黒川博行の「疫病神シリーズ」読むべき順番は?直木賞受賞作「破門」あらすじネタバレ

黒川博行の「疫病神シリーズ」読むべき順番は?直木賞受賞作「破門」あらすじネタバレ

黒川博行の「疫病神シリーズ」映画化!読むべき順番は?

黒川博行(くろかわひろゆき)は、2016年から作品が、続けて映画化されている作家です。2017年1月には、佐々木蔵之介と横山裕のダブル主演で、「破門 ふたりのヤクビョーガミ」が公開されています。黒川博行作品の中でも特に人気の高い疫病神シリーズの最新刊で、2014年に直木賞も受賞している「破門」。

疫病神シリーズは、刊行順に「疫病神」「国境」「暗礁」「螻蛄」「破門」の5作があります。それぞれ独立したテーマを扱っていますので、どれからでも楽しめますが、できれば、刊行順に読むべきでしょう。黒川作品の魅力にどっぷりつかれること請け合いです。

黒川博行「疫病神シリーズ」の直木賞受賞作「破門」あらすじネタバレ

黒川博行作品で、2017年1月28日から映画公開された直木賞受賞作、疫病神シリーズ「破門」のあらすじをご紹介。「破門」の主人公は、やり手ヤクザの桑原と、さえない建設コンサルタントの二宮。映画製作に出資した大金を、詐欺師の小清水に持ち逃げされてしまいます。桑原と二宮は小清水を追い、あの手この手で金を取り戻しますが、それが桑原を窮地に追い込むことに。

小清水を追う中で、格上の「組」の構成員と衝突する桑原。再起不能なまでにやり込めてしまったことで、組同士の抗争にまで発展してしまいました。ネタバレすると、なんと桑原は、「組」から「破門」されることに。ヤクザの世界でしか生きられない桑原が破門されてしまうという驚愕の結末に、シリーズの続きが気になるばかりです。

黒川博行おすすめ小説「後妻業」あらすじネタバレ!映画化キャストは?

黒川博行のおすすめ小説「後妻業」あらすじネタバレ!

黒川博行のおすすめ小説は疫病神シリーズだけではありません。2016年に、「後妻業の女」として映画化された小説「後妻業」は、刊行当時にこの小説を彷彿とさせるような事件が起きただけに、かなり注目されました。小説「後妻業」のあらすじをご紹介しましょう。小夜子は、老い先短い資産家と入籍し、遺産を搾り取る後妻業で荒稼ぎをしています。結婚相談所所長の柏木と組んで、これまで9人の老資産家と入籍。10人目となるターゲットの耕造が病に倒れますが、耕造の娘が小夜子の存在を怪しみ、探偵・本多に探らせます。

柏木と小夜子の悪事を暴いた本多は、それをネタに2人から金を引き出そうとしたため、柏木と小夜子は、小夜子の弟の博司を使って本多殺害計画を企てますが……。ネタバレすると、本多の殺害計画は失敗。小夜子は博司に殺され、それを隠そうとした柏木も警察に捕まるという結末を迎えます。

黒川博行の話題作「後妻業」が映画化!豪華すぎるキャストは?

黒川博行のおすすめ小説「後妻業」映画版のキャストは、後妻業で荒稼ぎする小夜子に、存在感たっぷりの演技が魅力の大竹しのぶ。小夜子とグルの結婚相談所の所長を演じたのは豊川悦司で、小夜子に父の遺産を横取りされそうになる娘を尾野真千子と長谷川京子が演じました。小夜子たちの悪事を暴いて金を引き出そうとする探偵に扮したのが永瀬正敏です。実力派の豪華キャストそろい踏みで、黒川博行作品「後妻業」の世界を再現しています。

黒川博行の書く関西弁が魅力的すぎる!直木賞に5度落選していた!

黒川博行作品は、立て続けに映画化されています。黒川博行が描く作品世界は、主に関西が舞台です。映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」の原作である疫病神シリーズでも、主人公のヤクザ桑原と、腐れ縁の建設コンサルタント二宮が、大阪弁で丁々発止のやりとりを繰り広げており、作品の魅力の1つとなっています。

映画版でW主演を務める佐々木蔵之介と横山裕も関西出身であるばかりか、ヤクザの桑原を演じる佐々木蔵之介は、もともと原作のファンだったとか。「黒川さんの小説は声に出したくなる。関西弁をしゃべる役者にとっては、珠玉のせりふがつづってあるんです」と、黒川博行作品の魅力を語っています。

黒川博行が書く関西弁にこれだけの魅力が宿るのは、やはり黒川博行も関西育ちだからなのでしょう。黒川博行は、6歳で大阪に引っ越してから、ずっと関西暮らし。大学は、京都市立芸術大学美術学部彫刻科に進んでいます。彫刻という、小説とはかなりかけ離れた世界で学んでいた黒川博行。卒業後は、スーパーに就職しますが、水が合わずに退職し、学生結婚していた妻が美術教師をしていたことから、自らも高校の美術教師に転職しています。

ちなみに、妻である日本画家・黒川雅子とは同じ大学で学んでいますが、出会いは大学ではなく、大学近くの雀荘で、はじめは麻雀仲間でした。黒川博行は、かなりのギャンブル好きだということですが、妻の黒川雅子も負けず劣らずで、「学生時代以来、夫とはずーっと戦い続けてきた。麻雀、将棋、花札、トランプ、チンチロリンとか。いつも真剣勝負」とのこと。ちなみに、勝率は、「麻雀、将棋は6割、夫のほうが勝っています」だとか。それだけ2人は気が合うのでしょう。

黒川博行作品に流れるのは、読者を飽きさせないスピード感や、先の読めない展開、読者の予想をひっくり返してくれる爽快感、一癖も二癖もある登場人物です。これらは、相手と駆け引きし、常に頭をフル回転させるギャンブルの世界で、黒川博行自身が体感し、得てきたものがあるのかもしれません。

無類のギャンブル好きという一風変わった美術教師だった黒川博行は、暇つぶしではじめた小説「二度のお別れ」で、1983年に、サントリーミステリー大賞佳作を受賞。佳作を受賞したことで、さらに上を目指す意欲を持ち、「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞しました。これにより、黒川博行は、教師を辞めて小説に専念することになります。ハードボイルドな世界観と、洒脱な大阪弁のやりとりで読者を魅了していき、人気作家としての地位を確立した黒川博行。

順調な作家生活を送っていきますが、なぜか直木賞には何度も候補にあがりながらも落選が続きました。落選すること実に5回。2014年に、「破門」で、見事直木賞を受賞しますが、6度目の正直はさすがに辛かったとみえて、「もう候補にならないのが一番ありがたい」とコメントしています。無事に直木賞も受賞し、思い煩うことも減ったはずですから、ますます面白い作品を書き続けてくれることでしょう。

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