白石和彌監督を一躍有名にした映画「凶悪」!撮影現場は常に過酷?!

白石和彌監督を一躍有名にした映画「凶悪」!若松孝二監督に師事して学んだ!

白石和彌監督を一躍有名にした映画「凶悪」!ノンフィクションベストセラー小説が原作だった

白石和彌(しらいしかずや)は、今、コアな映画ファンから最も熱い視線と期待を集めている注目の映画監督です。作品本数はさほど多くありませんが、コンプライアンスが厳しい昨今、地上波で放送することが不可能な限界ギリギリの世界を手がけています。白石和彌監督のその手腕は、高く評価を受けています。

白石和彌監督を世に知らしめた作品は、2013年公開の映画「凶悪」でしょう。原作は、10万部を超える人気となったノンフィクション小説「凶悪-ある死刑囚の告発」。元暴力団員の死刑囚が、自分が関与した事件に関して告発をすることで、驚くべき真相が明らかになっていく……という衝撃的な内容となっています。

あまりの凶悪さに震えがくる映画「凶悪」のキャストは、告発文を受けた記者が山田孝之、死刑囚がピエール瀧、「先生」と呼ばれている黒幕の不動産ブローカーがリリー・フランキー。各映画賞を総ナメにするなど大きな話題となりました。

白石和彌監督は若松孝二監督に師事して学んだ!

白石和彌監督は、監督というよりスタッフになろうと思い、映画の世界に飛び込こんだそうです。旭川西高等学校を卒業した1995年に、ピンク映画やテレビドラマ、Vシネマで有名な中村幻児監督主催の映像塾に参加するなどして経験を積みました。その後も、「ピンク映画の黒澤明」と称される若松孝二監督に師事し、助監督として純粋に映画作りを楽しんでいました。しかし、20代後半に「いつまでも学祭気分で楽しんでばかりもいられない」と思い始めたそうです。

「失敗して転職したとしても、一度くらいは監督として撮ってみよう」と思い準備を始めましたが、短編やスピンオフなどの小さなチャンスは巡ってきても、大きな企画は折悪く、流れていました。そのため、「潮時だな、辞めよう」と引退を考えたこともあったと言います。

しかし、映画「ロストパラダイス・イン・トーキョー」で晴れて監督デビューしてからは、色々な縁もあって今日まで繋がってきたと言う白石和哉監督。一時は引退も考えたという不遇の時代もあったからこそ、今の活躍があるのかも知れません。

白石和彌監督と蒼井優が映画「彼女がその名を知らない鳥たち」で最強タッグ!撮影現場は常に過酷?!

白石和彌監督と蒼井優が映画「彼女がその名を知らない鳥たち」で最強タッグ!

白石和彌監督は、2016年に公開された綾野剛主演の映画「日本で一番悪い奴ら」も高く評価され、若手有望監督としての地位を確固たるものにしていきます。さらに、2017年の映画「彼女が知らない鳥たち」では、今までの作品とはまた違った新境地を開拓したと絶賛され、初タッグとなった主演の蒼井優も、第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝きました。

白石和彌監督は、「(蒼井優は)びっくりするぐらい手が掛からない女優さんで、竹を割ったような性格の方でした」と当初の印象を語っています。白石和彌監督曰く、蒼井優は憑依型の女優。今までの経験を活かし、演技の振り幅をコントロールする術を身に付けたのではないか、とのことです。

それでも時折、コントロールを超えた演技を見せ、まるでエンタテインメントのようで楽しかったと大絶賛しています。映画「彼女が知らない鳥たち」に続く、白石和彌監督と蒼井優による最強タッグ作品の誕生が待ち望まれます。

白石和彌監督の撮影は苛酷過ぎ!?映画「サニー/32」で北原里英もトラウマ級の経験!

白石和彌監督は、2018年2月に劇場公開された映画「サニー/32」も大きな話題を呼びました。主演に元NGT48の北原里英を迎え、ピエール瀧やリリー・フランキー、門脇麦など、演技派がキャスティングされたR15指定作品です。

映画「サニー/32」は、2004年6月1日に長崎県佐世保市の小学校で起きた、通称「ネバダ事件」に着想を得て作られたオリジナル作品。新潟県で行われたという撮影は、撮影期間15日間という強行スケジュールの上、寒さとの戦いという苛酷過ぎるロケでした。

主演の北原里英は、極寒の雪の中をドレスとストッキングで疾走するシーンもあり、トラウマ級の寒さを体験。撮影前に、白石和彌監督から「色々大変だと思いますが、大丈夫ですか?」と言われ、「大丈夫です!何でもやります!」と言ったところ、本当にとんでもなく過激な展開となったそうです。

ピエール瀧も海風にさらされ、あまりの寒さに低血糖となり、「ブドウ糖を溶かしたお湯」をリクエストしたほど苛酷な撮影だったと、やや恨み節。そんな苛酷な撮影でも、「監督だったら全てスゴいことにしてくれる」と俳優陣が全幅の信頼を寄せる白石和彌監督。キャストやスタッフが「ついてきたい」、と思う求心力や魅力を持っているということでしょう。

白石和彌監督映画「孤狼の血」はファン待望のアウトローな男の映画!

映画「孤狼の血」も大注目作品です。本作は、「警察小説×『仁義なき戦い』」と表される柚月裕子の小説「孤狼の血」が原作で、アウトローな男たちの映画となっています。東映の映画プロデューサーから「R15にしてください」「中途半端なものは求めてない」と後押しされ、「自分で良いのか?」とプレッシャーを感じつつも、オファーを受けたという白石和彌監督。

映画の原点に立ち返った力作です。主演の役所広司をはじめ、松坂桃李、真木よう子、中村獅童、竹野内豊、ピエール瀧、江口洋介と豪華キャストが目白押しです。特に印象に残ったシーンを聞かれた役所広司は「痰を吐く」シーンを挙げましたが、これには白石和彌監督の強いこだわりがありました。

「痰を吐く」シーンにこだわるようになったきっかけは、映画「凶悪」の老人の遺体を風呂場で氷詰めにするシーン中に、ピエール瀧がアドリブで痰を吐いたのを見て「かっこいい!」と魅了されたこととか。それ以来、「僕にとってのヒーロー、ヒロインには痰を吐かせよう」と決めたそうです。

「ヤクザの世界」や「仁義なき戦い」は、今や映画の世界だけで堪能できる「男のロマン」というところでしょうか。白石和彌監督には、映画の多様性を保つという意味でもますます活躍が期待されます。

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