2020年5月15日 更新
三浦弘行九段の不正疑惑とは?GPS将棋に負けた過去があった
三浦弘行九段の将棋アプリ不正疑惑とは?
三浦弘行九段は、2016年、対局中の将棋ソフトアプリ不正使用疑惑で、将棋界のみならず世間を騒がせた人物です。発端は、2016年に行われた竜王戦決勝トーナメンやA級順位戦等の4つの対局。三浦弘行九段が対局中に30分以上離席する等の不自然な行動があり、その間に将棋ソフトを使用していたのではないかという声が、一部の棋士の間からあがりました。
また、渡辺明竜王からは、三浦弘行九段の一部の対局の指し手が、将棋ソフトの指し手と90%以上一致するといった声も。これらを受けて、日本将棋連盟は、三浦弘行九段に年内の出場停止処分を出しました。
三浦弘行九段は濡れ衣を着せられた!GPS将棋敗戦という過去の因縁
疑惑を受けた三浦弘行九段は、疑惑を真っ向から否定。その後、第三者委員会が詳細に検証したところ、三浦弘行九段に将棋ソフトの不正使用は認められず、状況は一転して、日本将棋連盟の谷川浩二会長、島朗常務理事が辞任するまでの事態に。疑惑の発端となった30分以上離席したという事実すらも認められず、日本将棋連盟の不手際が際立つ形になりました。
三浦弘行九段は濡れ衣を着せられたといえます。ちなみに、不正使用したのではないかと疑われた将棋ソフトは、東大の開発した将棋ソフト「GPS将棋」ですが、三浦弘行九段は、この「GPS将棋」と対戦し大敗した過去の持ち主。なんとも皮肉な巡り合わせとしかいいようがありません。
三浦弘行九段の結婚生活は我慢の連続?藤井猛九段と不仲なの?
三浦弘行九段の嫁は17歳年下!結婚生活は我慢の連続?
不正使用疑惑により、公私ともに大きなダメージを受けた三浦弘行九段ですが、2014年になんと17歳も年下の一般女性と結婚していました。嫁とは17歳の年齢差のこともあり、結婚生活を良好に保つため、三浦弘行九段は、「17も違うと甘えられないですからね。(中略)我慢するしかないです」と語っています。
家事も、ゴミ出し、洗濯、食器洗いとこなし、我慢の連続で結婚生活を維持しているのだとか……。現在疑惑は晴れたとはいえ、この我慢を重ねて守ってきた大事な家族にも迷惑をかけてしまったことでも、三浦弘行九段は、大きなショックを受けたようです
三浦弘行九段はいじられキャラ!?藤井猛九段と不仲なの?
我慢の連続で結婚生活を維持している三浦弘行九段ですが、兄弟子にあたる藤井猛九段に対しては、その得意な「我慢」ができないことがありました。2014年の電王戦タッグマッチでのこと。解説として登場した藤井猛九段が、場を盛り上げようと、同じく解説として登場していた三浦弘行九段に対して、「あれ、キッタナイ戦術だよね」等と次々に質問を繰り出しました。
本人も「失礼なことばかり言っちゃった」と述懐している通り、三浦弘行九段は不機嫌な表情を隠さず、「俺、言いたいことあるけど我慢しているんですよ」「もういいです」と吐き捨てる事態に。これに限らず、1年に1回くらいは喧嘩しているという2人。とはいえ、藤井猛九段は、将棋に関しては三浦弘行九段を尊敬しているそうです。一方で、人間としてはいじりがいのあるキャラと思っていることも間違いないでしょう。
三浦弘行九段の家族にまで被害?結婚式で詰め将棋を解いていた伝説も
日本将棋連盟の第三者委員会による調査報告で、晴れて疑惑を払拭することができた三浦弘行九段。しかし、三浦弘行九段が失ったものは大きく、「無理なんでしょうけど、元の状態に戻してほしい。叶わないでしょうが、竜王戦を……難しいんでしょうけど、元の状態に戻してほしい」と、辛い胸のうちを明かしています。
三浦弘行九段が出場停止を受けたのは、2016年10月。三浦弘行九段はその時点で、ビッグタイトルである竜王戦への挑戦権を得ていましたが、結果的に棄権することになってしまいました。三浦弘行九段による将棋ソフトの不正使用疑惑は、一般のニュース等でも大きく報道されたため、世間からの注目も大きく、普段は将棋に興味のない人の耳にも届いています。
そのせいか、実家のある群馬に暮らす三浦弘行九段の家族のもとにも、心ない声が多く届いたようです。日本将棋連盟の第三者委員会により、不正使用はなかったとの報告を受けて開いた会見の席で、三浦弘行九段は、「私個人のことだけでしたら、なんとか耐え切れたのかなと思うんですけれど。家族が参っていまして……本当に、なんでこんな仕打ちを受けなければいけないのかなと」と苦渋をにじませていました。
将棋会館のある東京に暮らす棋士が多い中、三浦弘行九段が地元を離れず群馬に暮らしているのにはわけがあります。「通勤に便利でも誘惑が多いので、東京には住みません」と断言している通り、将棋に打ち込むために群馬に暮らしているのだとか。三浦弘行九段は、そもそも非常にストイックに将棋に打ち込むタイプで、1日10時間以上を将棋の勉強にさいているといいます。
時には研究にいれこみすぎて体調を崩したことも。また、木村一基棋士の結婚式に招かれた際には、詰め将棋を解いていたという伝説の持ち主でもあります。このように、真っすぐ愚直に将棋に打ち込んでいた棋士なだけに、不正を働いたという疑惑をかけられたことは、簡単には拭いされないほどの打撃だったことは想像に難くありません。
冤罪だったとはいえ、これだけの騒ぎになってしまったのですから、今後の棋士としての活動に、支障がまったくないとは言い切れません。本当に気の毒なところです。疑惑の大前提である30分以上の離席の事実がなかったこと等、十分な検証もせずに三浦弘行九段に濡れ衣を着せることになった日本将棋連盟の責任は、相当に重いといえます。