えるのがモノローグ。読者には、「小説のように濃密」と評されました。

物語開始当初、夏美の中にあるのは、深い喪失感と、妹に対する愛情です。折り合いの良くない父と義母、義弟との暮らしの中、実の妹の存在に救われていた夏美にとって、妹の春が世界の全てでした。そこに、春が心から愛した冬吾という存在が入り込むことにより、世界は、ごくゆっくりと、しかし確実に変化していきます。

変化に伴う夏美の心理状況や葛藤は、モノローグで丁寧に追うことができますが、物語のキーとなる春の本音が綴られたSNSが登場し、描写はより濃密に。冬吾と夏美の関係性を疑う春に対し、罪悪感に苛まれる夏美の心理描写には胸が痛くなります。

小西明日翔はpixiv出身!「来世は他人がいい」「二人は底辺」あらすじネタバレ

小西明日翔はpixiv出身!伝説的作品「来世は他人がいい」あらすじネタバレ

小西明日翔は、自身のサイトや、Twitter、pixivなどに、鉄男名義で作品を公開してきました。「来世は他人がいい」は、Twitterで公開後、pixivに掲載され、大きな反響を呼んだ作品です。話数は少ないですが、続編を含め、書籍化が期待されています。「来世は他人がいい」は、極道あるある風のネタを挟みつつ、くすりと笑えるコミカルな作品です。

関西最大の指定暴力団染井組の組長・染井蓮司の孫娘である染井吉野は18歳。美人すぎて、恋人がいたたことはありません。そのため、蓮司は、花の盛りに恋人がいない孫娘を心配し、友人である関東最大の暴力団深山一家の総長・深山萼の縁戚である深山霧島を婚約者として決めてしまいます。

婚約者となった吉野と霧島ですが、デートはするものの、恋人らしい雰囲気はゼロ。美人で常識人な吉野と、人当たりは良さそうに見えて女性関係にルーズ、ドMで歪んだ性格の霧島の対比が見事で、物語を盛り上げます。

小西明日翔の漫画「二人は底辺」あらすじネタバレ!吉野と翔真の出会いが明らかに

小西明日翔の漫画「二人は底辺」は、「来世は他人がいい」の番外編です。本編はpixivで読むことができますが、「二人は底辺」は、小西明日翔名義で、「月刊コミックZERO-SUM」2015年9月号に、43ページの読み切り作品として掲載されました。

関西の暴力団染井組の組長の孫娘である吉野と、関東の暴力団深山一家の縁戚の霧島との、極道一家らしい、ちょっと狂気な一面も見えるラブコメ風な本編とは打って変わって、シリアスな雰囲気漂う「二人は底辺」。中学生の吉野と、お世話役の1人である2歳年上の鳥葦翔真が、いかにして出会い、染井組と関わるようになったかが語られます。

本編では吉野に対する親愛の情と尊敬をのぞかせる翔真が、なぜ染井組に関わるようになったのか?「二人は底辺」では、本編でさらっと触れられるだけだった翔真のプロフィールとともに、極道の孫娘という立場と人間関係に悩む中学生の吉野が描かれています。

小西明日翔の漫画「春の呪い」の制作秘話!もともとは小説作品だった?!

小西明日翔は、漫画家になるつもりはなかった、という一風変わった漫画家です。絵の教室に通っていたため絵は描けたものの、実際に作品として描いていたのは小説でした。「春の呪い」も、最初は、小説として、自身のサイトに公開していたものです。二次創作をきっかけにイラストを描き始め、そこから自然と漫画を描くようになりましたが、出版社からのスカウトにも、「無理です」と首を縦には振らなかったといいます。

その心境に変化があったのは、2014年のこと。ある日ふと「描けるかも」と思い、作品を発表することを決めた小西明日翔は、完結させていなかった作品の中から、「春の呪い」を選び、漫画として描き始めました。最初の段階では、春に対する夏美の感情が家族愛を超えたものであったり、夏美と冬吾の関係性も少々違ったものだったりした様子。

夏美と春、冬吾の3人だけが登場する物語として書かれたものの中に、家族が登場したのも、漫画ならではの展開でした。しかし、外部要素が加わることにより、それぞれのキャラクターと物語に深みが増す結果に。「春の呪い」は、文字通り、随所に「呪い」が登場します。

それは、人の心から生み出されたものです。言葉や行動で人をがんじがらめにし、その場から動けなくさせてしまいます。両親に恵まれず、孤独の中で、唯一の心のよりどころを失う夏美、一族の中でしか生きていけない冬吾、SNSでは「アキ(秋)」と名乗り、若くして死ななければならない自身の不幸や不満をぶつけるしかなかった春。「春の呪い」を読み始めた当初は、死んだ妹の婚約者と付き合うという、夏美の狂気が前面に押し出されているように感じます。

しかしその実、「呪い」となる言葉と感情に囚われた人々の葛藤と成長の物語であることに気づかされるのです。宝島社「このマンガがすごい!2017」オンナ編では2位を獲得した「春の呪い」は、誰もが夏美と冬吾の幸せを願い、完結を迎えました。表紙を見ると、1巻では背中合わせだった夏美と冬吾が、2巻では顔を見合わせています。「呪い」の果てにある2人の恋の行く先をしかと見届けてください。

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