2022年7月6日 更新
尾上右近は”江戸浄瑠璃清元節家”出身の歌舞伎役者!浄瑠璃の清元栄寿太夫も襲名!
尾上右近は”江戸浄瑠璃清元節家”出身の歌舞伎役者!祖父は映画俳優・鶴田浩二
尾上右近は、近年頭角を現している若手歌舞伎俳優。たおやかな踊りが美しく、女形を務めることが多いイケメンです。しかし実は、歌舞伎の家の生まれではないという尾上右近。江戸浄瑠璃の清元節家元である七代目清元延寿太夫の次男にあたります。
とはいえ、家系図を紐解けば、尾上という苗字を名乗っていることからも分かるように、曽祖父は名優と名高い六代目尾上菊五郎。父の従兄には十八代目中村勘三郎、母方の祖父には昭和を代表する映画俳優・鶴田浩二がいるなど、俳優としての血も色濃く受け継いでいます。
尾上右近は浄瑠璃の清元栄寿太夫も襲名!
清元節宗家に生まれながら、歌舞伎俳優の道を歩んでいる尾上右近。しかし、江戸浄瑠璃の道を捨てたわけではありません。なんと、2018年には、清元栄寿の名を襲名することが決まっています。清元栄寿の名は、清元節家元・清元延寿太夫を継ぐ者のみが名乗れる前名です。
そのため、2018年の襲名は、将来的には、歌舞伎俳優でありながら、浄瑠璃の家元を兼ねる意志があるという決意表明に他なりません。清元節は歌舞伎の伴奏音楽として発達したものとはいえ、清元節の大名籍を継ぎながら二足の草鞋を履くということは、前代未聞の挑戦となるでしょう。
尾上右近が出演するスーパー歌舞伎「ワンピース」がスゴイ!本名や屋号は?
尾上右近が出演するスーパー歌舞伎「ワンピース」がスゴイ!サディちゃん、マルコ、ルフィ、ハンコックと4役に挑戦
江戸浄瑠璃と歌舞伎俳優という二足の草鞋を履く尾上右近の活躍領域は幅広く、四代目市川猿之助が手掛けるスーパー歌舞伎にも出演しています。スーパー歌舞伎は、歌舞伎に馴染みのない観客も、現代風の演出で分かりやすく楽しめると評判の舞台です。
尾上右近が出演したのは、尾田栄一郎の大人気コミック「ワンピース」をスーパー歌舞伎にした演目でした。宙乗りや、舞台上で大量の水を使うといったド派手な演出で観客の度肝を抜き、2015年の初演では、10万席以上のチケットが完売したというスゴイ人気ぶりです。2017年10月にもスーパー歌舞伎「ワンピース」で、通常公演ではサディちゃん/マルコ役、特別マチネ【麦わらの挑戦】ではルフィ/ハンコック役で再び出演することが決まっています。
尾上右近の本名は?屋号は音羽屋!
尾上右近は、1992年5月28日に、清元宗家七代目 清元延寿太夫の次男として生まれました。本名は、岡村研佑。幼少期は子役として活躍し、10代からは歌舞伎俳優として本格始動し、歌舞伎俳優としての屋号は、尾上菊五郎家の音羽屋となります。身長170cmで体重63㎏と標準的なスタイルで、踊りよし、姿よしと将来を嘱望される存在です。趣味で日本画を描いていますが、かなりの腕前で、自ら歌舞伎イベントのポスターを手掛けたこともあります。
尾上右近が歌舞伎俳優、江戸浄瑠璃宗家と二足の草鞋にチャレンジする理由とは
2018年2月に、七代目として清元栄寿の襲名が迫っている尾上右近。注目度が高まる中、その精力的な活躍ぶりは目を見張るものがあります。
2017年8月27日と28日には、国立劇場小劇場で、今回で3回目を迎える自主公演「研の會」を開催。演目の第一部は「神霊矢 渡」、第二部は舞踊で「羽根の禿」と「供奴」です。「神霊矢 渡」では、父の敵である義峯に一目惚れする若い娘・お舟を演じました。実は尾上右近は、「年齢より老けて見られることが多く、自分でも若い役に苦手意識があります」と語っており、自分の主催する会だからこそ、あえて苦手な若い娘役にチャレンジしました。
第二部の舞踊でも、タイプの異なる2つの舞踊を続けて舞うという大きなチャレンジを自らに課します。「羽根の禿」は、羽根つきをする無邪気な廓の娘の様を表した舞踊で可愛らしく可憐なもの、「供奴」は、主人の供をして廓へ来た奴に扮してリズミカルに、時にはコミカルに舞うもの。どちらの演目も、技術的にはもちろん、踊りきるには体力的にも相当ハードで、舞踊に定評のある尾上右近でなければ、なかなか難しいでしょう。
自ら大きなプレッシャーを与えてまで、歌舞伎俳優として向上しようとするこの姿勢は、尾上右近がそれだけ歌舞伎に情熱を傾けているからに違いありません。尾上右近が、清元節宗家に生まれながら、歌舞伎俳優を目指したのは、曽祖父の六代目尾上菊五郎の存在が大きかったそうです。
幼少の頃、六代目尾上菊五郎の春興鏡獅子の映像を目にした尾上右近は、すっかり魅せられて歌舞伎の道に入ることを決意。七代目尾上菊五郎の元で修行に入りました。研鑽を重ね、2005年には二代目尾上右近を襲名。そして、「襲名が困難な道であることは分かっているが、俳優としての覚悟ができた今だからこそ、清元の家に生まれた責任も果たせるかもしれないと考えました」とその心の内を語りました。その上で、「歌舞伎の中の清元ですから、僕ならではの活動も徐々にやっていきたい」と意欲的な面ものぞかせています。
これだけのバイタリティがあれば、尾上右近は、無理と思えるような挑戦もやってのけるかもしれません。歌舞伎界を盛り上げるさらに大きな存在となりうるかは、今後の頑張りにかかっています。