ハリル監督の評価、評判は?経歴、国籍は?
ハリル監督の厳格な指導スタイルと、柔軟なチーム作りの可能性は?
ハリル監督は、1952年生まれの52歳。現在、サッカー日本代表監督を務める人物です。ハリル監督が掲げるのは、「ルール、規律、練習」を重んじる厳しい指導スタイル。当初は、日本代表選手たちとも相当ギクシャクしていたようですが、見事、アジア予選を勝ち抜けた今、ハリル監督自身が、チームは次の段階に移ったと語っています。
2015年秋の時点では、戦術にしても、ピッチ外での噂にしてもさんざんの評判だったハリル監督ですが、アジア予選を突破してからの評価は急上昇。ナショナルチーム監督としてのハリル監督は、チームの特性に合わせ、攻撃型、防御型いずれのチーム作りにも柔軟に対応できるタイプですから、本大会では、いよいよその真価が発揮されることでしょう。
ハリル監督の出身地は、悲劇の内戦を経たユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ
ハリル監督は、悲劇的な内戦が起きたボスニア・ヘルツェゴビナの出身です。選手時代は、ヨーロッパのクラブチームで活躍。長期にわたり、ユーゴスラビアの代表選手にもなっています。選手引退後のハリル監督は、地元ボスニア・ヘルツェゴビナで実業家として成功しますが、内戦で、そのほとんどの資産を失います。以後は再び、ヨーロッパのクラブチームで監督として活躍。昨年、日本代表チーム監督に招聘されました。
日本プロサッカーリーグ、通称Jリーグが1993年に誕生して以来、すでに四半世紀が経とうとしています。惜しくも本大会出場を逃した1994年のドーハの悲劇以来、Jリーグの隆盛とともに、サッカーのワールドカップは広く一般に知られるようになり、若者たちを熱狂させてきました。プロ野球が、日本独自のドメスティックなスポーツになったのに比べ、サッカーは、今ではグローバルを象徴するスポーツ。歴代の日本代表監督も、世界中から招聘されています。
オランダのハンス・オプトを初めとして、ブラジルのパウロ・ロベルト・ファルカン、フランスのトルシエ、サッカーの神様ジーコ、その教えや言葉が、社会的ブームになったイビチャ・オシム、イタリアのアルベルト・ザッケローニを経て、一昨年には、メキシコのハビエル・アギーレが監督となりました。しかし、ハビエル・アギーレ監督は、八百長関与の疑惑が発覚して、監督を辞任。その後を継いで急遽、昨年から監督になったのが、ヴァヒド・ハリルホジッチその人です。
ハリル監督の後任(次期日本代表監督)選びが始まっている?仏紙に語ったこととは?
ハリル監督の後継選びが早くも紙上を賑わす、日本のスポーツ紙は程度が低い!
「ハリル監督の後継者は誰なのか?」……日本のスポーツ紙は、得てして自国である日本代表チームの選手の能力を、過大に評価し過ぎる傾向にあります。そして、成績が優れないとなると、監督のせいにしがちです。ハリル監督にしても同様で、負けるたびに各スポーツ紙に戦犯のごとくたたかれています。
しかしこの10数年の間、歴代の監督によって、日本代表チームは、やっと世界的水準にまで達することができたといえるでしょう。着任早々、なかなか安定しない日本代表チームの様子に、「次期日本代表監督は誰だ?!」と、早速ハリル監督の後任選びが始まっています。しかし、ハリル監督がチームカラーを出そうとしても、個々の選手の能力が不足していて、チームとしてのカラーがいまだ確立されていない、というのが妥当な評価ではないでしょうか。
ハリル監督が冷静に分析した、日本代表チームの現状
ハリル監督は、短い準備と練習の中、フランスのスポーツ紙のインタビューに答え、日本代表チームを次のように分析しています。「彼らは、私が言うすべてのことと、実行するすべてのトレーニングを吸収している。競い合いにおいて、アグレッシブさが足りないなど、改善することは当然ある。
しかし、身体的にも彼らは成長できる。Jリーグの試合のリズムは平均的なものだ。技術的にはかなり優れているが、競り合いにおいてはとても、とても甘い。しかし彼らは常に最善を尽くしている」。とかくスポーツ紙やファンの間では、勝つことだけが取り上げられ、負ければ、監督やスター選手の不甲斐なさを声高に叫びがちです。
ともすれば、もっと優れた監督を、という次期監督待望論に傾きがちにもなります。しかし、チームは一日にして成らず。アジア予選を突破した今、いよいよ、ハリル監督の真価が発揮される時がきたようです。
ハリル監督が明言した「日本代表チームは、第2段階に移った」の真意は?
ハリル監督の言う「第2段階」は、選手管理にも表れています。3月末には、槙野選手たちの「自分たちだけで焼き肉を食べに出たい」という要望を認め、選手だけでのミーティングが実現しました。槙野選手は「すごく盛り上がった。代表歴が浅い選手も含めて一体感が出た」と、焼肉ミーティングの成果に満足したようです。ハリル監督の緩急自在な選手管理は、着々と進んでいるのかもしれません。
このようなメンタル面だけでなく、本大会に勝つための、きめ細かな技術指導も、いよいよ本格化してきました。ハリル監督は、全体練習後も居残り練習組に指導を行い、MFの香川、DFの槙野らに、ミドルシュートの打ち方について事細かく指示。ハリル監督は、チームが第2段階に進んだことを明言するとともに、「やるべきことはまだまだある。W杯本大会となれば、また別な話にもなる」と、さらに次なるステップを目指そうとしています。
サッカー日本代表の世界ランクは、現在、世界56位。実際、ワールドカップ予選を勝ち抜くのがやっとの実力といえます。世界的レベルのチーム力を築いてこそ、今世界で活躍しつつある海外組選手の、スーパープレーが発揮されるのではないでしょうか。