ノッポさん「できるかな」最終回のメッセージとは?わくわくさんとの違いは?

ノッポさん「できるかな」最終回のメッセージとは?「ノッポさんがしゃべった日」から見える人柄

ノッポさんが「できるかな」の最終回で皆に送ったメッセージとは?

ノッポさんの『できるかな』(NHK教育テレビ1970~90年)……幼き頃、この番組を見て工作に目覚めた人も多かったのではないでしょうか。細身で長身、チューリップ帽をかぶった愛称「ノッポさん」こと、高見のっぽの不思議な存在感は群を抜いていました。ノッポさんは「番組内では一切しゃべらない」という特殊なキャラクターを演じていましたが、実は一度だけ、しゃべったことがあるのです。

それは、番組の最終回でのこと。自転車を必死に漕いだノッポさん、息の上がったまま唐突に話し始めます。「あ~あ、喋っちゃった!今日は特別なんです。長い間ね、皆と友達でいたけれど、四月からこの番組は『ともだちいっぱい』という新しい番組と代わります!」。何と「ノッポさんの初しゃべり」は、テレビの向こうにいる皆に向けての「さようなら」という別れの挨拶でした。この時のセリフは全てノッポさん自身のアドリブだったそうです。

ノッポさんの著書「ノッポさんがしゃべった日」から見える人柄

ノッポさんは『できるかな』の最終回で、まさかの「初しゃべり」そして「お別れの言葉」を披露しました。その衝撃は子供たちだけに留まらず、ノッポさんを見て育った大人たち世代にも波及しました。現に放送終了後に街を歩いていたノッポさんを見て、泣き出してしまう人もいたそうです。

ノッポさん自身も「この番組を見ているのは幼い子供たちだけではない」と自覚していたそうで、自身の著書『ノッポさんがしゃべった日』でこう語っています。「大きくなったお客さんは僕を見に戻ってきた……いや、違う。僕を見に来たのではなくてノッポさんに会いに来た……ノッポさんに会いに来たのではなくて、小さかった頃の自分に会いに来た」。番組終了後にノッポさんに寄せられた手紙には「ご苦労さま」の言葉よりも、「ありがとう」の言葉がはるかに多かったそうです。

子供を大人目線で判断せずに、「小さき人」と呼んで敬意を払っていたノッポさん。誰からも愛される天性の人柄と謙虚な姿勢、そして幼児教育における偉大な功績は、今もって語り継がれています。

ノッポさんの相方:ゴン太くんの中の人は?ワクワクさんとの違いは?

ノッポさんの相方、ゴン太くんの中は誰が演じていたの?

ノッポさんの『できるかな』(NHK教育)は、幼児教育番組のレジェンド。ノッポさんと並んで忘れてはならないのは、三頭身の愛すべきアイドル「ウゴウゴ」ゴン太くんです。人ではなく、動物でもない、不可思議なキャラクターなのですが、さて、中に入っていたのは誰だったのでしょう?

その答えは、『プリンプリン物語』などにも出演していた人形劇俳優の大御所、井村淳でした。妻の石井マリ子も同じ人形劇俳優で、ゴン太君の「ママ」、生みの親でもあります。夫婦で人形を操り、ゴン太人形も舞台で活躍していたようですが、残念なことに井村淳は二年前に逝去しました。元祖ゆるキャラのゴン太くん!愛らしい外見とは裏腹に、中では肘から先しか動かせないなど、操作面での苦労が多かったのだとか。

ちなみに「ゴン太」とは、関西で「やんちゃ坊主」という意味。「DVD化して欲しい番組」で一番に輝いたほど愛された「ウゴウゴ」ゴン太くんは、テレビを付ければいつでも会える「みんなの永遠のともだち」でしたね。

ノッポさん「できるかな」の後番組キャラクター「つくってあそぼ」のワクワクさんってどんな人?

ノッポさんの『できるかな』の後を引き継いだ『ともだちいっぱい』。その中のゾーン番組の一つとして生まれたのが、ワクワクさんの活躍する『つくってあそぼ』です。この番組は「身近なものと使って番組の中の出演者が工作する」という『できるかな』の概念を引き継ぎました。キャラクターのワクワクさんは、創造力豊かなデザイナー。

手先がとっても器用で、色々な工作を発明します。相棒のゴロリ(クマの男の子)との出会いは、不思議な列車に乗って辿り着いたゴロリンコの丘。しばらくゴロリの元に居候して、工作を教えているうちに二人は大の仲良しに。実はワクワクさんと相棒のゴロリ、『つくってあそぼ』で初登場したわけではないのです。何と、あののっぽさんが初めて喋った最終回に二人で出演!ノッポさんとゴン太くんとの共演を果たしていました。

ノッポさんとワクワクさん、工作するのは同じでも、正反対ともいえる違いが一つあります。それは……言葉を発しなかったノッポさんに比べて、ワクワクさんは、とってもおしゃべりだったということ。ワクワクさんとゴロリの掛け合いが、番組の面白さの要でもありました。

ノッポさんから昔小さい人だった今の大人へのメッセージ「小さい人(子ども)は大人以上に分かっている」!

ノッポさんは『できるかな』でさまざまな工作を披露してくれましたが、絵や工作は小さい時から大の苦手。おまけに幼い時に、母親に「お前は不器用だ」とズバリ指摘されて、「器用さに対する希望」を全て失ったのだとか。そう考えると「三つ子の魂百まで」ではありませんが、幼きときに受けた傷というのは大人になっても癒えないものなのですね。

ただ、ノッポさんの場合は、父親が自分を過大評価してくれていたおかげで随分救われたそうです。子供のことを「小さい人」と称して敬意を払うノッポさんは、自分が一番賢かった時期を「五歳の時」と答えています。「子どもだから分からないだろう」という大人のおごりを全て見透かしていたからです。

「そのつもりで小さい人と接するので真剣です。あんな大人になぞなりたくない!」子供というのは、大人のズルさを見抜く「純粋な残酷さ」を備えています。年を経るごとにその残酷さが薄まってくるのは、大人が優しさを手に入れる代わりに、その「純粋な瞳」から目をそらすことを身につけるからではないでしょうか。

昔小さい人だった今の大人たちにノッポさんは語りかけます。「あなたは良いお父さん、お母さんになっていますか。小さい時を忘れて大人ぶって言っていませんか?そんな時には命令でなく相談してみなさい。小さい人はとてつもなく賢いのですから」と。

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