市川崑が大女優・有馬稲子と不倫、中絶を暴露されたワケ
市川崑も体験した、監督と大女優の泥沼愛憎劇
市川崑は著名な映画監督ですが、ある大女優から、過去の不倫関係と中絶を暴露されたことでも、その名を知られています。映画監督と女優という関係は、今も昔も変わらないようです。夫唱婦随のカップルもいれば、泥沼の不倫関係に陥るカップルもいます。
前者には、大島渚と小山明子や篠山正浩と岩下志麻、最近では石井裕也と満島ひかり夫妻などがいますし、後者では、仁義なき戦いで有名な深作欣二が晩年、魔性の女、荻野目慶子にのめり込み、妻の中原早苗と泥沼の愛憎劇を演じています。深作欣二は、松坂慶子とも関係があり、映画作り同様、泥沼の私生活でした。
また、戦後の大女優有馬稲子が、自らの半生記で、有名監督との不倫を赤裸に語ったことが大きな話題を呼びました。その有名監督が、「東京オリンピック」や「犬神家の一族」で有名な市川崑だったのです。
市川崑の有馬稲子との知られざる不倫と中絶が明るみに
大女優有馬稲子と市川崑監督との不倫、そして中絶は、50年以上の話とはいえ、往年の映画ファンにとって衝撃の告白でした。また市川崑監督を語る上でも、長年隠されてきた新事実として注目されました。市川崑には、1948年に結婚した妻の脚本家、故和田夏十がいます。
しかし、市川崑は、結婚後まもなく、有馬稲子とただならぬ関係になっており、市川崑は、ずるずると関係を引っ張っていたようです。有馬稲子が不倫の精算を決意し、故萬屋錦之介との結婚を決めると、逆に市川崑は、別れたくないと懇願し、二人の関係を公にすると脅したりしたそうです。
この暴露話からは、市川崑監督のスマートなイメージからはほど遠い狼狽ぶりがうかがえます。監督と大優という関係は、お互いが尊敬し合ってこそ初めて成り立つ、と言うことなのでしょう。それは、一般の夫婦にとっても当たり前のことですが。
市川崑の名作「東京オリンピック」「金田一耕助シリーズ」あらすじ感想ネタバレ!
市川崑の「東京オリンピック」は、記録映画か芸術作品か論争
市川崑を一躍有名にしたのは、映画「東京オリンピック」です。本来は、東京オリンピックの記録映画として制作された作品ですが、この映画が上映されたとき、オリンピック担当大臣が「訳がわからん、作り直せ」と発言。新たに公式記録映画が作り直されたと言ういわく付きの作品でした。
市川崑は、オリンピックの記録ではなく、選手だけでもなく、報道陣やスタッフ、そして観客に至る、オリンピックに関わる全ての人々の人間賛歌として、この作品を作り上げたようです。これが「東京オリンピック」の、「記録映画か芸術作品か論争」の争点となりました。
市川崑は、「金田一耕助シリーズ」で再脚光
市川崑は、1915年生まれで、2008年92歳で亡くなっています。昭和30年代の映画黄金時代に精力的に活動し、「ビルマの竪琴」、「鍵」、「野火」、「炎上」「破戒」、「黒い十人の女」など数々の名作で知られています。市川崑が今でも著名でありつづける存在なのは、1970代後半、角川映画一連の「金田一耕介」シリーズのヒットで、監督として再脚光を浴び、その後も精力的に作品を撮りつづけたからでしょう。
言わずと知れた横溝正史が生み出した、私立探偵の金田一耕助。金田一耕助第一作「犬神家の一族」は、角川書店のメディアミックスが功を奏しただけでなく、市川崑の、ダイナミックで重厚な映像が、「日本映画史上最高のミステリー」と賞賛されています。
市川崑は、今年で生誕100周年
市川崑は、正統な文芸路線だけではなく、若い頃は、さまざまな実験的映画にも取り組んでいました。11月14日から始まった、WOWOWオリジナルドキュメンタリーの第1回として放送された、「ノンフィクションW市川崑アニメからの出発~幻のフィルム、巨匠の原点~」では、2014年にアメリカで発見された、市川崑が作画担当の一人として参加していた1935年作品のアニメ「弱虫珍選組」という作品が紹介されています。
これは、市川崑が、アニメーターとして、映画製作の道に入ったという事実を裏付ける資料としても重要な作品です。偶然にも2015年は、市川崑監督の生誕100年。戦後から昭和30年代の映画黄金期、数多くの映画監督が輩出しました。しかし、文芸作品から娯楽映画を晩年までコンスタントに撮りつづけることができた監督は、市川崑以外にあまりいないのではないでしょうか。
また市川崑は、1970年代から1980年代にかけて、6本の東宝映画をプロデューサー兼任で監督しています。日本映画史上、自ら出資することなく、大手の映画に兼任プロデューサーで迎えられ続けた例は他にありません。実は若い世代も、市川崑のアニメーターとしての映像手法をすでに見ています。
市川崑は、キャスト・スタッフのクレジットで、「画面に沿って直角に曲げて表記する」という独特の表記法が有名ですが、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では、市川崑へのオマージュとして、この表記法が使われています。そういえば、確かに。