沼田まほかるの意外すぎる経歴とは?人気小説「ユリゴコロ」がマンガ化!

沼田まほかるの意外すぎる経歴とは?大ブレイクした小説「ユリゴコロ」あらすじネタバレ!

沼田まほかるが作家になる前にこんな過去が!沼田まほかるの意外すぎる経歴とは?

沼田まほかるは、湊かなえや真梨幸子らとともにイヤミス(読んだ後にイヤな後味が残るミステリー)の三大女王として、注目されている作家です。名前だけでは、男性なのか女性なのか分からない沼田まほかるですが、1948年、大阪のお寺の1人娘として生まれました。

結婚後、実家の跡継ぎとして、沼田まほかるの夫が寺の住職となりますが、その後、2人は離婚。主婦だった沼田まほかるは、僧侶となるための出家の儀式「得度」を経て、自身が僧侶となります。しかし40代半ばで僧侶を辞すると、知人と建設コンサルタント会社を設立します。ですが、こちらも10年ほどで倒産。そして、50代で初めて書いた長編小説「九月が永遠に続けば」で、第5回ホラーサスペンス大賞を受賞し、56歳で小説家デビューを果たしました。

波乱万丈の経歴を持つ沼田まほかるは、その後も作品を書き続けますが、評価されるもののヒット作には恵まれませんでした。しかし、2012年に発表した「ユリゴコロ」で第14回大藪春彦賞を受賞。本屋大賞にもノミネートされると、それまで埋もれていた作品達も、一気に売れ出しました。こうして、デビュー作「九月が永遠に続けば」の文庫版が、半年で60万部が増刷され「まほかるブーム」が到来します。

沼田まほかるの小説「ユリゴコロ」が気になる!あらすじネタバレ!

沼田まほかるがブレイクするきっかけとなった「ユリゴコロ」は、前半はホラーサスペンスで、後半は少しずつ愛の物語に変わっていく、そんな不思議な構成です。あらすじは、恋人の失踪や、母の交通事故死と、不幸に見舞われた亮介が、末期がんを患う父が1人で暮らす実家の押し入れから、「ユリゴコロ」と書かれた殺人鬼の告白ノートを見つけたことから始まります。

これは創作なのか現実の話なのか……戸惑いながら、4冊のノートを読み進めていく亮介。「このノートを記した殺人鬼は自分の本当の母なのではないのか」「いや、殺人鬼は父かもしれない」と、さまざまな疑問を抱きはじめます。ノートを読み終え、父親から告げられたのは、ノートの筆者は亮介の実の母親で、今でもひっそりと生きているということ。

さらに、経営が傾いた喫茶店を経営している亮介を支え、見守り続けてきた細谷さんという女性こそが実の母親だったと分かります。衝撃的な展開もさることながら、沼田まほかるの作品の魅力はそれにとどまりません。それぞれの登場人物の心情描写が深いので、物語にどんどん惹きつけられてしまう点が1番の人気の秘密と言えます。

沼田まほかるのおすすめ作品ベスト3!人気作が相次いで映画化!

沼田まほかるのおすすめ作品はこちら!作品ベスト3を一挙紹介!

沼田まほかるの小説は、「ユリゴコロ」の他にも、たくさんのオススメ作品があります。今回はその中でも、注目度の高い3作品についてご紹介。

まずは、沼田まほかるのデビュー作「九月が永遠に続けば」です。シングルマザーの佐知子は、高校生の息子が失踪した日を境に、愛人の死、元夫・雄一郎の再婚相手の娘の自殺と、次々と不幸に見舞われます。佐知子をはじめ、登場人物たちは皆、歪んだ人物ばかりで、息子の失踪の謎を探る佐知子とともに真相に近づくにつれ、何とも言えない息苦しさを覚える本作。さすがはイヤミス三大女王と納得させられます。

続いて、ホラー作品の「アミダサマ」です。物語の登場人物は、産業廃棄物処理場に放置された冷蔵庫の中に眠っていた少女ミハル、彼女と出会ってしまった僧侶の浄鑑と妻、サラリーマンの悠人。ミハルの周りで次々に起こる怪現象の描写がなんとも不気味で、忍び寄るような静かな恐怖心を感じさせる作品となっています。ミハルは一体何者なのか?沼田まほかるらしいドロドロな人間模様も堪能しながら、謎を解いていってもらいたい作品です。

最後は、「林檎曼陀羅」や「ヤモリ」「テンガロンハット」など9つの短編が収められた「痺れる」。それぞれテイストが異なる怖さが満載で、沼田まほかるの世界観をぜいたくに味わうことができます。

沼田まほかるの人気作が次々映画化されて目が離せない!!

人気の高まりを受けて、沼田まほかるの作品が映画化されることが次々に発表されています。2017年9月23日からは、主演・吉高由里子のほか、松坂桃李や松山ケンイチも出演している映画「ユリゴコロ」が公開予定です。続いて、10月28日には「彼女がその名を知らない鳥たち」の公開も控えています。

「彼女がその名を知らない鳥たち」は、蒼井優と阿部サダヲのW主演で、監督を務めるのは「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」で知られる白石和彌。あらすじは、金もなく下品で貧相な陣治に嫌悪の念を抱きながらも、陣治の稼ぎのみで働きもせず毎日を送っている十和子が、8年前に別れた黒崎に似た面影を持つ妻子ある水島と関係を持つところから始まります。また別のある日、十和子は、家に訪ねてきた刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられました。

「十和子が幸せならそれでいい」と日に何度も電話をかけ、さらには十和子を尾行するなど異様なまでの執着を見せる陣治が、黒崎の失踪に関係しているのではないかとの疑いを持ち始めた十和子。その危険が浮気相手の水島にまで及ぶのではとないかと、十和子と一緒にハラハラさせられるストーリーです。

公開に先立ち、第42回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門や、第22回釜山国際映画祭にも出品されるなど前評判も高い「彼女がその名を知らない鳥たち」。沼田まほかるの独特な世界観を海外に知らしめる良いチャンスですね。

沼田まほかるの「ユリゴコロ」が漫画化でさらに大注目!亜月亮が上下巻を同時発売

沼田まほかるの人気小説「ユリゴコロ」は、映画化されただけにとどまりません。2017年8月22日には、人気漫画家・亜月亮によってコミカライズされた上下巻の2部作も発売されました。24年のキャリアを誇り、「Wピンチ!!」「無重力少年」「都市伝説」などで知られる亜月亮が、「ラビダビスター!」に続く2度目の挑戦となるコミカライズ。亜月亮は、「少し登場人物を削ってギュッ!と内容を圧縮」「代わりに、主要人物の心情等はなるべく原作の流れに忠実に描くよう心がけた」と創作の意図を説明しています。

活字だからこそ味わえる恐怖心や嫌悪感もあると思われますが、漫画化されることで、沼田まほかる独特のドロドロとした愛憎劇や復讐劇、そして人間の恐ろしい本性がどのように表現されるのか、楽しみなところです。これにより、新しいファン層を獲得することができれば、イヤミスのジャンル拡大にもつながるはず。

イヤミスというだけあって、沼田まほかるの作品は、登場人物のあまりのクズさに、読むと不快感すら覚えますが、怖いもの見たさなのかついつい読み進んでしまいます。それは、何より心理描写に優れているため、読者に他人事とは思わせず、リアルさを感じさせるからでしょう。

「ユリゴコロ」のように、ただ暗い読後感が残るのではなく、残酷な現実を受け止めながらも未来への希望や明るさを感じさせる作品を読めば、沼田まほかるが高い筆力の持ち主であることは明らかです。50代後半に作家デビューを遂げ、「遅咲きの大輪」と話題の沼田まほかる。その豊かな人生経験を生かして、今後も読者の心の奥深いところを揺さぶる作品を送り出していってほしいですね。

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