江戸川乱歩おすすめ作品「人間椅子」あらすじ感想!BLの先駆者だった?!

江戸川乱歩おすすめ作品「人間椅子」あらすじ感想!BLの先駆者だった?!

江戸川乱歩おすすめ作品「人間椅子」がキモかった!あらすじ感想!

江戸川乱歩といえば、大正から昭和にかけてのミステリー小説家、探偵小説のパイオニアとして知られていますが、ホラー小説も有名です。その江戸川乱歩のホラー小説のおすすめ作品「人間椅子」のあらすじを紹介しましょう。ある女性作家に届けられた1通のファンレター。「私」から届いた1通の手紙、それは、椅子専門の家具職人である「私」の罪の告白でした。

「私」は、容姿が醜くく貧しいながらも、職人としての腕はそれなりで、たびたび、格式の高い依頼主からの注文も請けていました。ある日、外国人専門ホテルからの注文品である椅子の製作中だった「私」は、その椅子に、人1人が入り込める空間を作ります。そして、自ら入っている最中に、図らずもホテルに納品されてしまいます。

それ以降、「私」は昼は椅子の中、夜は外に出て盗みを働いているというのです。金品に満たされた頃、今度は外国人の少女が自分の上に座る感触に喜びを感じるようになり、次は同じ日本人の女性を味わいたいと願っていたところで椅子は古道具屋へ売却され、それを買い求めたのは……。

江戸川乱歩はBLの先駆者だった?!「孤島の鬼」からBL萌えが生まれた?!

「人間椅子」……たった今、女性作家が手紙をよみながら座っている椅子、それが「私」の住処になっていいようとは、江戸川乱歩おすすめ作品「人間椅子」には、ちょっとした異常性愛を感じさせられます。ただし、恐怖の中にも、数奇な美しさが巧みに描かれた耽美こそ江戸川乱歩ならでは。

そして「変態」の他にも、もちろんホラー小説らしく「血まみれ」な猟奇的な作品なんかもあるのです。さらには、この時代にあって、すでに「BL」をテーマにした驚きの作品も世に送り出していた江戸川乱歩。しかも、ちゃんと現代BL萌えが完成されているのです。問題の作品の名は「孤島の鬼」。冴えない主人公(もちろん男)と、秀才で裕福かつ冷徹な雰囲気をもつ美青年……とくれば、もう最近のBL漫画の構図が浮かびます。

主人公が女性と結婚しようとすると、美青年がその女性を奪いにかかったのはなぜか?それは、美青年が、主人公へただならない愛情を抱いていたからです。物語は非常に猟奇的で身の毛もよだつような結末を迎えるのですが、BLファンは、小悪魔的なまでに鈍感な主人公に恋をする美青年の報われなさに注目。現代のBL文化、江戸川乱歩が先駆者だったのかもしれませんね。

江戸川乱歩の著作権問題とは?江戸川乱歩のプロデューサー力とは

江戸川乱歩作品が読み放題!著作権消滅カウントダウンにTPP交渉が待った!

江戸川乱歩は、1965年に逝去して、今年で死後50年。江戸川乱歩の生前の76作品の著作権が今年いっぱいで消滅するということで、ファンたちの間では、すでにカウントダウンが始まっているようです。著作物には著作権というものがあり、日本では作者の死後50年間は著作物の権利が保護されます。

この期間を過ぎ著作権が消滅すると、その作品は誰でも複製し、場合によっては販売することもできるのです。また、皆さんご存じ”青空文庫”は、著作権が切れて公共財産となった作品を電子化することによって、誰でも無料でダウンロードできるサイト。ということは、来年には江戸川乱歩の作品が無料で読めるようになる……はずなのですが、実は2015年10月、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意が取り付けられ、その中で、日本の著作物保護期間がこれまでの50年から70年に延長されることが決定したのです。

では、江戸川乱歩の著作を無料で読めるのは、20年先?と悲しみに暮れることなかれ。このTPP交渉を受けて国内法の整備を行うまでに2年は要するらしく、どうやら江戸川乱歩作品は、ギリギリ現行の著作権法の保護期間が適用されそうです。

江戸川乱歩のプロデューサー力が生み出した推理小説家たち!海を超えて「大乱歩」と呼ばれるワケ

江戸川乱歩は、戦後の晩年、「推理小説は一作目にいいものが多く、一般的に、年をとるにつれて筆が鈍る」として筆をおき、推理小説家プロデューサーとして、新人の発掘や育成に熱心になりました。「蘇る金狼」の大藪春彦や、”SF御三家”として知られる筒井康隆など、次々と著名な作家の誕生に貢献した江戸川乱歩。「宝石」の編集長時代には、一般作家に同誌で推理小説を発表する機会を与え、優れた才能をスカウトして日本の推理小説界に貢献しました。

また、日本の推理小説家の見聞を広げるために、国外の推理作家との交流も積極的に行ったという江戸川乱歩。エラリー・クイーンとの文通の末に、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会員にもなった他、各国の推理作家との文通で得た海外の推理小説事情を日本に紹介するという行動力。

まさにミステリー愛の塊のような江戸川乱歩は、60歳の誕生日に、思い立って再び執筆を試みたものの納得がいかず、それ以降の作品の発表はありません。国内外から「大乱歩」と尊敬の念を集めているのは、作品の秀逸さばかりではなく、こうしたプロデューサー力にも起因しているのです。

江戸川乱歩作品ドラマ、アニメ!著作権消滅カウントダウンで熱狂中!

江戸川乱歩作品の著作権消滅も、TPP交渉によって危ぶまれましたが、無事にカウントダウンが再開されました。江戸川乱歩って、小学校の図書室の定番、少年探偵シリーズでしょ?と、大人になってからはスルーしていたあなた。「変態」「血まみれ」「BL」これだけの要素がふんだんに盛り込まれた、奇妙かつ完成された江戸川乱歩の世界を、ぜひこの機会に堪能してみてはいかがでしょうか。

活字とは疎遠な生活を送っているなら、2016年1月11日、23日、24日の3回に渡ってNHK BSプレミアムで「シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」されますので、入り口にはうってつけです。同企画では、明智小五郎初登場作品「D坂の殺人事件」をはじめ、「心理試験」「屋根裏部屋の散歩者」という江戸川乱歩珠玉のミステリー作品が、主演・満島ひかり他、松永天馬、菅田将暉、篠原信一ら豪華キャストによって、斬新に描かれています。

心を奪われたあなたは、江戸川乱歩の世界の虜となり、きっと作品を読み漁るようになるはず!また、今2015年7月に、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送された「乱歩奇譚 Game of Lapilace」。こちらも、江戸川乱歩に馴染みのない多く若者たちが、江戸川乱歩の作品のページを捲るきっかけとなりました。

さらに、「人間椅子」「珍獣」など、江戸川乱歩のアバンギャルドな題名力に加え、最近では本の装丁を、アメコミ出身の咎井淳(ジョー・チェン)が手掛けるなど、江戸川乱歩作品には、衝動買いの要素も満載。著作権消滅寸前の作品とは思えない、新しい世界の予感がする江戸川乱歩の作品は、来年さらに中毒者を増やしていきそうです。

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