映画「女は二度決断する」は実話から着想を得ていた?
「女は二度決断する」は孤独の身となった女性が正義を貫くドイツ映画
映画「女は二度決断する」は、2017年に話題となったドイツ映画です。トルコ移民のヌーリとカティヤ夫妻は、5歳になる息子ロッコに恵まれて、穏やかで幸せな生活を送っていました。しかし、白昼の爆発事故によって、夫と息子を失います。孤独の身となって一度は絶望したカティヤ。
しかし、事故の原因が人種差別主義者のドイツ人によるテロであることを知ると、真実を明らかにして欲しいと警察に訴えます。当初は麻薬取引を巡るトルコ人同士の抗争という見方をしていた警察もようやく容疑者を逮捕しますが、最終的には無罪に。そこでカティヤは、夫と息子を奪ったのと同じ手製爆弾を手にし、正義と復讐を果たさんと大きな決断を下します。
映画「女は二度決断する」はフィクションだけど実話から着想を得ていた?
映画「女は二度決断する」はフィクション映画ですが、ディティールには実話を基にしている部分も多くあります。たとえば、夫と息子を失うことになるテロの描写は、ノルウェーの連続テロ事件など、実際に起こったテロに着想を得たそうです。捜査に当たった警察に向けられた批判的な意見などからも映画のヒントを得ていると言います。
本作を見て、ドイツで起こったネオナチによる連続テロ事件を想起する方もいることでしょう。このように、フィクションではあるものの、まるで実話を見ているかのような感覚にもなる映画「女は二度決断する」。テロを扱っていると言ってもアクション映画ではなく、被害者家族に焦点を当てた深い人間ドラマです。
映画「女は二度決断する」監督はファティ・アキン!主演のダイアン・クルーガー他キャストは?
映画「女は二度決断する」監督は若くして賞レースを制したファティ・アキン!
映画「女は二度決断する」で監督を務めるのは、1973年生まれのトルコ系ドイツ人ファティ・アキンです。1993年に、脚本家かつ俳優、監督として映画人としてのキャリアをスタートさせると、2004年の映画「愛より強く」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したことで話題に。
映画「そして、私たちは愛に帰る」ではカンヌ国際映画祭で脚本賞と観客賞を受賞し、映画「ソウル・キッチン」ではヴェネツィア国際映画祭の審査員特別賞を受賞。若干34歳にして、世界3大映画祭すべてのおける受賞経験を持つという快挙を達成しました。創作意欲が旺盛なファティ・アキンは、話題をさらった「愛より強く」などのシリアスな作品から、「ソウル・キッチン」のようなユーモラスな作品まで、作風が幅広い点も魅力と言えるでしょう。
映画「女は二度決断する」の主演はダイアン・クルーガー!その他のメインキャストは?
映画「女は二度決断する」で主人公のカティヤを演じるのは、ドイツ出身の女優ダイアン・クルーガー。2004年の歴史大作アクション映画「トロイ」でハリウッドデビューを飾ると、「ナショナル・トレジャー」や「イングロリアス・バスターズ」などのアメリカ作品に多く出演するようになりました。
ドラマ「ザ・ブリッジ~国境に潜む闇」では、性格に難のある過去にトラウマを持つ難しい役を見事に演じた実力派。母国語であるドイツ語での演技に初めて挑んだ本作で、カンヌ国際映画祭の女優賞を獲得しました。そのほか、ダニーロ役で映画「暗い日曜日」のデニス・モシットーが、ユルゲン役で映画「善き人のためのソナタ」のウルリッヒ・トゥクルが出演しています。
映画「女は二度決断する」ファティ・アキン監督の来日が決定!日本の映画ファンの間で早くも話題に
2018年4月から公開されるのに先立ち、3月下旬に、映画「女は二度決断する」のファティ・アキン監督とダニーロ役のデニス・モシットーが来日することが予定されています。ファティ・アキン監督の来日は、映画「ソウル・キッチン」以来、実に11年ぶり。
久しぶりのドイツの名匠の来日は、映画ファンの間で早くも大きな話題になっています。映画「女は二度決断する」の主人公カティヤは、夫ヌーリと息子ロッコを失ってしまいますが、ヌーリはトルコ系クルド人で、爆発テロが起こるのは移民街です。捜査に着手した警察が、当初はテロではなくトルコ人同士のいざこざが原因だと決めつけるなど、作中ではドイツの移民問題も取り扱われています。当然、トルコ系のファティ・アキンにとっても、思い入れの深い作品になっているそうです。
映画「女は二度決断する」は、ゴールデングローブ賞で外国語映画賞を受賞した話題作でもあります。さらに主演のダイアン・クルーガーは、第70回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しました。第90回アカデミー賞でも、ドイツ代表作品として外国語映画賞にノミネートされて、最終選考まで残った映画「女は二度決断する」。
残念ながら、チリ代表の「ナチュラルウーマン」に受賞は譲ったものの、日本の映画ファンの間でも早くから話題になっていました。移民問題やテロ事件など、日本ではイメージすることすら難しい世界の現実を取り上げた本作で、絶望に見舞われた「女」が何を「二度決断する」のかは、映画館で確かめてみてください。