金森穣のプロフィール!日本が誇るダンスカンパニーNoismの実力
金森穣のプロフィール!ダンスと共に生きてきた芸術監督
金森穣(かなもりじょう)は、横浜出身の舞踏家であり、演出・振付家。2004年からは、新潟市市民芸術文化会館で舞踏部門芸術監督も務めています。新潟市市民芸術文化会館は、日本で唯一の専属舞踏団Noism(のいずむ)を有する劇場です。彼らは、国内だけでなく、海外の公演でも高い評価を受けています。
Noismの責任者でもある金森穣は、1974年1月22日に横浜で生まれました。父親は、ダンサーの金森勢です。幼少の頃からダンスを学んだ金森穣は、1992年にヨーロッパへ渡りました。ルードラ・ベジャール・ローザンヌというバレエ学校に第1期生として入学し、ベジャールに師事した後、1994年には、世界的に人気の高いネザーランドでダンサーとして活動。1997年には、フランス国立リヨン・オペラ座バレエ団、1999年にはスウェーデン・ヨーホデリ・バレエ団で活躍しました。
帰国後は、フリーランスのダンサーとして活動していた金森穣ですが、2004年に新潟市市民芸術文化会館の舞踏部門芸術監督に就任すると、日本初の劇場所属プロダンスカンパニー「Noism」を発足。2008年には、金森穣が芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。
金森穣が主宰する日本が誇るダンスカンパニーNoismの実力!海外でも積極的に公演
金森穣が芸術監督を務めるNoismは、日本で初めて、そして日本で唯一の公共劇場専属の舞踏団として活動しています。日本の一都市が運営する劇場専属舞踏団ですが、目指すのは世界レベル。正式メンバーによるNoism1と、研修生によるNoism2で構成されています。
Nosimは、新潟市市民芸術会館を拠点としながら、新潟市以外での公演にも積極的です。2011年には、サイトウ・キネン・フェスティバル松本制作のオペラ&バレエに出演し、海外でも、2009年のモスクワなど、8カ国11都市で公演してきました。2008年の舞台「Nameless Hands ~人形の家」では、第8回朝日舞台芸術賞舞踏賞も受賞しています。
金森穣が結婚した妻・井関佐和子とは?NHK「トップランナー」出演回が話題に!
金森穣が結婚した妻・井関佐和子とは?金森穣に対する第一印象は「怖っ!」
金森穣が2007年に結婚したのは、同じNoism1に所属するダンサーの井関佐和子です。Noismの創設メンバーでもあり、副芸術監督も務めています。井関佐和子もまた、幼少からダンスを学んできました。知り合いが発表会で着ていたチュチュに憧れて、バレエ漬けの日々を送り、中学生になると、放課後から夜12時まで連日稽古をしていたとのこと。「家族より、バレエの先生と過ごす時間のほうが長かった」そうです。
井関佐和子が金森穣の名前を初めて聞いたのは、6期生として入学したバレエスクールのルードラ・ベジャール・ローザンヌでした。金森穣は真面目な生徒、井関佐和子は一部のレッスンをさぼるちょっとした問題児として比較され、叱責される時には、「穣のようにちゃんとやれ!」と言われたそうです。
井関佐和子が実際に金森穣と話したのは、ベジャールの学校を辞め、ネザーランド・ダンス・シアターのオーディションを受けるかどうかという時でした。このとき井関佐和子が抱いた金森穣の第一印象は「怖っ!」だったといいますから、2人が交際を始めるには、数年の時が必要だったのでしょう。
井関佐和子は、スイス留学時代以降も高く評価され続けてきました。ベジャールの学校でベジャールの作品を踊るときはセンターを務めていたといいますし、ネザーランド・ダンス・シアターのオーディションでも合格率1%の難関を突破。憧れのマッツ・エックがいるスウェーデンのクルベルク・バレエで活動した後、2003年に、金森穣作品「no・mad・ic project」に出演し、2004年からNoismで活動を続けています。
金森穣のNHK「トップランナー」出演回が話題に!「伝説の番組」として再放送リクエスト続々
金森穣が出演したNHK「トップランナー」は、2003年、Noism発足前に放送されました。この番組をきっかけに金森穣の存在を知った人も多く、その後、視聴者から多数のリクエストを受けて、2015年には再放送が実現しています。
NHK「トップランナー」へ出演したのは、金森穣、そしてNoism創立メンバーの井関佐和子と島地保武。映し出されたのは、金森穣のエネルギッシュな活動ぶりや、クリティカルで建設的な考え方とともに、Noism創立メンバーたちがどのように舞台をつくっているのかでした。
金森穣の振付の仕方や、井関佐和子や島地保武がモチーフを与えられて動く姿などが、視聴者に少なからぬ衝撃を与えたこの貴重な映像は、今や「伝説の番組」といわれるほど絶賛されています。
金森穣率いるNoism1公演「マッチ売りの話」「passacaglia」!現代の私たちにとって「信仰」とは何か?
金森穣が率いるNoism1の「マッチ売りの話」と「passacaglia」の公演が、2017年1~2月に予定されています。2つのステージが一晩に行われるというこの公演。Noism1の「マッチ売りの話」は、アンデルセンの「マッチ売りの少女」と、別役実による不条理劇「マッチ売りの少女」を土台としている童話劇です。
それに対して「passacaglia」は、ハインリヒ・ビーバーの宗教音楽「パッサカリア」の旋律をモチーフとした、現代音楽家の福島諭のオリジナル曲を伴う抽象舞踏。両者は一見無関係に見えます。しかし、この2作品を一度に見ることで、互いが共鳴しあって、観客の心の奥底に1つのイメージが生み出されるという仕掛けだとか。
別役実の「マッチ売りの少女」で描かれたのは、不条理の中で少女が凍える夜に見た、実に生々しい人間の欲望。Noism1は、このマッチ売りの少女の話を提示した後に、美しい宗教音楽の旋律をアレンジした音楽を提示することで、現代版の「信仰」を描き出します。
「信仰とは何か。我々はその答えを提示するために創作をするのではなく、その問いを発するためにこそ創作をする」という金森穣。現代日本に生きる私たちにとって、「信仰」は遠くなってしまったものではなく、皆が当たり前に受け止めている何かに形を変えて迫ってきているのではないか。Noismの舞台は、そんなことを私たちに突きつけているのかもしれません。