辻村深月の直木賞受賞作品は?綾辻行人、京極夏彦の熱烈なファンだった!
辻村深月は直木賞作家!候補作のドラマ化でNHKとトラブル?
辻村深月(つじむらみづき)は、「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した小説家です。ノミネート3回目にしての受賞でした。初めての直木賞候補作は「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」で、アラサー女性の抱える生き辛さを描き、多くの女性の共感を得た作品。
ドラマ化の話も持ち上がりますが、脚本をめぐるトラブルでクランクイン直前にドラマ化の許諾を取り消すことになり、企画したNHKと裁判沙汰にもなっています。脚本に辻村深月が納得せず、話し合いを重ねますが両者は決裂。NHK側は、辻村深月の著作権を管理する講談社に損害賠償を請求しますが、訴えは棄却されました。
辻村深月は綾辻行人、京極夏彦の熱烈なファンだった!
辻村深月は、綾辻行人をはじめとするミステリ作品の大ファンで、自身も、ミステリ小説「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞してデビューしています。特に綾辻行人にはファンレターを繰り返し送るほどの熱心なファンで、編集部の好意で、綾辻行人と手紙やメールを直接やり取りするようになったほどです。
メフィスト賞を受賞したことも、綾辻行人を通じて知ったとか。また、辻村深月は、京極夏彦のファンでもありました。高校生の頃には、友人と一緒に、山梨の自宅からサイン会の行われていた埼玉の書店まで行った経験を持っています。
辻村深月のおすすめ作品ランキングは?「朝が来る」は出産育児を経ての作品!
辻村深月のおすすめ作品ランキングは?ファンからのダントツの人気の作品は?
辻村深月のおすすめ作品をと紹介。1位は「スロウハイツの神様」。夢を追うクリエイターたちが共同生活を送る現代版のトキワ壮の青春ともいえる物語で、辻村作品ファンからの人気はダントツの作品です。2位は「オーダーメイド殺人クラブ」。辻村深月が得意とする10代の揺れ動く心理描写が光る作品となっています。
3位は、直木賞を受賞した「鍵のない夢を見る」です。ごく普通の女性が犯罪に手をそめていく様を描きながら、地方都市の閉塞感を抉り出していく意欲作と言えるでしょう。4位「ハケンアニメ!」は、アニメ業界を舞台にした熱いお仕事小説で、楽しく読める一冊です。
辻村深月が出産育児を経て発表した「朝が来る」で描かれるのは養子縁組!
2015年に辻村深月が発表した「朝が来る」は、不妊治療の末に養子を迎える決断をした女性と、子供を産んでもその子を育てることなく手放すことになった女性を主人公に据えた作品です。プライベートでは、2011年に第一子を出産している辻村深月は、育児をしながら「朝がくる」を執筆していました。
母親になったことで、「出産したからといって、急に母親になれたり、母性が湧いてきたり、尊い何者かになれたりするわけではない」と強く実感した辻村深月。そういった経験が「朝が来る」の執筆の上で生かされているとも語っています。
辻村深月の会社員時代はかりそめの姿だった?
出産育児を経ても作家として輝き続けている辻村深月は、小学生の頃から作家になることを夢見ていたと言いますが、学生時代には果たされることはありませんでした。ミステリ研究会があるからという理由で進学した千葉大学教育学部では、教師を目指して勉強する日々。
あるとき、高校時代に書いた書きかけの小説を読んだ友人から「続きが読みたいんだけど、続きはないの?」と言われたことをきっかけに、幼い頃からの夢だった小説家を再び目指すことを決意します。この時に友人が「続きが読みたい」と言った作品こそが、後にデビューをつかみとることになる「冷たい校舎の時は止まる」でした。
作家を目指す覚悟を決めた辻村深月は、大学を卒業すると実家に戻り、一般企業に就職して働きながら、小説を書く生活を始めます。とはいえ、入社当時の辻村深月は、学生時代にデビューを果たせなかった挫折感や、若さゆえの傲慢さで、「会社員の私はまだかりそめの姿だ」と考え、周囲に対して敬意を払えていなかったとか。しかし、実際に働きはじめると、新人の自分は、職場の先輩たちに教えをこい、助けてもらわなければ何もできない下っ端。この経験が、自分の凝り固まった価値観を壊し、狭い視野を広げるこつながったそうです。
そうした日々の中で、高校時代から温めていた作品「冷たい校舎の時は止まる」を、働きながら手直しして仕上げ、メフィスト賞へ応募すると、見事デビューを勝ち取りました。こうして兼業作家として二足の草鞋をはくことになりますが、デビュー後も、職場の先輩たちの応援が、彼女の背中を力強く押すことになります。働きながら書くことを会社でオープンにすることで周囲が応援してくれるようになるだけでなく、作家として成功するという目標を発信することで、いい意味で自分にプレッシャーを与えることができました。
そのかいもあって、後に専業作家となった辻村深月は、直木賞作家へとのぼりつめていくわけですから、兼業作家時代の会社員生活は決して無駄なものではなかったのでしょう。会社員時代の経験を存分に生かした作品もぜひ発表してほしいものです。